タイトル未定2026/04/30 23:10
歌舞伎町へ到着しコインパーキングに車を入れた、正直イタズラされないか心配になる町並みであったが今は仕方ないと2人に続き車を降りた、ポケットから財布を取り出し中身を確認する、ガンさんの体格から牛一頭食べそうだが逆に裕二は少食なイメージで平均して普通より余計目に食べる予想であったが最悪カードもあるし何とかなるだろうと2人についていった、しかし午後とは言えまだ焼肉屋が開く時間帯ではないランチ営業の店にでも行こうと言うのか2人の後ろ姿から“ランチ”と言うワードは何処を探しても欠片すら出そうになかった。
5分程歩くと目当ての焼肉屋だろうか2人が店先で止まると店舗を伺い会話を交わしていた、2人に追い付くと店はやはり開店前、シャッターは半分降り中の引き戸も半開きでまだ開店準備中、私は2人に声を掛けた。
「まだみたいですね他の店探しましょうか?」
しかし2人は私の言う事に耳を貸さずその開店準備中の店舗へ入ってゆくのだ、成程この店舗は2人の知り合いなのだろうと外で見守っていると店舗内から声が聞こえた。
「邪魔すんでぇ」
「お客さん、営業は17時からだけど」
「そないな殺生な事言わんと喰わしたってぇな」
「はぁ?ほら開店準備で忙しいんだ出ってくれ、早く」
店内から漏れる声は明らかに雲行きが怪しくなってゆき最終的に皿かコップかが割れる音が聞こえてくると外を伺う様に裕二が半開きの扉から顔を出しその扉を閉めようとするので私は慌てて扉に手を掛けた。
「何やってるんですか裕二さん」
「あぁお兄さんか、まだいたの?」
「まだいたのって⋯」
「ごめんねお兄さん、ちょっと僕ら忙しいからまたね」
「またねって、まだ話したい事があるんですが」
裕二はしばらく考え頭を引っ込めると再度頭を出し私の掌を両手でそっと包み言った。
「僕の電話番号、今度ドライブでも連れて行ってね、それじゃ」
扉がそっと閉まった私はしばらく呆気に取られていたが気を取り直し掌を見た、中にはこの焼肉屋の物だろうか丁寧に折り畳まれた紙ナプキン、それを開くと電話番号が書かれてあった、どうしたものかまさか嘘の電話番号を書いてるとは思えないがかと言って早速確認の電話を掛けるのも粋ではない私は少し離れた場所から彼らの行動を見守り頃合いを見て電話を掛けてみようと建物の間にあった50㎝程の隙間に身体をねじ込んだ、足元は確認したが汚物はなかったしかしこの隙間自体には長年蓄積された悪臭がこびり付いていた今は早急に彼らが出てくる事を祈るだけであった。




