episode34 クライシス
見直して分かりにくいところがあったので1話から校正しまてみました。
---from アオイ side---
「もう少し削りたいところね。」
私は思案する。
私達の目的はリサ教授達、研究員の救助だ。
そのための第一段階として帝国が所有している石碑を手に入れる必要がある。
なぜならりさ教授達は「魅入られたもの」になっている可能性があるからだ。
「魅入られたもの」は地の国で調べた内容によると
「守護者」と呼ばれるモンスターに「自身の一部」を奪われた状態らしい。
地の国では研究の結果、「奪われた自身の一部」をダンジョン内から抽出することに成功。
それが石碑だ。
その石碑を「魅入られたもの」になった、りさ教授達が探している。
おそらく「魅入られたもの」から元に戻る方法を探しているのだろう。
赤石のSNSを通して「自分たちを探すよりも石碑を探せ。」と指示してきているしね。
このことから脱出よりも自分自身自身の一部を取り戻すのが先ということをリサ教授達は考えていると推測される。
まだ、会ったことはないけど・・・
このリサ教授という 人物の頭脳と行動力には驚く。
多分・・・。
自身の変化を研究して、「自分の一部が奪われた状態にある」という結論にまで達したのだ。
この短期間で。
さらにそれがどこかにあるという事も突き止めている。
さらに驚くのが・・・
リサ教授は「魅入られたモノ」になっている。つまり普通の状態ではないということだ。
研究も儘ならない状態だと思われるのに、ここまで研究を進めるなんて・・・
あの赤石が惚れるわけだ。
それはともかく・・・
つまり、このまま真っすぐりさ教授のところにむかっても救出できず、まずは帝国のもっている石碑を入手する必要がある。
そのためには帝王のところに赴かなければいけないが、いままでの経緯から帝王に「石碑をください。」といっても「どうぞどうぞ。」とはならないだろう。
そうなったら逆に怖いわ。
まず、バトルになる。
相手は私の祖国青の国を侵略したインベーダーだ。
そして今もなお、「地上」を狙っている。
であれば戦うしかない。
幸か不幸か地底国家群の交通の要「帝都」を手に入れることができた。
帝都は交通の便がいい
この帝都からなら、地底国家群のどの国にも行きやすい。
後々の調査で帝王たちは「白の国」にいることが分かっている。
「白の国」は帝都からダンジョン一つで行くことができる。
つまりルートは確保した。
あとは逃げた帝王の元にいくだけ。
言葉にすると一行だが、実際は容易ではない。
帝王、宰相ユミル、四天王デビルフィッシュ、その副官ミスクロウ、私達に似た力を持つ白井。
まとめて戦うには分が悪い。
あとアホ兄とその仲間もタイタンから帝王に寝返ったと聞いている。
認めたくはないが現実として、対するとなると厄介だ。
だから、少しでも相手の戦力を削りたい。
それが良いことかどうかはわからないが、帝王側は帝都奪取に動くだろう。
先日もラーマとかいう獣人が攻めてきたし、その後も4人の手練れが攻めてきた。
撃退し、敵戦力を削ることができたが、それで帝王と戦えるかと言ったら怪しい。
せめてデビルフィッシュだけでも削っておきたい。
そのためにも・・・私はゴーレム改良を急ぐことにした。
---from ルカ side---
「いやあ。僕ぁ十人衆降りますよ。」
僕は帰還後、宰相ユミルに言った。
十人衆に加わったのも宰相ユミルに「机上の研究もよろしいが、実戦での研究の方が成果が出るのでは?」という宰相ユミルからの誘いがあったからだ。
そん時は、そういえばかの高名なマッドサイエンティスト、ホノカも実戦で研究成果を試行してたなぁくらいに考えていた。
だから参加した。
僕の魔法の研究成果があれば四天王くらいの成果はすぐに上げられるだろうという自惚れもあった。周りも新規気鋭の魔術師なんてもてはやすしね。
んで、実際に実戦に出て実験してみた。
得るものはあったよ。
老剣士ミーミルの氷魔法の使い方とかエルフの剣士ルールの召還術とか、あと実戦では反射の魔法が思いのほか有用とか
でもね。
あのアオイのスキルは反則でしょ。
一瞬にして戦場が魔法不可フィールドになっちゃった。
あれだと手も足も出ない。
同時に魔法の限界を知ったよ。
いくら僕が新規気鋭の魔術師と言われたってあくまでも魔術師の中で突出しているってだけ。
魔術師というカテゴリーを無くして何でもありになっちゃったら手も足も出ない。
身の程を知ったってわけさ。
僕ではどうあがいても四天王にはとどかない。
なら、ここが引き際だろう。
「ふうむ。困りましたな。」
宰相ユミルは顎に手を当てて考えている。
まあ、そうだろうね。
十人衆が発足したとおもったら
豹頭の勇者 ラーマ
鬼人 グランド
氷剣の老戦士 ミーミル
そして僕と半数近い人員が離脱するわけだ。
困ったというのは本音だろう。
「あら、複雑ねぇ。ライバルが減るのは嬉しいけどねぇ。こう大量離脱されちゃ私達、十人衆の格が疑われちゃうわねぇ。」
そうつぶやき、そう言ったのは吸血鬼の長 ダイモン。
「そうなのです。私も帝王様に顔がたちませぬ。そこで、ダイモン殿よろしければ、この現状を打破するということで行っていただけませぬか。」
宰相ユミルがダイモンに依頼する。
「そうねぇ。」
吸血鬼ダイモンがこちらをちらりと見る。
「あなた魔術師としては最高の力をもっていると聞いてるわぁ。」
「あくまでも魔術師という範疇にとどまりますけどね。僕ぁ今回のことでそう思い知りました。」
「あら、謙遜ねぇ。でもネクロマンシーはできるんでしょぉ?」
ネクロマンシー・・・死者を操る術ですか
「できないくもないですが? どうするんです? 例えそれでアンデッドの軍団作ったとしてもアオイのスキルで一発消滅ですよ。」
エルフの剣士ルールを見ながら言う。
彼女の術は素晴らしいものであった。
本来存在が希薄な風の精シルフに魔力をつぎ込んで実体化させた。
だが、その見事な技術もアオイのスキルの前では何の役にも立たず霧散した。
ネクロマンシーは彼女の術に近い。
魔力を注ぎ込むのが風の精か死者の霊や骨の違いだけだ。
同じ結果になる未来が見えている。
「いやあねぇ。そうならないように私がいくのよ。ねぇ宰相。ルカとルールが行くなら私行くわぁ。」
ダイモンがこのように言ったことで次の出撃が問答無用で決まってしまった。
「なんでぇ私がぁ!」
とエルフの剣士ルールがと叫んでいたが、まったく同じ気持ちです。
なぜ、また負けに行かないといけないのでしょう?
---from カク side---
「・・・筋はよい。もっと相手を見ろ。」
「はい!」
俺は目の前の二人を見る。
一人は少年兵バド
そして、その少年兵バドに稽古をつけているのが元タイタン配下。最強の剣士の名高いライト様だ。
アオイ様の防衛策の一環で兵士はライト様に稽古をつけていただくことになっている。
なんでも
「ライトみたいな最強剣士がたくさんいたら、生存率もあがるんじゃない?」
ということらしい。
実際、ライト様は剣を教しえるにあたってよき師匠であった。
何合か打ち合うと長所と弱点と伝えてくる。
その両方を意識して打ち合うと自然とレベルアップした。
まあ、俺のようなロートルはその伸びしろは若い奴ほどないけどな。
ここでライト様の鍛錬後、動けなくなりのびているけどな。
それにしても不思議だ。
この帝都はタイタン様の支配下にあったときもある。
その当時、タイタン様の配下であったライト様がこのように兵士に対して稽古をつけることはなかった。
今は俺やバドを含めた兵士全員がライト様に稽古をつけてもらい兵士全体のレベルの底上げになっている。
同じ人材なのにこうも違うモノかと俺はひそかに舌を巻いている。
楽園『地上』を中心とした他国との交易により徐々に豊かになり。
ゴーレム強化、兵士のレベルアップと戦力を強化していく
これが富国強兵か。
と思う。
「・・・次。」
少年兵バドとの鍛錬が終わったらしい。
バドもヘロヘロになって俺の元へきて倒れた。
「ライト様 化け物ですよ。」
「なんでだ?」
「だって、これで何人の兵士を相手に鍛錬してるんですか? 僕らはもうバテバテなのに汗一つ書いてないですよ。」
「確かにな。最強の剣士の二つ名は伊達じゃないってことだろうな。」
そう言っている間に次の鍛錬が終わったようだ。
「・・・力はある。だが足の使い方がまだまだだ。足の運行を意識するとよい。」
例によって長所と弱点と伝えるライト様。
ところが・・・
「ええーっ。いいですよ。俺には俺のやり方があるんで。ほら、俺ライト様よりも力あるんで。俺には俺の戦い方があるんですよ。」
とその少年兵は反発した。
おい、おい、折角、最強の剣士がアドバイスしてくれてるのにそれを無下にするってか。
さすがにそれはどうかと思うので、重い腰をあげる。
「大丈夫ですか? 動きが老人ですよ。」
少年兵バドが心配しているんだか、揶揄っているんだかわからない声をあげる。
うるせーな。
いや、ほんと、さきほどの訓練でコテンパンにやられたので、本当に疲労で腰が重いんだよ。
その時、伝令が駆け込んできた。
帝国がまた攻めてきたらしい。
「ゴーレムを起動させてきます。」
少年兵バドが動く。
ライト様と先程の問題発言した少年兵が動いた。
俺もあとにつづく。
先程の問題児大丈夫か?
俺は一抹の不安を抱えて駆けた。
---from ルカ side---
あれぇ? あれれ?
あのゴーレム。昨日より強くなってませんか?
すばやく帝国内に侵入すると僕達は素早く軍団を展開
具体的には死霊魔法ネクロマンシーで骸骨兵やゾンビを呼び出す。
そのゾンビの中に鬼人 グランドや氷剣の老戦士 ミーミルもいたのはご愛敬。
このあたりで死んだ人をゾンビ化するとそうなるよね。
ちなみに鬼人グランドは最初から本来の姿。つまり巨大な姿になっている。
そりゃそうか、人化魔法をかけたわけじゃないからね。
エルフの剣士ルールも「えーっ。どうせ、打ち消されるじゃん。」と文句を言いつつも先日と同じようにシルフの軍団を具現化。
吸血鬼ダイモンは眷属の蝙蝠を大量に呼び出した。
見た目はモンスターの大軍だ。うーん。物量で攻めようってことなのかな?
僕の考えだとアオイの「胡蝶の夢」のスキルで魔法で動いている骸骨兵。ゾンビ。魔法で実体化しているシルフは消えちゃう。蝙蝠は残るかもしれないけど、それでどうするんだろうか?
ともあれまずはダンジョンの出口に鎮座するゴーレム3体が相手だ。
けど、強くなってませんか?
前回同様、ゴーレムは開幕、頭部のモノアイから光魔法を発射。
それを前回同様「反射」の魔法ではじき返す。
前回はこれでこのゴーレムを倒すことができた。
今回は違った。
反射した光魔法がゴーレムの装甲にあたったとたん消滅した。
「・・・打消し? いや吸収か?」
敵も対策してきたらしい。
装甲に光魔法吸収の呪文を組み込んだのか。
これで自滅はなくなった。
「って、おわっと。」
岩の塊が飛んできた。
これはストーンバレッドの魔法(?)
いや、もっとシンプルに岩を投げつけてきたということか?
これは意外とやっかいだ。
魔法じゃないから打ち消すことも、反射することもできない。
かといってこの質量の物体が、この速度で飛来してくるのであれば、あたれば即死。
「gandir」
僕はマジックミサイルの魔法で迎撃する。
む。
でかいな。
マジックミサイル1発じゃ無理か。
僕はマジックミサイルを連発し迎撃に成功した。
うーん。前よりも強くなってる。っておわーっ!
ゴーレムが空を飛んできたっ!
そのまま僕に向かってパンチ!
「borg!」
僕は魔法で土壁をつくりパンチを防ぐ。
土壁はパンチで崩壊したが、被弾を防ぐことには成功した。
あっぶない!
念のため土壁を3層にしてよかったあ。
うーん。骸骨兵もゾンビもエルフの剣士ルールの呼び出したシルフもゴーレムに蹴散らされている。ゾンビと化した鬼人グランドの一撃にも期待したけど、ゾンビ化したことで俊敏さが失われている。躱されて終わった。吸血鬼ダイモンの呼び出した蝙蝠なんてゴーレムの周りを飛び回っているだけだ。
蝙蝠の攻撃手段は牙ぐらいなんでしょうね。
石のゴーレムには文字通り歯が立たないんだろう。
「しょーがない。」
ゴーレムを倒さないとどうにもならない。
「sandr skipti」
僕はゴーレムにむかって魔法を唱える。
ちょっと昔、この魔法でへまをしてトラウマのある魔法だけど、そんなことも言ってられない。
この魔法を受けたゴーレムの一部が砂となって崩れ落ちた。
この魔法は「砂化」の魔法。
「生き物」には使えない。
「劣化しない、しにくいもの」には使えない。
「対象になる材質が限られる。」
など制約が多いが、ゴーレムのような生命のない無機質型モンスターには効果覿面だ。
さすがに全てを砂化は無理でしたが、光魔法を放つモノアイも剛腕パンチを繰り出す両腕も、空を飛ぶ推進器の機能のある両足も砂化したので戦闘不能でしょう。
「へーっ。やるじゃん。」
エルフの剣士ルールがこちらを見て言います。
いや、「やるじゃん」の言葉をそのまま返しますよ。
エルフの剣士ルールの横には2体のゴーレムが倒れています。
状況的にルールが倒したのでしょう。
そういえば前回もこのエルフの剣士はいつの間にかゴーレムを2体倒しています。
いったいどうやってるのでしょうか?
「ね。なんでその魔法、今まで使わなかったのーっ。強いじゃんその魔法。」
エルフの剣士ルールが人懐っこく訪ねてきます。
「えーっ。それ言わなきゃダメですか?」
「えーっ。味方の戦力は知っときたいじゃん。それが奥の手ってことぉ?」
「そんな格好いいものじゃあないですよ。ただのトラウマで使わなかったんです。」
「トラウマ? なにそれ?」
「・・・昔、冒険者やってたんです。」
「よくある話ね。腕っぷしに自信があるならやらないほうがおかしいわ。」
エルフの剣士ルールがいう通り、実力に自信がある人は一度は冒険者という職業に就く。
何せ国と国との間を結ぶダンジョンにはモンスターがいるのだ。
そのモンスターの間引きやモンスターからしか得られない素材集め。ダンジョンを移動する商隊の護衛に、未知のダンジョンの探索。
適度なスリルと探求心を満足でき、なおかつお金と名声もついてくる。
実力が伴わなければ大変な職業だが、逆に実力があればこれほどよい職業はない。
おそらく十人衆は皆、一度は冒険者を経験しているのではないだろうか?
「それで、その冒険者時代に何かあったってわけね。何あったの。お姉さんに言うてみな。」
なんかエルフの剣士ルールがぐいぐいきます。
目が輝いてます。
人のトラウマ話が好物なのでしょうか?
やな性格です。
「魔法が誤爆したんです。」
「え?」
「冒険者仲間に女騎士さんがいたんですけど、その人に今の魔法が誤爆しちゃって。」
「え、それで死んじゃったのその人。」
「いや、その、この魔法は条件が厳しくて生きている人間には効果ないのです。でも彼女が着ている鎧や衣服には効果があって・・・。」
「ちょ、ちょっと待って。鎧や衣服が砂化したってことは!」
「えーと。ご想像の通りです。」
「いやだ。こいつ最低の魔法使いだ。」
「だから言ったじゃないですか。その時も女騎士の彼女に同じこと言われましたよ。それ以降、この魔法はトラウマなんです。」
「当たり前でしょ。そんな魔法一生封印しときなさい。女の敵よっ」
ひどい言われよう。
僕だって一生封印したかったですよ。
そんな僕のトラウマをゴリゴリ抉られるやりとりをしていると近くに巨大な半壊したゴーレムが投げ出された。
轟音と砂埃が舞う。
僕たちはその衝撃でちょっと体制を崩す。
状況を見るに吸血鬼ダイモンが力技でゴーレムをぶん投げ破壊したようだ。
吸血鬼は見た目に反して怪力だという。
おそらくは吸血鬼特有のスキルだろう。スキル「怪力」あたりかな?
このくらいはスキル「怪力」でやってのけるだろう。
「まあったく。このゴーレムというよは厄介ね。吸血鬼らしいエレガントな戦いが出来やしないわ。決めた! 私、石の国に行ってゴーレム職人を全員下級吸血鬼のグールにするわ。」
体についた埃を払いながら吸血鬼ダイモンが自分がぶん投げたゴーレムに近づき
「ムンッ!」
と言ってゴーレムの体を引き裂いた。
恐るべき怪力だ。
吸血鬼というと吸血による生物のグール化や魅了の魔眼による生物を操るなど対生物に特化したスキル持ちのイメージが強いですが、なるほど怪力と肉体再生のスキルももっているので肉弾戦もやればできるということですね。
「あら、あなたたち早いのね。さすがは十人衆に選ばれただけあるわね。」
ゴーレムとの戦闘を終えた吸血鬼ダイモンが僕たちに気づいたようだ。
「一応―っ、2回目なんでーっ。それよりもゴーレム相手にわちゃわちゃしている間に来ちゃいましたね。やつら。」
エルフの剣士ルールがそう言って振り向く。
その視線の先には地上の勇者 レンジャーワンがいた。
さあ、ここからが本番ですね。
---from アオイ side---
結構、自信作だったのに!
帝国がまたまた攻めてきたというのでダンジョン入り口に急行する。
見ると改造したばかりのゴーレム4体が無残なことになっていた。
自信作だったんだけどなぁ。
足止めはできても敵戦力を削るというところまでにはならなかったか。
それよりも何この大軍。
前回もいたシルフはまだいいとして、骸骨兵やゾンビ。蝙蝠型モンスターまでいるじゃん。
なんであのゴーレム4体いて、こんな大軍展開ゆるしてるの?
あとで兵士たちに運用方法を確認しないといけないな。
普通にゴーレム を運用していたらこうはならない。
さて、現状の確認はここまでにしよう。
まずはこの敵を全滅させないといけない。
私はドラウプニルを操作する。
「An armor changes Wodan」の機械音が鳴り響く。
私の体が青い全身スーツにつつまれる。そしてマントのような青藍のパーカーとフレアスカート。鍔の広いとんがり帽子を被り。杖を持った。魔法使い然とした姿へと変わる。
「Completion! The magicians・blue」
変身完了の機械音と同時に青い魔法使いに変身した。
「Completion! The Fighter ・RED」
「Completion! The Commander・yellow」
別の変身完了の機械音が聞こえる。
一緒に来た、赤石・山吹も変身完了したようだ。
「ぬううううん。」
赤石がいつものように単騎で突撃する。
その赤石に並走するように近づく一人の漆黒の鎧の騎士がいる。
ライトだ。
そういえばライトは兵士に稽古をつけていた。
今日はそのために前線に来ていたのだろう。
「・・・俺も行く。」
そういうが早いか、敵の骸骨兵を切り捨てながら突き進む。
そういえば最強剣士の二つ名をもっていたっけ。
タイタンの陰に隠れていたけど、ライトも相応の実力者ってことか。
ライトはそのまま敵の大将と思われるエルフの剣士に会敵。
そのまま打ち合う。
お、おおおっ?
これは強いんじゃない?
派手さはないが一つ一つの技術でエルフの剣士を圧倒してる。
最強の剣士の二つ名はだでじゃないってことか。
「え、ええーっ。ちょ、ちょっと。ここでライトが出て来るなんて聞いてないんだけどーっ」
エルフの剣士が防戦しつつ悲鳴をあげてる。
「・・・叫んでる余裕があるのか?」
そのエルフの剣士に対して、ライトは力の入った胴薙ぎ一閃。
エルフの剣士は慌てて剣で防ぐが、その防御に慌てた分力は入っていない。
軽く吹き飛ばされ、地に転がった。
これは勝負ありだ。
「ちょ、ちょっとぉ。ル、ルカ! さっきの魔法でなんとかしてよ!」
エルフの剣士が近くにいた大将クラスと思われる魔法使いに援護を依頼する。
援護するか?
と思ったけどなんか揉めてる。
「い、いや。だから、あの魔法は僕のトラウマで。」
「そんなのどうでもいい。カワイイ私の命の瀬戸際なのよ。」
「僕の失敗談。聞いてるでしょ?」
「大丈夫。カワイイ私がいるから。今度は。」
「無根拠か!」
大丈夫か。あんたら。
ライトがその剣を振り下ろしたら少なくても地面に転がっているエルフの剣士は死ぬんだが。
そのライトはやや、呆れ気味にそのやり取りを見ていた。
うん、ライトの弱点はこういうところだよね。私や赤石は問答無用に倒してる。
決して私達が空気を読まないわけじゃない。
「・・・もう、いいか?」
ライトが地面に転がされているエルフの剣士を見て剣を小さく構える。
「ルカぁ!」
エルフの剣士が叫ぶ。
ルカと呼ばれた魔法使いはある呪文を唱えた。
えっ。あの魔法はまさか!
『あれは危険ですわ。』
カグヤも同意見のようだ。
ライトはさすが。
危険を察知したかサッっと魔法の射線から回避。
「きゃーッ!」
ライトが躱したため超危険な魔法が地面に倒れていたエルフの剣士に誤爆。
鎧や衣服を砂化した。
『要するに。素っ裸ですわね。』
いやー。カグヤ。身も蓋もないことを言うなよ。
「ちょ、ちょっとおーっ何やってんのよっ!。」
「え、あああ。ごめんなさいっ!。」
素っ裸にされたエルフの剣士と
素っ裸にした魔法使いが
真っ赤な顔をして同時に転移した。
うん。今回は見逃そう。
あれはあまりにも可哀そうすぎる。
さてと
「お仲間は逃げちゃったけどどうする吸血鬼さん。」
私は最後に残った、敵の大将と思われるガタイのいい男に声をかけた。
青白い顔、中性的でありながら上背のある体。口からのぞかせる犬歯。赤く常に魅了の力を発している魔眼。そして蝙蝠を使役している。
これだけ特徴が揃え誰でも彼の種族はわかる。十中八九、彼は吸血鬼だろう。
「あらぁ。あなたの眼は節穴なのかしら? ふふふお仲間が逃げたですってぇ? こんなに仲間がいるのにぃ?」
その吸血鬼はにやりと笑い振り向く。
まあ、確かに将校級の二人は去ったが、実体化されたシルフや骸骨兵にゾンビ。そして蝙蝠達の混成軍団は残っている。
『胡蝶の舞!』!
私はスキルを発動する。
シルフは風の精 元々、存在自体が希薄なモンスター。
高密度の魔力を与えれば実体化はできるが逆に魔力がないと元の希薄な存在に戻る。
骸骨兵やゾンビも同様。
ネクロマンシーという特殊な術式で死体を魔力で動かしている。
つまり魔力がないと元の死体に戻る。
ということは魔法を使えなくするスキル『胡蝶の舞』で彼らは消滅する。
消滅する。
消滅する?
あれ?
『消滅しないですわね。』
カグヤが珍しく内心の不満を隠そうとしない声色を発した。
おかしい。
魔力が原動力のモンスターはこれで消滅するのに。
「ふふふ。何してるのかしら? 不思議そうねぇ。」
敵の吸血鬼が不敵に笑う。
「いいわぁ、種明かししてあげる。その前にヒ・ン・ト。自己紹介するわ。私は吸血鬼ダイモン。吸血鬼よ。吸血鬼。この意味が分かるかしら?」
吸血鬼・・・吸血鬼・・・血を吸うモンスター。
「はい! 正解は・・・スキルで打ち消した! どうでしょう?」
山吹が手を挙げて元気に答える。
「ノン、ノン。それじゃあ。ヒントの意味がないじゃないの。私は吸血鬼よ。吸血鬼。」
「えーっ。違うんですか。」
山吹が不満そうだ。」
「うむ。我もよいか。」
赤石が手を挙げる。
え。赤石。アンタ大丈夫なの。
どっちかっていうと脳筋の仲間でしょ。
吸血鬼って理解している?
「とりあえず。お主と我らは敵であろう。倒してよいか。」
やっぱり筋肉で問題を解決する脳筋だった。
「ちょーっとぉ。それは無粋じゃなぁい。ノリわるいわぁ。」
「そうですよ。ちゃんと質問には答えないと。コミュニケーションとりましょうよ。」
敵の吸血鬼と山吹からツッコミ受けてるよ。
「な、なぜだ。 なんと理不尽なことか。」
赤石。がっくり項垂れているよ。
まあ、うん。理不尽だわな。
敵が現れたから倒すと言ったら「無粋」やら「コミュとろうよ。」とか怒られてるんだもんな。
「もう、しょうがないわねぇ。そんなに戦いのたいのなら、ほら後ろの鬼でも相手にしてなさい。」
そういって吸血鬼ダイモンは後ろの巨大な鬼人を指す。
先日倒した巨大な鬼だ。
どうやら周りの骸骨兵やゾンビのように死者として蘇らせたらしい。
巨大な鬼のゾンビだ。
「・・・気にするな。お前は正しい。」
ライトが進み出て、赤石の肩をたたいた。励ましているらしい。
うん、戦いなんだから赤石の言っていることが正解だよね。
「・・・俺もともに戦おう。」
そういってライトはスラリと剣を構える。
「あらん。そこにも空気読まない困ったちゃんがいるのね。いいわ、あなたの相手はこの方でどうかしら。」
吸血鬼ダイモンがそう言うと、一人のゾンビが現れた。
そのゾンビが他とは違うのは、まだ腐肉になっていないところだ。
死んで間もないのだろう。
生前の姿を残している。その姿は老剣士という表現がぴったりだ。
「・・・氷剣の老戦士 ミーミル殿か! まさか死んでいたとは。まあよい。ミーミル殿なら相手に不足はない。」
そう言ってライトはミーミルとかいうゾンビに向かていった。」
「うむ、我も行くぞ。来るがよい。我が眷属 シアルフ!」
赤石は眷属の巨人を呼ぶ。
赤石の足元に巨大な魔法陣が展開。
その魔法陣からせりあげるのは30mもある巨大な真紅のフルアーマー
その巨大なフルアーマーと赤石は同化する。
「うむ。行くぞ。」
巨大なフルアーマーと同化した赤石は巨大な鬼人ゾンビにむかっていった。
「さあて、脳筋どもはいったわね。さて、この兵隊たちがなぜ消えないか。答えは出たかしらぁ?」
吸血鬼ダイモンは不敵に笑う。
答えは出たかどうかといわれると・・・答えは出ている。
今、赤石と戦っている巨大な鬼人のゾンビ。あれって解答そのものだよね。
あの巨大な鬼人のゾンビは私達が先日、倒した鬼人だ。
つまり死体。
その死体がネクロマンシーといった魔法や魔術の供給なく動いているということ。
吸血鬼の特性はいろいろあるが、嚙みついた相手を眷属である下級吸血鬼グールに変えるということ。
このことを踏まえると自ずと回答はでる。
でるけど・・・
『おぞましいですわ。』
カグヤが私の気持ちを代弁する。
そう、おぞましい。
「アンタ、死体を喰ったのね。」
私の解に対して吸血鬼ダイモンの回答は
「半分正解。」
とウィンクした。
「半分?」
シルフや骸骨兵、ゾンビなどの魔法で動かしているモンスターを下級吸血鬼グールに変えたのではないのか?
死体に噛みつくというおぞましい方法で。
下級吸血鬼グールになってしまえば、それは別種のモンスターだ。別の生命体だ。魔力の供給は必要としない。だから私がスキル『胡蝶の舞』で魔力供給を遮断しても無関係で存在できる。
そう考えたが、違うのか?
「喰ったのは私じゃぁないのよ。この飛び交う蝙蝠が見えない? 嚙んだのはこの蝙蝠達。
この蝙蝠達は戦闘力ないけどねぇ。私と同じく噛んだ相手をグールに変えるの。」
私は眉をひそめた。
眷属に死体を喰わせたわけだ。
「眷属虐待。」
思わず、思わず心の声が漏れた。
「そんな言葉初めて聞いたわ。」
「私も初めてつかったわ。」
私は吸血鬼ダイモンの言葉を返す。
「それよりも、この蝙蝠達に噛まれるとグールになっちゃうんですよね。」
山吹が驚きの声をあげた。
アイツの言っていることの危険性を理解できたらしい。
「ふふふ。理解の早い子は好きよぉ。この蝙蝠に噛まれると皆、私の仲間になるの。もちろん、レンジャーワン。あなたたちも例外じゃなくてよ。」
吸血鬼ダイモンは顔の闇を濃くした。
「へん。アンタの目こそ節穴? この全身を覆うスーツが見えない?」
そう私達は変身している間は全身スーツに覆われる。
蝙蝠程度の牙は文字通り歯牙にかけない。
この変身後のスーツはファッションではない。防護スーツなんだよ。
「ふふふ。あなた達は無事でも、他の方はどうかしらねぇん。例えば、そこの兵士とか、あなた達の後ろにいる帝都にいる無垢の民とかねぇん。」
「蝙蝠から逃れる方法を全ての人がとれるとは限らない。皆、アンタの僕になる。」
「正解。つまりチェックメイトしてるわけ。今の状況を理解できて?」
吸血鬼ダイモンは勝ち誇る代わりに顔の闇をさらに濃くした。
『気に入りませんわね。』
カグヤが珍しく感情を表に出している。
私も気に入らない。
「ここで取引ですわ。」
「取引?」
「変身を解いて私に噛まれなさい。その条件を飲むならあなた達レンジャーワン以外の人に手を出さないわよ。」
私はしばらく考えて・・・
「なぜ、その条件を?」
とだけ答えた。
「決まっているじゃない。ドラゴンをも倒す戦力が下僕になるのよぉ。他の有象無象なんて目じゃないわぁ。それに・・・。」
「それに?」
「かの有名な四天王であり青の国の戦術姫が私の下僕になり、言いなりになるの。もう、どんな命令も逆らえない。いまからあなたを従えれると思うとゾクゾクするわぁ。」
吸血鬼ダイモンはイヤらしく体を捩じった。」
「わかった。」
とだけ私は言った。
---from ダイモン side---
ヒャッハー
あの四天王、戦術姫アオイが私の軍門に降るわぁ。
帝国と青の国との戦いで、もっと激しく抵抗し、兄の裏切りさえなかったら青の国は落ちなかったと言わしめた戦いぶり。
帝国と地上との戦いでレンジャーワンなどの地上戦力と力をあわせ四天王やドラゴンを退けた戦いぶり
青の国他、四か国を帝国から解放した戦いぶり
帝王を帝都から追い落としたタイタンを破り帝都を手中に収めた戦いぶり
まさに戦術姫の名にふさわしい戦闘力。
彼女が手に入るのなら帝国四天王なんて目じゃないわよ。
帝王の座も狙えるわ。
そ・し・て
ちょっと幼いけれどあの澄ました顔を 体を これから意のままにできると思うと興奮するわぁ。
これからどうしてくれようかしら。
楽しみが増えて困っちゃうわぁ〜
「足りない。」
そのアオイが呟くように言う。
何が足りないというのかしら。
いいわ。
貴方の矜持も主義も自我もこれから踏み躙り無くしてしまうのですもの。
最後の自分の意思で紡ぐ言葉ぐらい聞いてあげるわぁ。
「何が足りないのかしら?」
「蝙蝠の数よ。この程度の数なら自動防御の魔法が働いて、私を噛もうと襲ってくる蝙蝠全部撃ち落としちゃうわ。」
なるほど、高位の魔法使いは自動防御の魔法を常にまとっているというのは聞いたことがあるわ。アオイも魔法が盛んな青の国の出よね。自動防御の魔法くらい常にまとっていてもおかしくないわね。
「なら、その自動防御の魔法解除なさいな。」
「んー。それもいいけど時間がかかる。それよりもアンタ、私を下僕にしたいのよね。それなら私の自動防御くらい破ってくれないと主とは認められない。」
「主になるためには本気を示せってことね。」
「ええ、アンタの本気見ない納得できない。」
ふん、最後の我儘ってやつね。
面倒だけど、いいわ。
最期の我儘に付き合ってあげる。
私の全力見てみなさいな。
私はすべての蝙蝠の眷属を呼びよせた。
見てみなさいな。
この黒雲の様な大群を。
自動防御だか、何だか知らないけれど、これを防げるのなら防いでみなさいな。
「これが全力? すごい。」
アオイが周囲を見渡す
「そうでしょう? 約束よ。変身を解いてもらいましょうか?」
私はアオイが変身を解くのを待つ。
アオイの口が動く。
ふん。無駄な駄々をこねたけど、これでアオイは私のもの。
あの戦術姫は私のものになる。
「basta!」
戦術姫が呪文を唱えると同時に
私の眷属の蝙蝠全てが地に落ちた。
「え? ええ?」
驚いていると私自身も動けなくなり、もがいているうちに地に伏した。
あれは確か・・・呪縛の呪文。
この大軍全てに呪縛の呪文をかけたってこと。
そんなことあり得るわけがない。できるわけがないわぁ。
私はもがくがこの呪縛の呪文は強力すぎる。言葉さえ出せないぃぃぃ。
アオイが冷めた目でこちらを見る。
「一騎当千の四天王を舐めるんじゃないわよ。もっとも条件全て満たしていないと、この大軍の蝙蝠やシルフ、ゾンビたち全員に呪縛をかけるなんて荒業できないけどね。全員、魔法の範囲に集めてくれて助かったわ。」
アオイが私を見る。
「さあ、死者はすべて墓穴に戻ってもらいましょうか。」
このセリフを聞いた後、私の意識は消えた。
---from 山吹 side---
「いやあ。すごいですねアオイちゃん。」
僕は素直に賞賛の言葉を送ります。
だって、あれだけいた大軍を一挙に全滅ですよ。
その手際の良さといったら!
挑発であの吸血鬼のすべての眷属。つまり蝙蝠を集めた後
「呪縛」の呪文で敵全員の動きを封じ
魔法で「溶岩」を出現させる火と土の複合魔法で地べたに落ちた吸血鬼を含めた蝙蝠達を焼き尽くしました。
アオイちゃんの指示で念のためドラゴンブレスでも攻撃しましたが過剰火力でしょう。
さらにアオイちゃんの指示でメンドーサさんが雷獣で生き残りを探査してましたが、
「い、い、いいません。敵・全滅です。」と報告してましたから、完全に全滅したのでしょう。
本当に完勝です。
「うん。きもいから、本気出した。」
アオイちゃんは無表情で僕の賛辞に答えました。
「それに、吸血鬼は一匹見たら百匹いると思えって言うしね。」
いや、それGです。地底では吸血鬼はG扱いですか。
「ま、それはともかく私1人の力じゃ、これだけの大規模魔法は使えない。山吹、アンタを含めた皆のお陰。」
「え。」
「メンドーサの探査、探知能力がないとあの大群は補足しきれない。 カグヤの補助がないとあの規模の魔力制御はできない。赤石があのデカい鬼を抑えてくれていないと他に意識を割く必要ができて制御が難しくなる。サイズ的に呪縛にかからないしね。そして、山吹が用意してくれたドラウプニル。この神がかった力がないと、あの大軍全体に呪縛をかけるなんてことできなかった。だから、これは私一人の力じゃない。皆のおかげ。」
そう言ってアオイちゃんはニッコリ笑った。ちょっと、その笑顔が眩しくて、ドキッとしたのは僕だけの秘密だ。
---from 赤石 side---
「何と理不尽な事か」我は頭を抱える。
我が戦っていた巨大な鬼人ゾンビ戦いは前回と違い、大分、大味な攻撃ではあったが、前回を超えるパワーと幾度、攻撃を加えても引かず、仰け反らず、倒れず、別な方向性で強敵になっていた。
うむ、この強敵をどのように倒すべきか興が乗ってきた時、足場が溶岩の海と化した。
後で聞くところによるとアオイの魔法だったらしい。
ともかく、溶岩の海に投げ出されてはかなわぬ。
我はシアルフの背に搭載されているバーニアを噴射させ飛び上がった。
ふと、対戦していた鬼人ゾンビを見ると溶岩の海に足から沈み、もがき、そのうち溶岩の海に沈んでしまった。
何と理不尽な事か。
この戦いはこれからというところであったのに!
うむ、冷静になろう。
大きな被害も出さずに、労せずして敵を撃退したのである。
良しとせねばならぬ。
良しとせねばならぬのだが、我の戦闘自体は物凄く不完全燃焼であった。いや、これは我一匹の感情である。何も言うまい。
ふと、我の肩を叩くものがいた。振り向くとライトであった。
うむ、ライトも我と同じくゾンビの老剣士と戦っていた。おそらく我と同じく不完全燃焼で戦闘が終わったのであろう。
それで、励ましの意味も含めて肩を叩いてくれたのであろう。
ライトは顎を引いた。我も頷き返した。
ライトのお陰で少し平静を取り戻すことができた。
改めて礼を言うべきであろうと思い、ライトを見ると見慣れぬ剣を持っていた。
剣の良し悪しは分らぬが、分からぬ我でも只ならぬ剣であるというのが一目でわかるくらい、異彩を放っている剣である。
「ぬう。その剣は?」
思わず我は確認せずにはいられなかった。
「・・・さすが目が高いな。俺と戦った老剣士ミーミルのもっていた剣だ。氷の魔力が付与されている剣でな。ゾンビとなった者には不要であろうと俺が戦利品としてもらい受けたわけだ。」
・・・なんということだ。
ライトにとっては我と同じく理不尽な戦いではなく、魔法剣を得ることができた有意義な戦いであったという事である。
我は我の浅ましい心を恥じるとともに、それでもこの言葉を発せずにはいられぬ
「なんと理不尽なことか!」
【次回予告】
ライオンマンには一つ違和感があった。
その違和感を解消するため、赤石をある場所に誘う。
次週、episode35 大衆の英雄
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