第15話 え? 結局、誰が悪いの?
ここなぁ2シーンを入れようと思ったのに
事情説明だけで8000文字もあって
分割するしかないよなぁって、うーん…全然進まないなぁ…
「宗教国家エルザートには、
大別して2つの派閥がありました…」
メイはそう切り出した。
「1つは私が所属していたアリアス派。
各国の王侯貴族や富裕層が所属する
上流階級に神の託宣を広める派閥です…」
ん??
ん???
「もう1つはイフェピネ派…
貴族以外の平民や貧民、弱き者達。
そんな彼らにも神の祝福を与えるべきと
貧しき者達に寄り添う派閥…」
ん?
んんん????
「国の勃興の時代、国家を導くべきと
初代の教皇の元に生まれた
アリアス派は高潔であったと言われています。
しかし、それから300年の間
上流階級が神の奇跡によって
その子息の病気等を救われ続ける毎に
教皇一派と貴族は癒着していき
上流階級のみを寄付で救済するという
お金に汚い派閥になっていき…」
ん??
んん??
「その反動から、民衆の為の派閥として
清貧の誓いを掲げた司祭達によって
イフェピネ派が生まれ、
以来、アリアス派とイフェピネ派は
反目しながらもエルザートをなんとか
2大派閥の元で、運営していました…」
彼女は深いため息を付きながら
彼女の国の事を語ってくれた。
「え?えっと?
貴族と癒着?上流階級しか助けないのが
君の所属するアリアス派って事?」
俺は、彼女の言葉を拾って
彼女の所属する派閥の特徴を確認してみる。
「はい…恥ずかしながら…
あまり、聞こえの良い派閥ではありません」
メイヴィアは哀しそうにそう言った。
「どっちかというと、
民衆にとっては悪い派閥に聞こえるんだけど…」
俺は目を細めて、それを問う。
「そうですね…その通りです。
私の所属する派閥の司祭クラスは
お世辞にも貧困に苦しむ民達には
救いとなる神官とは言えませんでした…」
それを聞いて、俺は肩を落とした。
二人目の神官戦士が、『むしろ正義は我にあり』
といって突進して来たが
どうも、彼らの言う事は正しかった様だ。
「けっして、
歴史書を読む限りアリアス派の最初は、
富裕層の為だけにある組織では
なかったらしいのです。
しかし、長い年月の中で
教皇が司祭任命権を行使し
それが貴族達の利益と癒着していくと…
賄賂の過多によって派閥司祭を決めていく
腐敗体制が進行していって…
教皇は当初の選挙性から、
ほぼ世襲制に変わってしまいました」
彼女はため息をつきながら、そう呟く。
「教皇が世襲制?」
俺は好ましくない話を聞いてただ驚く。
「いや、そんな宗教のトップが世襲したら
それ、王国と何も変わらんじゃないか…」
俺は、彼女の言うシステムの矛盾に
眉をひそめて、それを指摘するしかなかった。
「おっしゃる通りです。
我が父が処刑される前まで
アルクシオーヌ家は、王家の様に
教皇に常時選出される名家とされていて
各貴族の家々は、如何にアルクシオーヌ家に
娘を嫁がせるかを競うような…
王国の王族や貴族と何ら変わらない状態に
なっていたのです…」
彼女はそう言って力なく笑った。
「ちょっと待って!
父が処刑って!?
法皇は処刑されたの!?」
俺は、さらっと彼女が恐ろしい事を口にしたので、
その部分を確認した。
「あ、はい…
我が父、
前教皇ディグゼル・エヴェン・アルクシオーヌは
長年の放蕩なアリアス派の在り方に
堪忍袋の緒が切れたイフェピネ派の
武装蜂起によって、処刑されました…」
彼女は俺の質問に、淡々と答えた。
「え!?お父さん、処刑されたの!?
え!?教皇が処刑!?
ええ!?」
俺は凄い言葉を聞いて、総毛立つ。
教皇を処刑っ!?
「まぁ仕方がありませんね…
父が教皇についてからやってきた事を考えれば、
武装蜂起されたら処刑一直線なのは、
当然だと思います」
彼女は冷ややかな顔をして、そう答える。
「えっと…え?え?
親が殺されたっていうのに
随分、その…冷静なんだね…」
俺は特に感情的でもなく
淡々と親の死を語る彼女に違和感を覚える。
いや誰だって不思議に思うハズだ。
そんな中で、彼女は難しそうに笑う。
「ええ、確かに父親のハズなのですけれどね…
ただ、私も…父は全く好きでは無かったので…
というか…イフェピネ派と同じくらい
大嫌いでしたので…
処刑された時は、溜飲が下がった…
とまでは言いたくありませんが…
いえ、溜飲が下がりました」
彼女はむしろ何かを思い出して
それに対する怒りを抑えながら
震え声でそう言った。
「え? 実の父親でしょう…
処刑されて、溜飲が下がったとか…」
俺は彼女の父親に対する愛情の欠片もない
その言いように顔をしかめる。
「仕方がありません。
私が病気の治療で助けて歩いた人々を
イフェピネ派の貧民というだけで弾圧し
重い税を取り立てては、過労で殺し
そんな滅茶苦茶な方法で
イフェピネ派の反乱の目を
次々と摘んでいったのですから…
そんな事をする男に
親子の憐憫を持てと言われましても…」
彼女はワナワナと肩を震わせ
彼女の中の怒りをなんとか静めようとしていた。
「え?弾圧して重税を取って、過労死?
君が救った貧民を??
え?え?え?」
俺は彼女と彼女の父の間にあった
壮絶な軋轢を聞いて、引くしか無かった。
ナニソレ…
単純な親子対立と別次元の話やんけ…
助けた民を父親に殺されたとか、おい…。
「私は聖女として、女神に神託をいただいた時から
この力を信徒全ての為に捧げようと決意したので
その時から、親兄弟の生き方とは
完全にズレてしまったのです…
父も母達も兄妹も…
自分達の豪華な暮らしを護る事しか考えず
それに諫言を告げた私は
法皇宮殿から疎まれるようになりましたので…」
彼女はそう言って瞳を潤ませて
遠くの何かを見つめていた。
「つ、つまり…君以外のアリなんとか派は…
どうしようもなく腐敗してた
貴族主義の、生臭坊主だった…と?」
俺は彼女の語った事を、簡単にまとめてみた。
「その通りです。
私が所属していたアリアス派は
長い年月で腐敗し、末期的な状態だったのです。
だから、イフェピネ派の本格的な武装蜂起で
為す術無く敗退し
内戦と言えば内戦だった派閥抗争は
イフェピネ派の勝利に終わり
父である前教皇は、
弾圧をしてきた民衆の中に放り込まれて
民衆の手によって処刑されました…」
そう淡々と語って、彼女は力なく肩を落とした。
「えっ!?処刑したの民衆なの!?」
処刑と聞いて、てっきり俺はあっちの世界の
ギロチン刑にあった王様の様な最後を
迎えたとばっかり思ってたので
刑を実行したのが民衆と聞いて仰天する。
「はい…イフェピネ派の首領が父を捕らえ
民を集めた大広場で
法皇への刑罰は、神の声
その緒言である民達に聞け…
と言って、大勢が集まる民衆の中に投げ飛ばし…
法皇に家族を奪われた民衆達に
殴る蹴るの暴行を受け、それで…」
語って拳を強く握りしめる彼女。
「でも…親だろう?
親が目の前で処刑されたなんて…」
俺は彼女の父の壮絶な最期を聞いて
思わずそう言ってしまう。
俺と親の関係だって、
親密だったとは言えないが
流石にそこまで冷え切ってたわけではない。
目の前で親が処刑されたら
流石に俺でも怒り狂うと思うのだが…
「親だったら良かったのですけどね…
いや、血が繋がっている以上、親なんですけど…
でも父にとっては、私は都合の良い道具でしかなく
『”聖女”を生んだ我が血の高潔さは…』
とかなんとか言って、自分の権威付けに
大いに利用してましたよ…
実際に育てて貰ったのは、
私専属として従事されてたネクル司祭様でしたし
ネクル司祭様が親と言われたら
そうなのかも…とは思いますけれど…
親の顔を見るのなんて、豪奢な式典の時くらいで
その時も”聖女”として
散々、招待していた他の王族や貴族に
自慢するだけの事でしたし…」
言って彼女は切なそうに吐息を吐いた。
その言葉を聞いて胸が苦しくなる俺。
そういえばあっちの世界でも
聞いた事だけはある。
真偽の程は自分で見たわけではないので
定かでは無いが、あの世界でも居たという
上流階級の人々は、親と子の関係が
家の権威の方に重きが置かれて
人間としての愛情が希薄になると…。
いや、漫画や情報空間での伝聞なので
実際の所はどうだったのか
分からないのではあるが…
それが、こっちの世界では
正に王族級の存在では、
そういう事になってたらしい。
「親と、そんな関係にしか成れないとか
なんか寂しい話だな…」
俺はポツリとそう呟いた。
その言葉に瞳を潤ます彼女。
「そうですね…
時より、手を繋いで道を歩いている
農民の親子を見ていると
家族って本来は
こうあるべきなのだろうなぁって
少しだけ、羨ましくなりましたし…」
言って彼女は力なく笑った。
俺はそんな彼女の様に心苦しくなって
自分の髪をかきむしった。
その些細な言葉に
彼女の本音が凝縮しているような気がして
憐憫の情が湧いてしまう。
「えっと、えっと…
どういって良いか…分からなくって…
その…
でも、君は…その
”聖女”って言われるわけだから
そんな腐敗してた教皇や
アリアス派とかいうのとは
一線を画していたのでは?」
俺はどう話して良いか分からなくなって
少なくとも嫌っていた父親などとは
同じではないのでは?
という慰めを口にしてみる。
「そうですね…
個人的な思いですが
所属していたとはいえ
私はアリアス派ではなく
イフェピネ派の方に
その精神は近いのだと思ってました。
私個人の活動としては
イフェピネ派の司祭の方と
よく地方巡業して民草たちの治療祈祷に
従事していましたので…」
言って己の杖をギュッと握りしめる彼女。
「そうなのか…
対立してた相手とも
君は手を取り合って、神官の仕事を…」
なるほどと、それで理解する。
敵対していた戦士達も、
彼女そのものを根本から否定してはなく
一定の敬意を持っていたのだ。
それは彼女が派閥の垣根を越えて
正に”聖女”として振る舞っていたからだろう。
「対立なんておかしな事です。
我々の力は、水の女神様からの贈り物。
豊穣を宗旨とする教えからすれば
全ての人が恵みを神から与えられなければ
ならないハズなんですから…」
彼女はそう呟いて、ふぅと息を吐いた。
「だからこの対立が、なんとか収まるようにと…
特に、武装蜂起によって長い内戦になれば
本当に弱い人々が死に絶えるので
アリアス派とイフェピネ派の和解工作に
随分、走り回りましたが…
あははは…
かの騎士の言うとおり
私は、所詮小娘だったのです。
100年以上に及ぶ、2つの派閥の対立は
私程度の尽力では、既に覆しようがなく…
神聖騎士団の多くを構成する
イフェピネ派が武装蜂起してしまえば…
アッサリと…」
彼女は難しそうに微笑んだ。
その様を見て俺は精神が凄く落ち込んだ。
ああ、この子、良い子だ…。
凄く良い子なんだ…。
腐った組織に居るのを自覚しながら
なんとか現状を改善しようと
走り回って…
でも、内戦が止まらなくって…
親兄弟からは疎まれて…
父親に親子の愛情さえ持って貰えず…
それでも何とかしようと頑張って…
でも結局内戦が起きて、
疎まれた親兄弟は、自業自得で殺されて…
そんな、幸薄な子なんだ…。
それが彼女の言葉で分かって
俺は少し、ホロっと来た。
「なるほど…腐って腐敗した
貴族みたいな上流の司祭は
国の武力だった神聖騎士団に潰されて
内戦とも言えない内戦で
君のお父さんの…教皇が処刑されたと…」
「はい…そうです…
内戦そのものは…イフェピネ派の勝利で…
今はアリアス派の解体で国事は進んでいます」
俺の理解に、ただ肯定で返す彼女。
「あれ?
だったら、何で君は騎士団に追われているんだ?
話を聞くに、イフェなんちゃら派とも
そんなに仲が悪くなかったのでは?
その派閥の病人も治療してたんだろう?」
俺は、全体の流れを理解し
理解したからこそ、何でこんな事が起きてるか
分からなくなった。
「それは…私がやっぱり
前教皇の娘であって、挙げ句の果てに
女神に神託で選ばれた”聖女”だからです」
そう言って彼女は寂しそうに笑った。
「どういう事か、よく分からんのだが?」
俺は彼女の言葉が掴めず、聞き返す。
「聖女というモノは、実の所
現代のエルザートでは、よく分かっていません。
残された資料が、曖昧すぎて…
前回に聖女が現れたのは200年前…
英雄王ギルバルトの仲間であった
イレイネ・アルクシオーヌ様で、
それから200年の間は、
水の女神様から女司祭の誰も、
聖女に選ばれなかったのです」
彼女はそう言って、深いため息を付いた。
「じゃぁ君は、突然変異みたいなモノか…」
俺はそれを聞いて、
あっちの言葉で言うそれを口にしてみた。
「そうですね…神様の気まぐれ…
そうとしか言い様がありません。
ともかく、何の由縁か、私が聖女に選ばれた…
ただ、もし私が平民の出の神官で
たまたま女神に選ばれた…のであったら、
イフェピネ派もそこまで
目くじらを立てなかったのかもしれません…
むしろ民衆側の大義名分として
イフェピネ派の旗手になっていたのかも…」
言って彼女は、そうであったら良かったのに
と難しそうな笑みを浮かべる。
「でも、私は…父方の血とはいえ
アルクシオーヌ家の者なのです…
200年前に聖女として生まれ
それから連綿と続いているアルクシオーヌ家の…
聖女イレイネ・アルクシオーヌ様から続く
直系の子孫として…」
「!!!」
俺はその言葉で、なんとなく
今起きている事の輪郭が掴めた。
「200年前に現れた聖女の
直系の子孫が、君と言う事か!」
俺はそう尋ねる。
「はい…
アルクシオーヌ家が200年来
教皇の地位にほぼ就任していたのは
聖女イレイネ・アルクシオーヌ様の
直系の血族だったからです。
由緒正しき聖女の血脈。
その中で、私が聖女に、唐突に選ばれた…」
彼女は膝を抱えて、寂しそうに笑う。
その話で、今までの違和感が全て
繋がった気がした。
むしろ好意的に捉えながらも
それでも強行に彼女を捕縛しようとする
神聖騎士団の2人の言いようが。
「なるほど…
元聖女の子孫が同じ様に聖女になった。
なら誰だって
教皇の血脈には特別なモノがあると
考えてしまう…」
俺は彼女の置かれた状況をかなり理解して
そう口にしてみる。
「はい…そうです…
それが、アリアス派の残党の
権力復権の旗印になる…と
イフェピネ派の首座
グレゴリアス枢機卿は懸念され…
故に、配下の神聖騎士団に捕縛の命を…」
言って彼女は自分の杖を握りしめた。
ああ、なるほど。
そういう話か…。
そういう事で、こんな追跡劇が…
奴等が彼女に不思議な物言いをしていたのは
そういう事だったのか…。
俺は今までの説明では
敵対勢力に聞こえなかったイフェピネ派が
どうして彼女を隣国まで追ってきたのか
ようやく理解できた。
危険なのだ。
この子は。
イフェピネ派の全体から見れば。
「奴等に捕まったら、君はどうなるんだ?」
俺はそれを尋ねる。
「良くて幽閉、最悪の場合は処刑でしょうね…」
彼女はそう力なく笑った。
「処刑!?
自分の国の聖女なのに!?」
俺は顔を強ばらせて尋ね返す。
「聖女だからこそ…
終わったはずの内戦も
燻った火種になると…
判断されたのでしょうね…」
彼女は哀しそうに、そう告げる。
「ご、ご主人様…
メイヴィア様を何とかできないんですか?
水の女神の聖女様なのに…
それではメイヴィア様が可哀想過ぎます!!」
そこでフィアがそう言ってきた。
難しい言葉の羅列で
理解するだけで大変だったろうに
それでも、彼女の境遇をなんとか理解し
そう訴えてくる。
「何とかと言われてもなぁ…
国の規模の話なんか
一介の冒険者が
どうにか出来る話でもないし…
せめて、護衛の任務を続ける事ぐらいしか…」
そう言って俺は頭をかいた。
話を聞く限り、彼らの言ってた様に
正義はむしろ神聖騎士団の方にありそうだ。
少なくとも前教皇が
相当悪い奴で、それをなんとかしないと
話にならなかったみたいで…
それはそれで、内戦の終結と共に
終わったのだろうが…
火種として残る聖女をどう処理するか…
そこが問題なのだろう…
彼女は悪でも何でも無いが…と、
そういう風に騎士団の人間さえ言ってたわけで
それでも”聖女”という
言葉の影響力が高すぎて…
「こんな事情を聞いても
それでも護衛を続けてくれるのですか!?
私を放逐して、護衛任務を辞めるという選択も…」
メイは俺の何気ない言葉に少し驚いた顔をして
そう尋ねて来た。
「そうか、なるほど、バックレるという
選択肢があったのか…」
俺はそれを指摘されて、
最初から脳内除外していた
1つの選択肢があった事に気付かされる。
「ちょっと、ご主人様っ!」
そんな非道な選択を口にした事で
フィアが抗議の声を上げた。
「いやいや、そっちが口にしたんで
そういう選択肢がある事に気付いただけだ。
とはいってもな…
それは選べないルートだな…」
そう言って俺は肩を落とす。
「ど、どうしてですか!?
こんな隣の国の揉め事
貴方たちが真剣になって関わる理由など…」
彼女は自分で自分の今の状況の酷さを評価して、
それに付き合う俺達に何のメリットも無い事を
諭してきた。
その様に、閉口する俺。
俺は思わず頭をかいた。
「まぁ、前金で護衛代貰ってるのもあるが…」
と実際の問題
ギルドマスターからの直接依頼で
前金を既に貰っている事を口にする。
「たった200金貨相当で
国家規模の難事の護衛を!?」
金の事を口にして、そこにツッコミを入れる彼女。
「ああ、そうか…
国家要人の護衛と考えたら
200金貨相当は安すぎるのか…」
彼女のツッコミに不意に納得する俺。
ああ、マスターが
『護衛依頼としては安すぎる』って
言ってたのはそういう事か。
あのマスター、”メイヴェル様”って奴等が
漏らした言葉で、彼女の正体に気付いてたんだな…
だから、あんな意味不明な冒険者の煽りを…
か~~食えないオヤジだ…
「私は、この国に明確な援助者が
いるわけではありません。
国の催しで国賓の方と懇談などをしましたので
全く知らぬ方ばかりでもありませんが…
これだけの難事を快く引き受けて貰える様な
相手というのは流石に居なく…
十分な護衛の謝礼も約束できませんし…」
彼女は現在の苦境を口にする。
「いや、まぁ、金の問題じゃねーんだよな…」
俺はそう返して眉間に皺を寄せた。
「え?」
その言葉に同じ様に眉をひそめるメイ。
「正直、気に入らねぇ」
俺はそこで、本音を口にしてしまった。
「き、気に入らないとは?」
俺の不思議な物言いに思わず耳を澄ます
2人の美少女。
「難しい事を言われても
ぶっちゃけ俺には良く分からん!!
でもな…」
俺はそこで思わず力を込めて言ってしまった。
「どんなに事情があろうが
大の大人が、美少女追い回して
お覚悟だ何だと言ってるのはな…
何か、人間として好きになれねぇ」
俺は非常に稚拙な人間の感情を口にした。
それはあまり、論理的な思考ではなかったが
どうにもこの時だけは
論理より、感情論を優先させたかった。
ただ、目の前の女の子が可哀想。
それだけの理由で、助けてやりたいと…。
「追ってくる神官戦士の奴等の
やってる事が気に入らねぇ
それだけは間違いねぇ」
俺はそう言ってイラついた。
「かといって、現状を打破する良い案を
思いつけるほど、俺には頭もねぇんだ…
とにかく、君の護衛を続けるだけだ。
それしか俺には出来んよ…」
俺は、言葉を付け足してため息をついた。
力になってはやりたいが
どう考えても俺のポケットには
収まらんスケールの話だ。
だからといって、
正当性を確保するのが難しいから
ここでバイナラというのも寝覚めの悪い話。
なので、真ん中の
護衛の依頼を続けるしか無いという
情けない話に落ち着いてしまう。
まったく何て依頼を
振ってくれたんだ、あのマスターは…
俺は、確信犯で
状況が分かってたであろう
あのマスターを呪うしかなかった。
「え…今の台詞って…」
そこで、彼女が驚いたように目を見開いた。
「ん?今の台詞とは?」
彼女が俺の感情だだ漏れの言葉に
酷く反応した事に首を傾げる。
「ご主人様…その台詞って…」
メイヴィアどころか、フィアさえ
俺の方を向いて驚愕の目を向けている。
「え? あれ? え?」
不思議な二人の反応に更に首を傾げる俺。
「ご主人様って、この国に伝わる御伽話を
御存知ないんですよね?」
フィアはもの凄く俺を見上げながら
そう尋ねてくる。
「あ、うん…東方から来た設定だからな…
全然、知らん…」
俺は素直にそう答えた。
フィアだったら、そういう事は
十分理解してたハズだったが…。
「そんな台詞を、現実で聞くなんて
夢にも思いませんでした…」
目の前の美少女神官は
何か頬を真っ赤にして、瞳を潤ませていた。
フィアも目を見開いて顔を赤くしている。
「うわぁぁぁご主人様
私を捨てないで下さい~~」
次の瞬間には、フィアは俺の腕に抱きついてきて
そんな意味不明の事をわめきだす。
「え!? 何!?
何なの!?」
二人の想定を越えた反応を受けて
俺は混乱するしかなかった。
いやーなんか
面白くなってついつい書いちゃうなぁ…
推敲甘いけど
まぁ後でいいか
後で書き直すの何時なんだよw
メイヴィアのワンマンショーになる
セクションだよなぁ、ココ…




