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「25歳のサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑤)  作者: サナダムシオ


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⑰ 実体験

「サン・ジェルマン伯爵、キミはかつて、とある女性から、魂を時空の彼方に跳ばすための、瞑想法を学んだ筈です。」


 尚もアヌビスは、囁く。

 あれっ?ボクは彼に対してまだ、名乗ってないぞ?

 伯爵は不意に訝しく思った。


 恐らくソレが、顔に現れていたのだろう。

「別に怪しむ事はない。僕もバステトも、並行宇宙を旅する者として、過去、現在、未来を並列に俯瞰できるだけの事ですよ」

 アヌビスは、そうつけ加えた。


「……瞑想法って?」

「なあに、簡単な事です。ただ静かに落ち着いて目を閉じる。それだけでいいのです」

 伯爵は素直にそうしてみる。

 すると、1分も経たない内に、彼の脳内に変化が起こった。


 最初に見えたのは、小さな光のようなモノだった。

 やがて、脳内に沢山の文字のイメージが流れ込み、更にそれは、走馬灯のような映像の連続になった。


 サン・ジェルマンは、段々怖くなって来た。もしかしてこのまま、自分は死んでしまうのじゃないのか?という恐怖だ。それは、疑似臨死体験と言ってもいい。するとまた、隣でアヌビスが囁く。


「今貴方は、恐らく情報の奔流の中に居て、恐怖を覚えているところでしょう。そこで、今一番知りたい情報に、集中してみなさい」


 伯爵が、彼に言われた通りにすると、脳がラクになった。見えて来たモノは、スフィンクスの成り立ち。ピラミッドの成り立ち。そしてエジプトのポータルを、最初に使った者たちなどだった。


 そこまで見た時、ポンと肩を叩かれた。目を開けると、隣で黒い柴犬が笑っていた。

「如何でしたか?なかなか興味深い、体験だったでしょう?」

「……ええ、こんなに簡単に、瞑想状態に入れるとは、思いませんでした」


「この部屋は特別に、そうなるように設えてあるんですよ。言わば我々犬族の、科学技術の結晶です。しかし余りお見せし過ぎるのも、リスクを伴うので、今日のところは、一先ずこの辺で」

「凄いモノですね」


「ただ貴方には、優れた素養がある。少し訓練を積めば、この部屋に居なくても、今のような体験が可能になりますよ、きっと」

「それは……ボクの事を買いかぶり過ぎでは?」

「まずは出来ると信じる事です。信じて、行動した者には、与えられるのです」


 アヌビスはとうとう、怪しい新興宗教の教祖のような事を言い出した。

 サン・ジェルマンは、苦笑しながらも「ありがとうございます」と言っておいた。


 

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