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場当たり  作者: 真鍋
39/59

タイトル未定2026/04/27 23:05

「相も変わらず汚い連中だねぇ」


 嘉代ねぇの第一声、僕らは社長室へ案内され嘉代ねぇから辛酸な言葉を貰う、すかさず兄貴が言う。


「やかましいわババァが、ちゃっちゃと終わらせろや!」


 案内してきた女子従業員はその会話にどぎまぎ落ち着かない様子、目の前で我が社の社長、国内屈指のアパレルメーカーの弊社社長がBBA呼ばわりされているのだ当然だろう僕は『ありがとう後はこちらで』そう伝えると一礼をして社長室を後にしていった、振り返ると兄貴は既に応接セットのソファーに足を投げ出し横になると大あくび、嘉代ねぇと僕は兄貴の向かいのソファーに腰を下ろした。


「裕二、ちゃんと食べてるか?このアホに付き合うと酒ばかりだろ」


 正面では兄貴が小指で耳をほじっている、嘉代ねぇは僕にそう聞いてきたが実際最近はメンテナンス費用がバカにならずその酒すら頻繁には飲めなくなっていた、しかしここで正直にそれを言えば又話が拗れると僕は苦笑いだけを嘉代ねぇに返した、ここのところ、と言うかここ数年は加齢の所為か細胞劣化が激しくなっている、この前トンネルでは少々無理が祟って兄貴は熱を出して数日寝込む始末、僕達に残された時間は少ないようだった、もっと頻繁にメンテナンスを受ける事ができれば話は別であるがそれを兄貴は嫌う、メンテナンス自体がどうこうではないその費用だ、当初は嘉代ねぇが昔の(よしみ)で出してやると言っていたが兄貴は断固拒否、僕も仕方なく付き合わざる得まいとその申し出を断った本当に兄貴は損な性格をしている、嘉代ねぇと兄貴は婚約まで交わしていたと言うのに。


 嘉代ねぇは冷蔵庫からアンプルを取り出すとカートリッジに嵌め僕らに渡した、兄貴は迷いなくシャツを捲ると腹に投与した僕は肘窩(ちゅうか)に針を立てた、薬液が身体を巡り活性化してゆくのがわかるこれで1ヶ月は生きられる、もし来月嘉代ねぇの身に何かあれば僕らは強化された組織に通常の細胞が呑み込まれ化け物に成り果て死んでゆく、まぁ死んだ後の事など預かり知らぬ事ではあるが検死解剖に廻され検視官が何か見付けてしまうとその検視官と家族は二度と日の目を見る事はないであろう。

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