表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神ラーファのミスから始まるファンタジー  作者: XX
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/43

第三十八話 魔術研究会

15日連続投稿断念。

受験準備で、書く余裕がありませんでした。

すいません。

また、更新止まります。

よろしくお願いします。

 

 勝手に招待されて、勝手に始まった試験を突破し、そのまま帰ろうとしていたら、今度は隠れ研究会員に理屈の説明を強要され、今に至るわけだが……。


 結論から言おう。

 帰りたい。

 もう本当に、それに尽きる。


 少し前に偶々真面目に考えてみたら、妙にこの研究会の空気とかみ合ってしまったらしく、気づけば、「なんかできるヤツ」みたいな扱いを受けているのだが、こちらとしては一切そんなつもりはなかった。


 できるだけ早く帰って、飯を食って寝たい。

 ……異空間にいるから今が何時かはわからないけど。


 そんな内心とは裏腹に、周囲からの目線は減るどころか、むしろ増えて、鋭くなっているようにも思えた。「好奇心」ではなく、「観察」と「評価」の色を帯び始めていた。


 うん、とても面倒。面倒なのです。

 だから、仕方なく切るように口を開く。


「……で? もう終わりなら帰っていいよね?」


 念のため、最低限の確認はしておく。

 すると、その場の空気を掌握している男――先ほど試験の終了を告げた人物が、静かに一歩前へ出る。


「待て」


 低く、それでも、はっきりとした声で。


「まだ終わっていない」


 まだあるのかよ、と、思わず内心で毒づくが、顔には出さない。


「形式的なものだが、会長との顔合わせと説明がある。それだけでいい」

「説明?」

「お前は、七歳で学園に入学し、神名持ちなのに魔力回路がない。そのうえで、この試験に合格した。

 その異常性を我々は認め、認定した」


 男はそこで一度言葉を切り、こちらを真っすぐ見つめなおした。


「もう、お前は内側なんだ」


 内側。

 妙に選民的な言い方はいったん置いておくとしてだ。

 オレの中には別の疑問が浮かんでいた。

 ――なんで、「魔力回路がない」ことを知っているのだろう?


 その瞬間、情報整理を行っていたサブが、助手のような感じで淡々と割り込んでくる。


【おそらく、フェリスからだと思います。前回フェリスの記憶を読み取った際の情報から、ゲイツ・ドルとの接点が見つかりました】

「ふむふむ、つまりは、フェリス(にい)との繫がりがあると……」


 なぜ口から出たのかは自分でも分からないが、言ってしまった。

 そして、その瞬間だった。


「……今、なんて言った?」


 低い声。

 さっきまで淡々としていた試験官の声音に、明確な“色”が乗り、混じる。


 周囲も同じだ。

 ざわめきすら起きない。

 ただ、全員の視線が一斉に突き刺さる。


(……あ、これやらか()()()やつか)


 遅れて理解する。


「いや、別に大した意味は――」

「フェリス、だと?」


 今度は別の声で遮られる。

 声の主はリオスだ。


 眼鏡の奥の目が、さっきまでと全く変わっている。理屈を求める目から、何かを確かめる目になっていた。


「その名を……、どこで知った」

「どこでって……、兄だけど? さっき、「フェリス兄」って言ったよな?」


 比喩でもなんでもない事実。

 軽く言ったつもりだった。


 でも、場の空気はさらに悪化する一方で。


(……ああ、何故かヤバい系のね)

【ご名答】


 オレは、ようやく状況を、地雷を踏んでしまったことを理解した。

 ……うん、すごく遅くなったけど。



「……実兄、という意味か」


 低く、押し殺した声。

 試験官だ。


「そうだけど?」


 ごまかす意味も特に思い浮かばないので、そのまま返す。

 すると、試験官の目線がミレニアに向いた。


「ミレニア? これは一体全体どういうことだ?」


 その声には、怒りと不安が混じっていた。


【これも、その記憶からの推測ではありますが、フェリスはゲイツと対立する組織――錬金術研究会のトップなので、この試験官は会長からの叱責を恐れているものと思われます】


 ああー……って、えッ!?

 思わず、心の中で変な声が出た。


 そうなの?

【どうやら】


 さらっと恐ろしい情報を投げ込んできたサブ。

 そのやりとりをしている間にも、ミレニアは動じる様子もなく、キリっとした表情で試験官に言い返していた。


「しっかり、会長にはその旨をお話ししたかと思いますけれど?」


 自分には非はなく、その上で会長から言質まで取っているという意味にとれる。

 ……というか。

 普通に怖いんですけどッ!

 オレまだ七歳なんだけど?

 なんで知らないところで、研究会トップ同士の政治みたいな話に巻き込まれてるの?


「……本当に、会長は了承済みなんだな?」


 試験官が念を押すように聞く。

 声色にはまだ警戒が残っていた。


「ええ。むしろ、面白いから通せと」


 ミレニアは平然と答えた。


「…………」


 沈黙が場に流れ、何も言えない空気となる。


 でも、一つ分かったことがある。

 ライバルのトップに喧嘩を売りに行く人、つまり、その会長。

 絶対ロクなタイプじゃない。

 その確信だけが、静かに大きくなっていった。


「それでは、会長の所へ案内する。……が、その前に自己紹介をしておこうか。私はゲイツ会長の補佐のティールだ」


 ブレザーのようなデザインの衣服を纏い、友好的な態度での挨拶だった。

 その目線は力強く、何かを探られているような違和感を覚えたのだった。


「では、行くぞ。リオス達は本日は解散だ。ミレニア、お前はついてこい。事実確認がしたい。連絡事項は以上だ。

 それでは、この空間を消滅させる。各自備えよ!」


 試験官ことティールは、オレの方に手を添えた後、右手を上に挙げ、指を鳴らした。それに続き、全員が一斉に指をならす。


「虚無の底に沈む境界よ、我が声に応じて揺らぎ出でよ。星々の記憶を束ねし織目よ、いま解け落ち、世界を隔てる壁を露わにせよ。我は次元を断つ刃、境界を砕く意志なり。我の意思に従い砕けよ――空間崩壊(スペースコラプス)!!」

 

 すると、ガラスが砕けるかのように空間の壁がチリチリと砕け落ち、破片は白い霧となって消えてゆく。

 眩い光に包まれ、咄嗟に手で庇をつくる。

 それを解除したころには、普段のη(イータ)クラスの教室の景色が目に映る。

 周囲を見渡すと、プランクを行っていた、ゴルドを見つけた。……暇だったのだろうか。


 ……護衛ってこんなのでいいんだっけ?


 そう思ったが、今に始まったことじゃないな、と思い直し、いつもの表情に戻る。


 オレに気付いたのか、ゴルドの視線がこっちに向く。

 その瞬間、唖然とした表情になったが、無視して、手招きで呼び寄せ、紹介する。


「この人がオレの護衛のゴルドだ。……護衛もその面会に連れて行っていいのか?」


 ティールは悩むそぶりを見せつつ、あっさり答える。


「まぁ、あの会長のことだ。いいだろう。ただ、変な真似はさせるなよ」


 そうして、カインとゴルドを含めた魔術研究会一行は、会長のいる元へと歩みを進めたのだった。


……カインは帰れるのでしょうか。


次回、寮の自室に戻れるでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ