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「25歳のサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑤)  作者: サナダムシオ


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③ 伯爵vs伯爵

 床に倒れ伏している少女を挟んで、睨み合う二人の伯爵。


「キミは今、私の事を知らないと言ったな?」

 サン・ジェルマンが問いかける。

「いかにも。誰だキサマは?」

 何も知らないカリオストロは答える。


「私は……サン・ジェルマン伯爵だ!」

「……えっ!?」

 驚くカリオストロ。そしてサンジェルマンの顔を、マジマジと見つめる。


「……あ、ああっ!?」

「どうやら、私の顔を知っているのは、本当のようだな?」

「し、しかし……キサマは若すぎる」


「ああ、今日はうっかり、顔にシワを付けるのを忘れたんだよ。ひょっとしたらキミは、かつて、もう少し年を取った私に出会ったのか?」

「そうとも。そして正式に弟子にしてもらったんだ」


「一体それは、何時、何処で?」

「フランスの研究所で……錬金術の実験のために、弟子にして下さったじゃないですか?」

 最後は、半泣きの声で、敬語になるカリオストロ。

「ああ、あの時の……助手のウチの一人か。いちいち名前まで覚えていないぞ」(第ニ部 新世紀編③ 参照)


「確かに、あの頃の吾輩は、ほんの少年だったが、忘れてしまわれたのなら、口惜しい。それにしても貴方は……声は間違いなく、師匠のモノなのに……顔が若過ぎる。さては、若返りの秘術を使ったのですね?」


「そうじゃない。さっきも言ったが、あの時は、中年男性に見えるように、変装していたのだよ。若輩者に見られない方が、社交界で動きやすいからな。」

 今や会話は、すっかり主従関係のソレになっていた。


「さて……キミはここでナニをしていたんだ?」

「秘術を使って、この娘の、心の病を治そうとしていたんですよ」

「私には、いかがわしい儀式にしか、見えなかったぞ?どんな症状なんだ?」


 そこでサン・ジェルマンは、カリオストロから娘の症状を詳しく聞いた。娘は軽いうつ病だった。そこで、こんな事も有ろうかと持っていた、特製の抗うつ剤を取り出し、その場で娘に飲ませた。


 18世紀の話だから、素人の医療行為について、この際コンプライアンスなどは気にしないで欲しい。長くタイムトラベルを続けていると、そんな薬が必要になる事も有るのだ。


 娘は直ぐに元気になった。

 彼女はカリオストロにお礼を言うと、白装束を脱いで帰って行った。


「ありがとうございます。おかげで助かりました」

 サン・ジェルマンに頭を下げる、カリオストロ。


「構わないよ。キミの手柄にしておきなさい……ただもう、あんな怪しげな儀式は、ヤラないように!」

「はっ、肝に銘じておきます、師匠」

 カリオストロは、最敬礼で答えた。



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