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第20話 赤く光る瞳

第20話「赤く光る瞳」


 洞窟内部。


 ぬかるみが、大きく脈打つ。


 ぐにゃり。


 ズズ……と音を立てて、スライムが集まり始める。


「……来るぞ」


 シェリが低く言う。


 地面一帯から、スライムが“集まる”。


 流れるように。


 吸い寄せられるように。


 やがて――


 一つになる。


 膨れ上がる。


 巨大な塊へと。


「……でかすぎだろ……」


 誰かが呟く。


 だが、それだけじゃない。


 周囲の影が動く。


 魔物。


 さらに――魔獣。


 奥から、次々と現れる。


「囲まれてるぞ!!」


 叫び声。


 一気に戦場が広がる。


「落ち着け!!」


「隊列を崩すな!!」


 別パーティが叫ぶ。


 だが、数が多い。


 押し潰しにきている。


 その時――


「コノミ!!」


 チャコリアの声。


「範囲維持!!」


「はいっ!」


「《ヒール・フィールド》!」


 やわらかな光が広がる。


 傷ついた冒険者たちの動きが戻る。


「助かった……!」


「まだ戦える……!」


 戦線が、持ち直す。


「前線は押し返せる!」


 チャコリアが全体を見渡す。


「崩れるな!!流れはまだこっちだ!!」


 その声に、迷いはない。


 全体を“見ている”指示。


 戦場がまとまる。


「レイ!」


 ルークの声。


「魔獣が、来ます!」


「ああ」


 レイは短く答える。


 目の前の魔物へ踏み込む。


 一閃。


 一体。


 そのまま次へ。


 無駄がない。


「左、三」


 シェリの声。


 槍が走る。


 貫く。


 引く。


 また一体。


 速い。


 正確。


「……いい連携だな」


「今だけだ」


 短い会話。


 だが噛み合っている。


「レイ!」


「《クイック・ステップ》!」


 ルークの補助。


 身体が軽くなる。


 レイが加速する。


 まとめて、斬る。


 確実に数を減らす。


 その一方で――


「そっち抜けてるぞ!!」


「任せろ!!」


 別パーティも応戦している。


 だが押されている。


 数が多い。


 その時。


「後ろ甘いぞ」


 クロージスの声。


 割り込む。


 斬撃。


 助ける。


「す、すまん!」


「気にすんな、集中しろ」


 落ち着いた声。


 流れを整える。


「トペ、上だ」


「はいよ!」


 トペミアが跳ぶ。


 位置を取り、矢を放つ。


 正確に撃ち抜く。


「いいねここ!」


「当てやすい!」


「油断するな」


 リンが言う。


 短く。


 だが重い。


 トペミアは笑いながらも、手は止めない。


 その後ろで――


 ジョカナスが音もなく処理する。


 影のように。


 確実に。


 そして――


 リノア。


「《アーク・ブースト》」


 光が走る。


 リンの身体が強化される。


 一段、速くなる。


 一段、重くなる。


「……いいな」


 リンが呟く。


 一歩踏み込む。


 一撃で、魔物をまとめて薙ぐ。


 圧が違う。


 さらに――


「全体、底上げする!」


 チャコリアの声。


「耐えろよ!!」


「《グランド・バースト》!!」


 空気が震える。


 全体に力が流れる。


「うおっ……!」


「身体が軽い……!」


 前線が押し返す。


 崩れかけていた流れが、戻る。


「今だ!!押せ!!」


 チャコリアが叫ぶ。


 完全に戦場を制御している。


 巨大スライムはなおも膨張する。


 圧が増す。


「……まだ増えるのかよ」


 ルークが息を飲む。


「核はあれだ」


 レイが言う。


「あれを潰せば終わる」


「でも距離が……」


 近づけない。


 雑魚が多すぎる。


 その時。


「前、開けろ」


 リンが言う。


 短く。


 それだけ。


 だが――


 全員が理解する。


「……来るぞ」


 シェリが呟く。


「クール野郎の道を作るよ」


「ああ」


 レイが踏み込む。


 シェリも同時に動く。


 左右から切り裂く。


 雑魚を押しのける。


「ルーク!」


「任せてください!」


「《クイック・ステップ》!」


 レイとシェリはさらに加速。


 道が開く。


 その中心を――


 リンが進む。


 圧が違う。


 ただ歩くだけで空気が張り詰める。


「リノ」


 呼ぶ。


「うん」


「しばらく俺だけに集中しろ」


「……え?」


「回復と補助を俺に全部回せ」


 一瞬、間。


 だが――


「……わかった。あれやるのね」


 リノが静かに答える。


 覚悟が決まる。


「コノミ!!」


 チャコリアの声が重なる。


「リンとリノのライン維持しろ!!」


「はいっ!」


 光が重なる。


 回復が集中する。


 リン一人に。


 リンは立ち止まる。


 巨大スライムを見据える。


 その目が細くなる。


「……行くぞ」


 小さく呟く。


 そして――


 「……バーサク……」

 リンが呟く


 その瞬間。


 目の奥が赤く光る。


 空気が変わる。


 圧が一段、いや二段以上跳ね上がる。


 誰もが息を飲む。


 次の瞬間、


 何が起こるのか――


 まだ誰も知らない。

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