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場当たり  作者: 真鍋
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清井 薫 V

 あれから1週間が経ち私は先生の元を訪れてから再度川崎へ向かった、今回はあの2人を探し出すまで川崎に留まるつもりで長丁場を覚悟していた、しかし彼らが川崎、下並木にいる事は確実であるそこまで時間は要さないであろう接触から説得そして次に先生の元を訪れる際は2人を伴う事が出来るだろうと予感めいた物もあった。


 私は3号渋谷線渋谷入口を目指していた、平日と言うのに相変わらずの人混みと渋滞に普段ならウンザリするのだがハンドルを握る車両はあのゲレンデである第三者的視線を考えるとこの渋谷に映える車であり車を寄せ電話を掛ける真似でもしたくなるシチュエーションである、柄になくサングラスをしてる辺り完全にはしゃいでいた、軽くブルー掛かった視界には行き交う人々の群れに晴天であるにも関わらず外は早朝の様、早朝にこの人混みは似つかわしくないなとサングラスを外し車を走らせた、ウインカーをだし信号が青に変わるとハンドルを左に切ったすると突然のアラート音、目の前の横断歩道上には歩行者がいたのだ急停車して信号を再確認すると“歩車分離信号”と確かに書いてある歩行者の信号無視だった、しかし私はその歩行者を視界にとらえた瞬間、窓を開けこの時に相応しい言葉を柄になく叫んだ。


「コラおっさん信号の色もわからんのか!」


 左ハンドルで歩行者は目の前で勿論、歩行者は乱暴に言い返してくる当然だった。


「何や兄ちゃん文句あんのか?」


 私はそのセリフすら予見していた私はパーキングボタン押し車外に出た、後続車両からは激しいクラクションの洗礼を浴びせられる、だが関係ない私は男へ歩み寄った。


「何や東京(もん)にも威勢のええのがおるやんけ」


 男はそう言うとファイティングポーズをとり身体を揺らしながら近付いてくる、すると背後から別の男が言う。


「兄貴、そのお兄ちゃん違いますよ」


「どう違うねん」


 そう言いつつも男は右の拳を出してくる、身長がありその右拳は天から降り注ぐ隕石、私はその軌道を逸らす右肩には掠っただけであるが激痛が走り動けなくなる男は勢い余ってゲレンデへ突っ込んだ『やめてくれよゲレンデだぞ』と思いつつもそのまま背後にいた男の方へ歩み寄ると私は言った。


「お久しぶりです、この前はお世話になりました」


 この男こそ探していた“裕二”であった、裕二は手を振りいやいやと謙遜な態度、そしてその瞳に映る背後から迫る男はコンビニ店員が言った“ガンさん”であった、裕二は私とガンさんの間に回り込みそれを制止した。


「違いますって兄貴」


「何言うてんねん、どけアホ!」


 しかしここは渋谷のど真ん中、警官が来るには十分な時間だった遠くでサイレン音が聞こえるので私は2人を押してゲレンデに乗る様に告げた、男は不満気であったが裕二もサイレンに気付いたのかガンさんをゲレンデへ押し込む、後部座席に収まった2人は窮屈そうに身体を曲げるガンさんとそこら中を触り回る裕二、私はゲレンデを出発させるとミラー越しに声を掛けた。


「探しましたよお二人とも」


「何やにいちゃん、ワシらのこと知っとんのかい」


 ガンさんは私を覚えていなかった視線を裕二に移すと裕二が代わりに説明してくれていた。


「おぉおぉおぉ、思い出したわ」


 そう言った瞬間、激痛を伴い視界が揺れた男は私の頭を(はた)き一言。


「これで手打ちや」


 男気ある風体だが結構根に持つタイプであるとプロファイルを更新した私は改めて自己紹介すると裕二がそれに答えた。


「僕は滝田裕二、兄貴は巌 龍一郎いわおりゅういちろう通称ガンさん、僕はゆうちゃんとかタッキーとかまぁ好きな呼び方で良いよ」


 裕二に関しては気さくで温厚な性格、多分IQは高いがDQ(発達指数)は低いであろうとの見立て通りであった、どこか子供と話しているそんな感じがするのだ、私はとりあえず飯を奢ると伝えると歌舞伎町の焼肉屋に行きたいと言うので私は2人を乗せ新宿を目指した。

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