第10-2話:初期拘束
戦闘が開始されるや否や、ネクサス・バインドの巨体から4本の太い触手が鞭のように弾け、瞬時にセイントレディの手首と足首を空中で捕らえた。
だが、その拘束はただの力任せな捕獲ではなかった。
触手は彼女の柔らかな関節に吸い付くように絡みつき、筋肉の収縮率や骨格の可動域を正確に測るように、ゆっくりと、しかし確実に彼女の姿勢を制御していく。
まるで『人体設計図』を冷徹になぞるような、極めて論理的で無機質なホールド。
「くっ……! 離しなさい……っ!」
彼女は空中で身体を捩り、拘束を振り解こうともがいた。
しかし、彼女が力を込めるたびに、ロイヤルブルーの超高密度繊維が四方へ限界まで張り詰め、その強烈なテンション(張力)が逆に彼女の体力を奪っていく。
ネクサスの触手は、彼女が抵抗して筋肉を収縮させるその「ピークの瞬間」を計算し、力が抜けるほんのわずかな隙間を縫って、さらに深く関節をロックし直していくのだ。
抵抗すればするほど、レオタードの生地は彼女の胸の膨らみやウエストのくびれを一切の遊びなく浮き彫りにし、無防備なシルエットを晒し出してしまう。
セイントレディはまだもがくことができていたが、その動きはすべてネクサスの計算の範疇だった。彼女が誇る戦士としてのしなやかな重心は、もがき苦しむほどに少しずつ、冷酷な演算機の内部へデータとして吸収され、確実に奪われていったのである。




