タイトル未定2026/04/30 23:12
「ちょっと借してくれないか?」
唐突であったが土門の腰の辺りを指差しそう告げると驚く事にあっさりホルスターからUSPを取り出し私に渡してきた、受け取ろうとすると手首をクイっと返し一言。
「バカ言え貸せるか、大丈夫だ何かあれば俺が行く」
分かってはいた、しかし何かあればとは言うが何かあってからでは遅いのだと言い返そうとした時、ガラスの割れる音、そしてドスっと鈍い音と共にけたたましいアラート音が響いてきた私は慌てて車外へ出ると辺りを見渡した遅れて出てきた土門が上方を指差す、パシフィックドラゴンの“ィック”部分のガラス窓が割れ下に止めてあったミニバンの屋根の上には先程見た坊主頭の構成員が口元から血を流し横たわっていた、改めて見上げるとガンさんが構成員の首元を掴み今にも窓から落としかけていた。
「何やってんですか、やめて下さい!」
その声が届いたどうか確認する前に私は走り出すと雑居ビルの階段を駆け上った、上からはらしき面々が血相を変えて駆け降りてくる、踊り場で一瞬身構えたが彼らは私の事など気にもせず逃げる様に降りて行った、見上げると上階には刀の峰で肩を叩く裕二がいた。
「お兄さんどうしたのこんな所まで?」
「こっちのセリフですよ、2人で何やってんですか!」
私は声を荒げて裕二に駆け寄った。
「何してるって⋯んんーバイト?」
裕二の手から無理矢理刀を取り上げると手にした刀はあまりに重く落としそうになる、何度か謝礼でもらった物を手にした事はあったが裕二のそれは桁違いに重かった、こんな細身でよくこれが振れるものだと裕二の顔をジロジロ眺めると裕二が言う。
「お兄さん落とさないでね刃こぼれすると結構するから」
裕二は親指と人差し指で輪っかを作り笑っていたがここで改めてガンさんの事が気になり裕二の背中を押すと3階のパシフィックドラゴンの事務所を目指した、下階からは土門が楽しげな表情でゆっくりと登ってくるのが見えた。




