タイトル未定2026/05/01 01:03
瞳を輝かせ開いた口から涎が滴るのを想定していたが今時の少女の精神は図太いのか無神経なのか頭を悩ませる、横浜ロイヤルパークホテルのスイートルームにたじろぐ様子もない、失礼な話だがあの程度の家の年収で泊まれる部屋ではないのだがこれが世代間ギャップかと恐怖すら覚える多分、目の前に刺殺体があっても携帯を取り出し写真へ納めるとSNSに投稿し承認欲求を満たす行為に何の疑問も抱かない世代、そのくせ夜、会話が聞こえると恐怖する、ギャップという生易しい言葉では言い表せない“異種”もしくは原種に取って代わろうとしている“亜種”である、理解しようとする事自体無理なのだ、少女に夕食はレストランが良いかルームサービスが良いかと聞くとグミを持ってきたからそれで良いと言われ私の心は複雑骨折ばりの音を立て折れた正直、今時の10代は怪異より恐ろしいと改めて知った、私は愛想なく『そっ』とだけ答え1人レストランへ向かった。
贅の極みから精神の平穏を導き出そうとしたが図らずも三十路女の自分へのご褒美になってしまった、この程度、年収からすれば造作もない事であったが今日はただの木曜日である無論、経費にはなるがどうせならあの3人を連れて来た方が有意義だったと忙しなく光が行き交う下界を眺め思っていたが冷たい汗が一筋背中を伝って落ちていった、あの3人は多分少女より質が悪い、感情がMinimumかMax、この夜景を見て黙って食事を取れるものかと私はガラスに掌を当てた夏も近いと言うのに氷の様に冷たい、開いた指の間からはバケモノがバケモノ染みた笑顔で不器用に微笑んでいた。
結局、価格表示のないワインボトルを1人で開けると部屋へ戻る事にした、自傷癖が有る子なら最高のシチュエーションを与えているのだ別に死にたきゃ勝手に死ねであるが今回のお客様はそうはいかない、この程度で酔う訳もなくしっかりとした足取りでエレベーターを目指しているとバッグが小刻みに揺れていた、国民の生活必需品であり神器の地位まで登り詰めた迷惑な道具には見知らぬ番号からの着信、私の携帯は案件毎に番号が変わるこの番号を今知り得るものは政府関係者か土門、そしてあの少女である私は通話ボタンにタッチした。
「おっお姉さん、いっ今聞こえるの早く、早く来て!」
怯えきった少女の声が響いてきた、寝ている時に聞こえてくるのではなかったのかと私は溜息をつくと69の表示に軽く触れた。




