タイトル未定2026/05/01 01:03
部屋の前で深呼吸をしてノブを押した重厚な造りのドアであるがそれは安物の扉の如く軽く開いた、無駄に思えるエントランスはダウンライトが同じく無駄に装飾品を照らしていた私は更に奥のリビングルームへ入る、途端に目の前に横浜の夜景が広がる、しかし先程までソファーに座りグミを頬張る少女の姿はなくバスルームを覗いたがそこにも姿はなかった、一瞬まさかとは思ったが少女はベッドルームでブランケットを頭から被り震えていた。
「大丈夫?」
私は少女に声を掛けブランケットをめくった、少女は両手で耳を塞ぎ首を振る、ベッドの端に腰を下ろして少女の額に手を当てる、途端に意識が流れ込んでくる、確かに嘘ではないようだった意識の乱れが尋常ではないこれは明らかに外部からの干渉、しかしこれまでの経験のない得体の知れない干渉を感じる、私は少女を強制的に眠らせるとベッドに仰向けに寝かせ馬乗りになって額同士を接触させた、ノイズ、ノイズ自体が抑揚や伸縮を持ち会話の如く聞こえる、何だこれはと一度少女から離れ少女の全身を俯瞰で眺めた、怪異であれば身体接触が見受けられるがそれはないやはりチャネリングで間違い無いだろう私はもう一度額を合わすと相変わらずチューニングの合わない放送が流れてくる長く短く、そして大きく小さく、この少女はただ単にズレた周波数の長波か短波を拾っているのではないであろうか聞きようによっては確かにこのノイズ自体が会話に聞こえなくもないがもしコレが会話であるなら暗号通信、しかし私は政府の深い位置にいる各国の暗号通信は把握しているしそもそもデジタル化され現在では手法が違うのだ、ここで私は自分でも可笑しくなる事を想像していた“高次元”実際思わず吹き出した。
すると突然だった少女の携帯、リビングルームに置いている私の携帯から消音にしているにも関わらず不気味な不協和音が鳴り機械的な女性の声で『地震です、強い揺れに注意して下さい』と聞こえてきた、すると地鳴りが近付いてくると部屋が大きくそしてゆっくりと揺れだした、高層階ゆえその振幅は次第にビルが折れそうに大きくなり私は少女を押さえつつベッドにしがみついていた、かなり大きい、震源地が近いのか少女を庇う様にうずくまる私の視界の端は赤く燃える西の空を捉えていた。




