第31話 黒眼の群れ
第31話「黒眼の群れ」
“救えなかった者たち”との戦いが始まる。
黒い目が、一斉に迫る。
「来るぞ!」
レイが踏み込む。一閃、二体、三体と斬り崩す。だが止まらない。
「数が多すぎる!」
トペミアが矢を放つ。一体を貫くが、すぐに次が迫る。
「……っ」
手がわずかに震える。
「下がってください!」
ルークの声。前には出ず、後方から手をかざす。
「強化入れます!《アーク・ブースト》!」
光が走る。レイとリンの動きが一気に上がる。
「助かる!」
レイが踏み込み、連続で斬る。
「右から来るぞ!」
ルークが位置を読む。
リンが即座に反応、一歩で間合いを詰めて一閃。三体が同時に崩れる。
「囲まれるな!」
「了解!」
トペミアが応える。今度の矢は迷いがない。
だが、数が減らない。
「……多すぎる!」
レイが舌打ちした瞬間、背後から影が迫る。
――ドンッ!
「油断」
シェリの槍が貫く。
「助かった」
「…集中して」
短いやり取り。
「一度下がれ!」
チャコリアが何かを投げる。――バンッ!煙が広がる。
「視界切る!立て直せ!」
その隙に全員が位置を取り直す。
「お前ら……いけるか?」
リンが聞く。
一瞬の沈黙。
「……やる」
トペミアが小さく頷く。「もう迷わない」
ルークも息を整える。
「支援続けます。任せてください!」
レイが口元を上げる。
「よし、いくぞ」
「連携で押し切る」
「おう!」
次の瞬間、全員が動いた。
レイが前線を切り裂く。リンが踏み込み突破、シェリが確実に仕留める。
トペミアの矢が死角を抜く。
「左三体、来ます!」
ルークの指示。
「強化重ねます!」
光が重なる。動きがさらに加速する。
「押してる!」
チャコリアが叫ぶ。
「このままいくぞ!」
レイが踏み込み、連続で斬る。
リンが横から一閃、まとめて崩す。
トペミアが最後の一体を射抜く。
――静寂。
風の音だけが残る。
「……終わったか」
レイが息を吐く。
トペミアが弓を下ろす。
「……うん」
ルークが周囲を確認する。
「……これでよかったんですかね」
小さく呟く。
リノアが目を伏せる。
「助けられなかった……」
空気が沈む。
「やれることはやった……くそが」
リンが悔しそうに言う。
「迷ってたら俺たちがやられてたんだぞ」
レイも頷く。
「……だな」
シェリが周囲を見る。
「終わりじゃない」
その一言で空気が変わる。
「人為的なら原因があるはずだ」
「これを作ったやついるかもしれねー」
リンがが剣を握り直す。
「……探すぞ」
レイが頷く。
トペミアも、ルークも。
迷いを抱えたまま、それでも前を見る。
偽りの村の奥へ――真実を暴くために。




