第10-3話:腰の旋回を封じる準備
「くっ……!」
四肢を固定されながらも、セイントレディは空中で必死に身体を捻った。
俺との血の滲むような特訓で編み出した『腰の左右旋回』。ゾディアックの押し込みのベクトルから、物理的にクリスタルの合致点をずらし続けるための、生命線とも言える回避運動だ。
しかし、その動きを冷徹に待っていたかのように、ネクサスの残る2本の太い触手がスルスルと伸び、彼女の滑らかな腰回りにじわじわと絡みつき始めた。
いきなり完全に締め上げるのではない。彼女が腰を振るたびに、触手の内側にある微細な吸盤がレオタードの光沢ある生地を撫でるように滑り、その回転運動をミリ単位で制限していくのだ。
「あ……っ、やめ……!」
腰を旋回させるたびに、強靭な裾ゴムがパンスト越しに肉を噛み、彼女の柔らかなヒップラインが不規則に波打つ。
ネクサスは、その生地の歪みすらもデータとして読み取っていた。彼女がどの腹筋と背筋を使い、どの角度で腰の回転を生み出しているのか。その運動エネルギーの発生源を、触手越しに冷酷に観察・解析しているのが、離れて見ている俺にも痛いほど伝わってきた。
(これは……第8章の拘束で集めたデータと、完全に連動している……っ!)
俺は背筋が凍るのを感じた。
ネクサスは、彼女が誇りを取り戻したその戦術を、野蛮な力でねじ伏せるのではなく、彼女の肉体の『物理法則』そのものを解析し、無効化しようとしていたのだ。。




