24話 番外編 1/4 マギリアのお色直し
【今回の三文あらすじ】
「興味があるけど読む時間が取れない」「最新話だけ手っ取り早く追いたい」という需要を考え、あとがきに今回の主な出来事を三文に要約しました。
「う、うわぁぁぁッ!」
悲鳴を上げながら4人組の人間達が、猪に追いかけられながらどこまでも広がる牧歌的な草原を駆ける。普通の猪と違うのは、猪の身体がよく見るサイズの十数倍の巨体を誇っていること。普通の草原と違うのは、草原には地平線が存在せず360度を巨大な岩壁に囲まれ、上空を青空の代わりに地盤が覆っていることだ。外では今の時間が昼であることを知らせるように西の方の天蓋で魔法石が下を照らしている。
ここはラビス迷宮基地というダンジョンの地下にある魔物の群生地で、逃げている人間は魔物を狩って生計を立てる冒険者で、追いかけていた猪はここに棲む魔物だった。
「ダメだ! これじゃ横に逃げる前に潰される!」
最後尾で逃げていた冒険者の少年が絶望的な予測を立てる。彼が担いでいるのは頭から血を流している拳闘士の少女だった。前を行く他の冒険者も含めて彼らの状況は絶望的で、猪の魔物の突進を横に跳んで避けるために減速すれば即踏みつぶされるほど迫られる窮地に陥っていた。
「断ち切れ旋風、風縛刃!」
「プギィィアァ!」
一行の危機に、快活な女性の声が割り込んでくる。猪の顔面は不可視の刃に切り裂かれて血しぶきをあげる。激痛に声を漏らした大猪は痛みに驚いたのか目に入った血を振り切るためか、身じろぎをしてたたらを踏む。大猪が立ち止まったことで開いた両者の間に声の主が降り立った。
「みんなよくここまで逃げられたね! 私が来たから安心して!」
割って入った人物は、一般的なイメージにある魔女そのものだった。丈の長い白いシャツの裾から伸びる黒のスカートと同じ色の上着を着こみ、大きな黒いとんがり帽子を被っている。彼女は猪に対して身の丈ほどもある杖を向けて臨戦態勢をとっているが、まだ仕掛けてこないと判断して冒険者達に向き直る。
「このくらいじゃ脳筋魔猪は死なないわ、逃げようね! 浮与!」
大猪の魔物は魔術攻撃に怯んだだけで死んではいない。反撃をもらう前に退散を判断した魔女は冒険者達に浮遊魔術をかけて空に逃がす。十数分後、表層との出入口を通って手負いの冒険者達は群生地の上層の迷宮部分に避難することができた。
「キュア!」
上階の安全地帯にたどり着いて平静を確保した一行は、怪我人の治療を開始した。先ほど彼らを助けた魔女が杖を向けて呪文を唱えると、重傷だった拳闘士の少女の傷がみるみる塞がり始める。
「よし、これで体力が戻ればまた目を覚ますはず! 血は戻らないからしばらく安静にして!」
「本当ですか!? 魔女様……」
治療魔術をかけたことで拳闘士の少女の状態は一旦安定した。安全を確認して一息ついた魔女は立ち上がり、杖を地面に突いて表情を険しくする。
「まだ群生地の探索は皆には早かったみたいだね。死んで素材を持ち帰れなかったら、強敵倒しても誰も褒めてくれないんだから」
「……」
魔女から下された分不相応な探索をしていたという結論。大猪に返り討ちにあった彼らはそれを覆せる理屈を見出すこともできず顔を伏せている。
「でも、傷ついた仲間を見捨てずにここまで走ってきたのは偉い! 即死じゃ治療できなかったからね、この娘の命を守ったことは誇っていいよ!」
戦力不足を指摘した後は彼らが出来ることを尽くしたのを褒める。実際、目の前にいなければこの魔女には癒す術がないのだ。怪我人を運んでいた冒険者の少年は褒められて照れた顔を伏せる。
「……それでも俺達が助かったの、魔女様のおかげですから。ありがとうございました、魔女様! ダンジョンにこんな場所がなかったら、俺達は全滅してたかもしれなかったです!」
「「魔女様、ありがとうございました!」」
彼に便乗して同行する冒険者達が魔女にお礼を述べる。その感謝と尊敬の念を綯い交ぜにした言葉を受け取って、目の前の魔女は顔を真っ赤にしてとんがり帽子で隠してしまう。
「あっその……っ!? ごめんねっ! お礼とか言われちゃうと胸がぽかぽかして何も考えられなくなって……」
彼女は冒険者達の感謝の言葉に平静を保てずろくな返事ができないでいた。この魔女は感謝されたり褒められたりすると高揚する精神に押されて思考能力が奪われてしまうのだ。
「魔女様?」
感謝されてから彼女の様子がおかしくなったことに気づいた冒険者達が心配そうに声をかける。『魔女様』という敬称は今回のことのみならず、普段から冒険者を守ってきた敬意を込めて冒険者達からそう呼ばれている。
「あのっ! 魔女様なんてかしこまらないで……私はマギフィリア・フォールラック、長いからマギリアって呼んで!」
(うう……様付けされるなんてこっぱずかしい……)
そう名乗って赤面を抑えられないまま冒険者達を外まで送っていく魔女。これはダン長が目覚めるよりも40年以上も前の、マギリアが守護モンスターになってしばらく経った頃の出来事だった。
「おはようマギちゃん! あらやだ、どうしたのその格好?」
「あっ、キャンディさん」
次の日の朝、マギリアは村へと出かける支度をしていた。そこに巡回をしていた派手な服に身を包んだ大柄の屈強なインキュバス――本人はサキュバスと自称――に声をかけられた。キャンディ(源氏名)と呼ばれた彼(彼女)の言う通り、マギリアは先述の魔女らしいスタイルと打って変わって地味な村娘の格好をしていた。
「えっとね……ミルス村にお買い物とギャンブルに行くんだけど、私が魔女の格好をしていると店の人達が勝手にオマケしたり賭博場でも手を抜いてくれるから気を遣っちゃうんだよね」
「ああ、そういうことね! でも、オマケなんて私なら笑顔で受け取ってあげるわ。そうしなきゃお互いに損だし?」
最初こそ村人達から魔物だと恐れられていたものの、冒険者の受けた恩恵が口コミで広がり守護モンスターはすっかり人々に受け入れられた。そのせいか魔女と分かると村では勝手に商品が値引きされたりサービスのランクが上げられたりして、彼女は逆に遠慮がちになってしまうのだ。
「お互いに損?」
「村人さんはね、マギちゃんに喜んで欲しいからお値段以上にしてくれるの。だから、その好意には貴女が笑顔と感謝を送ることで対等な取引になるのよ」
「そういうものなの?」
「ええ。だけど好意に慣れ過ぎると、つい感謝の気持ちを忘れちゃうものなの。そうなるとだんだん周りに対して傲慢になっていっちゃう諸刃の剣よ」
村人達からのオマケは受け取らないと損と力説するキャンディに対して、コミュニケーションのレベルについていけなくなりマギリアは頭を抱えてしまう。
「うーん、難しいんだね……」
「苦手をキッパリ諦めるのは悪い判断じゃないわ。それにマギちゃんの村娘コス、素朴でかわいいわよ。一緒にいたらすごく癒されちゃいそう」
悩むマギリアに諦めるのも立派な判断と諭すキャンディ。この自称サキュバスは助言に『私なら』と割り切りあくまで他者に無理強いをしないよう配慮しているのだ。
「ありがとねキャンディさん。私の気の回らないところを気遣ってくれて……私、キャンディさん達がこのダンジョンに来てくれてよかったって思ってる」
「何言ってるのよマギちゃん、貴女がこんな場所を用意してなかったら私も妹達もどこで野垂れ死にしてたか。感謝してるのは――」
『うーん……怪人・ドスニャンコ音頭……』
「あっ! キャンディさん、ごめんね!」
服装を褒められ顔を赤らめて直球で好意を伝えるマギリアに対して、お互い様とフォローするキャンディ。挟まるように謎の単語が迷宮の中からこだまする。それを聞いた途端、マギリアが血相を変えて懐からメモ帳を取り出し、声の方を観察しに走る。
「ねぇ、何なの今の?」
「観測する限り今年で7件目よ、やっぱりマレビトの言葉が聞こえた場所には壁か床に人間の口にも似た意匠が彫られている! 発生しやすい場所や言語の法則が見いだせれば、彼がどんな人間かわかるかもしれないわ!」
突然の声に動揺するキャンディを他所に床に生えた簡素な口の近くに座り込んで熱心にメモを書き込むマギリア。彼女の持つメモ帳はいつ何時どこで何の発言があったか、または現れた目が自分を追いかけたり罠が予定しない所に現れた時のデータがまとめられている。
「そのメモ確か……昔ここで埋められてしまったマレビトの調べものよね? 熱心ねぇ」
「ダンジョンに誰かの意思が宿っているなんて珍しいもの! それに将来この人の意思に魔素が反応してゴーストになるかもしれない。その時に自分に何が起きたかわからないままじゃ困るでしょ? 本来は召喚した人が説明することなんだけど、魔物になるんだったら代わりにやらなきゃ」
「マギちゃんったら、ホントにお人好しね……」
そう言いながらデータを書き終えたメモを懐にしまい、マギリアが立ち上がる。
「じゃ、村に行ってくるわ。留守の間ダンジョンをよろしく!」
キャンディに手を振って、予定通り村へと向かうマギリア。魔女は村で休日を楽しむ。
(にしてもあの可愛いデザインの指輪は惜しかったわ……スチールビートルの糸製じゃ、私には着けられないし仕方ないよね……)
ミルス村の夕刻。人が殆どいない女湯で、自宅の浴室の数倍は広い湯船に四肢を伸ばしてゆったりと浸かり買物の成果を振り返るマギリア。スチールビートルから取れる糸はマッドゴーレムの肉体同様魔力に反応して流動体になる性質を持つ。
サビにくく加工が容易になる反面、魔力に反応して形が崩れるという脆さがある。魔術の行使が稀な民間の施設に使われることが多い安価な代替金属で、本物の金属類はダンジョンに挑む冒険者達に優先して回されるようになった。
そんなシロモノをマギリアが装備できるはずもなく、仕方なく諦めてしまったのだ。
(まぁ、掘り出し物もあったしトータルで見ればいい感じだったかな? それにしてもさっぱりするわ! ほんと温泉といい、マレビトが考えるものってすごいものだらけだよね)
最後の指輪でついたケチも温泉の快楽に流され、彼女は温泉の成り立ちを振り返ってマレビトの発想力に感嘆していた。
就任するなり彼女は真っ先に群生地の照明事情を改善した。オンオフを切り替えるだけの天蓋の巨大な照明から、太陽の運行にリンクして地上に穏やかな熱と光を届ける人口太陽に切り替えることで、夏場の鍾乳洞のように冷たかった地下空洞は外の気候に近づいた。こうしてダンジョン外の魔物を繁殖させることに成功し、勢力が少数の種族に偏らないようにできた。
そこにアイデアを挟んだのが、村の建設に多大な貢献をした掘りの深い男性のマレビトだった。彼は人工太陽の付近を通って温められた地下水脈を利用してミルス村の地下まで水路を引っ張り、そこからくみ上げることで温泉を作ることに成功した。
そして現代日本の知識を活かし料理人や按摩を雇い食堂やマッサージ室を併設させ、村に現代的な源泉かけ流しのスーパー銭湯を作ってみせたのだった。
(最初は男の人と女の人が別々と知らずに男湯に突撃しちゃったけど、頭のいい私は1回で温泉の作法を覚えたわ! いやぁ、文明最高!)
自分の失敗を振り返り、のんびりと湯に浸かりながら文明の素晴らしさを反芻するマギリア。ちなみに彼女のように夜に温泉を利用する者は珍しい。まだ出来立ての村では野生モンスター対処のノウハウが完成しておらず、大抵の村人は夜道を安心して歩けないからだ。一般人の銭湯は明るい時間の利用が主で、夜に利用できるのは自衛能力に自信がある者のみに限られていた。
(こんな素敵な築き上げたものが、ラビス迷宮基地のボスが目覚めたら崩れるかもしれないだなんて……やっぱりどうやってでも結界を作ったドラゴンを倒さないとね! 人間達も今は復活に備えて戦士を集めているけど、私にも手伝えることがあれば協力したいなぁ……)
お風呂に浸かりながら、今の彼女の理想的な生活に不安材料を投げかける存在を思い出すマギリア。ダンジョンの魔素の大半を保有するボスが目覚めて暴れたら、今の村での穏やかな生活がどう変わってしまうか保証ができないのだ。今の時点ではまだ人間達もボスの復活を警戒して専用の討伐チームを組んで備えているが、彼らが現役でいる時代が過ぎたら後続がどうなるかわからない。
(賭博といい、人間の作るものはなにもかも興味をそそられるわ! 身を清めてサイコロ運を貯めて本番に備えないと)
ぐっと伸びをし、今後始まるサイコロを浸使った賭博に思いを馳せるマギリア。普通の人間よりはるかに強い存在でいるマギリアだが、こうやって力量差が無く一定のルールの下でなら同じ条件で平等に競い合える遊戯こそが彼女の興味を惹かれる娯楽だった。
「ごめんね、お風呂こんなに遅くなっちゃって」
「ううん、おかーさんがつよいからこわくないよ!」
マギリアの耳に背中を流し合う冒険者の母と娘の会話が聞こえてくる。帰宅が遅くなり夜な夜な娘を風呂に連れてきてしまったことを詫びる母と、全幅の信頼を預けて気にしないと無邪気に笑う娘。自分達が彼女達の日常を守る一助になれていることを誇らしく思う魔女だった。
(皆の穏やかな暮らしを守るためにも、明日から頑張らなきゃ!)
固めた決意と一抹の不安を抱えながらマギリアは湯船から出る。
(うん、おいしいわこの炙り肉! やっぱり人の文明って最高だわ! ボスのことなんて今悩んでいてもしかたないよね!)
賭場が開かれるまでに精を付けるために酒場に入って料理に舌鼓を打つマギリア。この特徴的な味付けもまた、人間達が積み上げた文明の結晶である。ビールを片手に独特の味付けをされた炙り肉を味わううちに、彼女の不安はぶっ飛んでしまう。
「それにしても、昨日の探索もギリギリだったな!」
「ああ、あそこでママが出てきてくれなかったらどうなっていたことか……」
(ハッ……!?)
酒と料理を堪能する彼女の耳に冒険者達の噂話が耳に届く。この酒場はダンジョンに挑む危険な仕事をする者たちの晩酌にも利用されていた。彼らは先日の探索の成果を話し合う間に、守護モンスターについての話題に入り始めていた。
『ママ』はキャンディについた彼らからの愛称だった。冒険者達の語る本音に、マギリアは悪いと思っててもつい聞き耳を立てないわけにはいかなかった。
「ママはあのパワーでデカい魔物だってねじ伏せるし、生き埋めになっても掘り出してくれるしよォ。頼もしいったらないな!」
「頼もしさでいったらスケさんも負けてないわ、あの速足でどこからでも駆けつけてくれるんだから。一番の新顔だからとちょっと不安だったけど、とんだ思い過ごしだったわね」
(お友達が褒められるのは気分がいいわ、賭けに勝ったらドーナツでもお土産に買っていこうかな!)
酔った男女の冒険者が口々にキャンディとキルトを褒める。最後に迷宮基地に入ってきた透明人間のキルトだが、俊足を活かして耳目を集め、今ではスケさんと呼ばれるほど親しまれるようになった。
「アクアちゃん達3人も助かるよ、実力自体は少し見劣りするけど姉妹の連携ってやつ? あれに何度助けられたことか……」
「あんた、あの子らに拾ってもらうためにわざとピンチになってないかい?」
「はははそんなまさか」
(よし! それで、後は私の番かな?)
次は自分かと期待を寄せるマギリア。冒険者達の話が彼女の番になるのにそう時間はかからなかった。
「それで、やっぱ守護モンスター元祖の魔女様だよ! あの方もなんてったって……その……」
「うん……」
(!?)
マギリアのターンが来た途端、急に口ごもってしまう冒険者達。隠れて聞いていた彼女も動揺を隠せない。
「魔術の腕こそ凄いけどさぁ……出てきても『助かったな!』感が弱い」
「まあね、でも実力は確かよ?」
「華奢で可愛らしいのはいいんがよぉ、それで弱そうに見えちゃうのはなぁ。あんな小さい子に守ってもらうのが申し訳なくなるんだよなぁ」
(華奢? 弱そう? 私、頼りない魔物だったの!?)
自分だけ頼りないと評され、落胆するマギリア。後の会話は彼女の耳に全く届かず、賭場で遊ぶ気分にもなれなかった。
「キルトさぁぁぁん……私だけ弱そうで頼りなくて、最初に来たこと以外何のとりえもないお荷物のクソザコメイジだって……」
翌朝、表情の暗いマギリアがお土産片手に迷宮基地に帰還した。彼女は相談があるとキャンディが営むバーに仲間を集めた。経緯を話すほど悔しさがこみあげて涙を流す魔女の表情に、一同は彼女が休日は堪能できなかったことを察した。
「仕方なかろうが、我々魔物は人間と違って成長に限界がくるものだろう。我輩もお前も頭打ちだ。頭打ちといっても物理的な――」
「キルトちゃん、そういうことで悩んでるんじゃないの。マギちゃんは実力相応の見た目をしてないから、冒険者の皆を安心させてあげられないって言ってるの」
お悩み相談を受けていた透明人間のキルトが解決は無理だと言う。キャンディはマギリアの言いたいことをくみ取って要約してくれる。
魔物は生まれた時点で循環器と呼ばれる彼らの生々流転を司る装置から、力の源が配分されて初期の強さと成長限界が決められる。その魔物の素養を縮めて魔素と呼んでいるが、マギリアはもう与えられた魔素の分だけはきっちり成長しきっているのだ。
「まったく、酒場の愚痴ぐらい聞き流せないのか。格上に挑んでむざむざ返り討ちにあったり、マッピングを怠って遭難するヤツが悪いのだから、キャンディぐらい堂々としていればよかろう」
「うう……それでも」
キルトの言うことは正しい。守護モンスターに助けられる事態になることそのものが冒険者の落ち度であるので、救助側の容姿にとやかく言う資格は無い。しかし、人間側に入れ込みすぎたマギリアには相手の感情面まで無視することは簡単に飲み込めない。
「マギちゃんはちょっと優しすぎるわ。もう少し肩の力を抜いて――」
『作ればいいさ……強キャラでも……その分難しくする……』
「「キャーッ!? 何今の!?」」
なだめようとするキャンディの言葉を遮るように、バーの一角から唐突にダンジョンから声がする。その声の主は夢心地の中でプレイヤーからキャラビルドの相談を受けているのだろうか、作ったキャラに応じて難易度を吊り上げると宣言をしている。
相談を長女に任せて店の掃除をしていた三姉妹は驚いて声を発した壁にモップやはたきを構えて威嚇している。
「強キャラ……そうね!」
「マギちゃん?」
「これもダンジョンのお告げよ! 私挑戦してみるわ!」
まるで見計らったかのような寝言に運命でも感じたのか、暗く沈んだ表情を一変させたマギリアが決意を込めて宣言する。
「うん、私を強キャラに改造する!」
「「「強キャラ!?」」」
【番外編 1/4 マギリアのお色直し】
魔王軍との戦争が終わってからまだ日が浅い頃、人間の味方として仕事をする在りし日のマギリアはダンジョン近隣の村の噂話から自分が弱そうに見られている噂を聞いてしまう。頼りがいが無いように見えてしまうマギリアはそのことを打ち明けると、それぞれのやり方で彼女を慰める同僚たち。未だ目覚めなかった頃のダン長の寝言からヒントを得て、マギリアは自分を強キャラへ改造する宣言をする。




