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第8話:残された痕跡と揺らぎの自覚
強烈な閃光と煙幕が晴れた後、そこにセイントレディの姿はなかった。
ネクサス・バインドは逃げる獲物を追う素振りすら見せず、赤い電子音を点滅させながら記録を総括した。
「レオタード内装データ、及び皮膚接触反応。収集完了。……次のフェーズへ移行する」
無機質な呟きを残し、怪人は闇へと消えていった。
一方、アジトに逃げ帰った麗子は、冷たい床に崩れ落ちていた。
全身の筋肉が小刻みに震え、呼吸がまともに整わない。彼女は震える手でレオタードの裾を捲り上げ、自身の股間を見つめた。
そこには、ネクサスの触手が残した、不気味に冷たく粘つく粘液の痕跡が、パンストの股間部分にべっとりと付着していた。
「……私の、身体……。もう、私のものじゃないのね……」
自分の最も神聖な空間がデータとして奪われ、身体記憶そのものが敵に寝返ってしまった。
心の揺らぎが「体の揺らぎ」へと直結し、もはや自分自身の感覚さえ信用できない。麗子は、自分の指が太ももに触れる感触にさえ、敵の触手を想起してビクンと跳ねてしまう、終わりのない地獄に独り震えていた。




