タイトル未定2026/04/30 23:12
「何なんだお前らは、ここが玉龍会と分かってるのか!」
事務所の中から男の声が聞こえた、声質からしてあの年配の男だろう、そして対峙している相手はガンさんであろうその問いに答えていた。
「あぁ知ってんで、ここがいっちゃん上がりがええらしいやんけぇ」
「貴様らぁドコのもんだ!」
私が事務所へ飛び込むと男は銃を構えていた、男は一瞬目を切ったがすぐにガンさんに向き直る、男が手にはロシア製だろうか見た事もない古臭いオートマチック拳銃、しかしガンさんは怯えるでも身構えるでもなく男の前に仁王立ち、相手の銃をモデルガンと見紛えているのであろうかそれとも何か策でも、そう考えていると土門がようやく3階へ到着した私は土門に2人を止める様に頼んだが土門はをUSPをホルスターへ仕舞い応接ソファーに腰を下ろした。
「土門っ、お前何やってんだ、止めに来たんじゃないのか?」
「いや、ヤクザのおっさんもなかなかやりそうだがそれ故、自分の敗北も悟ってるだろうよ、なぁヤクザのおっさん」
すると男は溜息をつき拳銃をゆっくりと下ろし、悲しげに聞いた。
「お前ら何が望みなんだ」
「あぁ別に恨みはねぇが嘉代の婆ぁがお前ら潰せつーんでな、悪ぃがそうさせてくれやぁ」
90年代の香港マフィア映画の様な展開に私はついて行けずにいると土門が喋り出した。
「しかしヤクザにもメンツがあるよなぁ、こんな素人相手に事務所潰されたとなりゃお前もタダじゃ済むまい」
男はトポトポと移動し両袖デスクの椅子に荒々しく座ると勢い余って椅子が1m程油切れの嫌な音を出し移動した。
「あぁまぁヤクザの世界は働き方改革がまだまだ浸透してないからな、エンコで済めば儲けもんだろな」
男は小指を立てると悲しげな表情でそれを愛でていた、私は正直この男が嫌いになれないでいた確かにこの組織によって全財産を失った老人もいるだろうがそれでも嫌いになれないでいた私は先生ならどうしていたであろうかいつの間にか考えていた。
「海外に逃げれば良いでしょ、貴方なら十分やっていけると思うけど」
思わず口を突いて出た言葉であったが私は海外の知り合いも多い、カタギではない者も知っている、ない話でもなかったが男は言った。
「ありがとうねお兄さん、こんなクズの事気遣って貰って⋯よし後は出たとこ勝負だ、ところで兄さん達⋯いや、用があるのはおっさん達か、どうすんだ?これじゃ事務所荒らしただけで数日したら立て直すぜ玉龍会を舐めて貰っちゃ困るね」
すると突然、内ポケットに収まる男の携帯が鳴った男は立ち上がると私達に背を向け通話を始めた。
「はぁ?よく聞こえない落ち着け⋯あぁ、それで⋯どこのもんだ?⋯プロ?なんだプロって?おいっ、おいどうした」
男が振り向くと私達を見渡し項垂れると首を振り土門の対面に腰を下ろした。
「よぉおっさん、あんたプロってより喧嘩屋だろ?あんたはプロぽいがな」
男は両者を指差すと卓上にあった鳥の置物の頭を押した鳥は項垂れ隣の箱からタバコを一本嘴に咥えていた男は土門へ謝りをいれタバコに火をつけた、土門は上着のポケットからマルボロを取り出す、ガンさんと裕二はそれを見て男の両隣に腰を下ろすと同じく鳥の頭を押した、ここに居る私以外は皆、喫煙者であった4人が一斉に紫煙を燻らすと事務所内は一瞬で有害な霧が立ち込め私は咳込み言った。
「このヤニカス共、皆んな死ねば良かったんだ」




