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場当たり  作者: 真鍋
38/59

タイトル未定2026/04/27 23:04

 予想通り宿泊所からは退居させられ余計な荷物を持つと八丁畷駅の路線図看板の前に佇みアホ面で見上げていた。


「裕二ぃワシにはもう渋谷にゆくおじぇじぇはありゃしませんのや」


「大丈夫ですよ兄貴、とりあえず行きの分は僕が出しときますんで帰りは、あっ帰る所ないですね」


「それは嘉代に頼むさかい何とかなるんちゃうかぁ、知らんけど」


 千早 嘉代(ちはや かよ)僕より多分10歳は上の妖艶な美女である、昔の仲間でエリート組の1人だ今は渋谷に本社を構えるアパレル会社のCEOをやっている、ちなみに僕と兄貴はレイムダッグ組、最下層の住人、社会の底辺、落伍者であるエリート組はもう1人いるそしてもう1人仲間がいたのだが既に亡くなっている多分、日々底辺の生活を日雇労働でシノいでいたしかしこれがなかなか居心地良くやはり産まれ持っての貧民の才に恵まれていたのだ、そして今日は嘉代ねぇの元へ行かなければならないのだ月に一度のメンテナンスの日である、そしてついでに子供の御使い程度の仕事を充てがわれお小遣いを頂戴する、それが僕らの毎月のルーティーンであった。


 しかし自他共に認めるが渋谷など僕らの訪れて良い場所ではないのだ“適材適所”意味は違うが僕ら如きは多摩川を越えてはダメなのだ一生、川崎に収まっておけば良いのだ、そもそも渋谷に立ち飲み屋があるのか給仕などはなくただカウンターに乾き物が入った小瓶が並ぶだけの立ち飲み屋“stand bar”なるものも立ち飲み屋に違いはないがまずこの格好では入店すら叶うまい、それでも何とか渋谷駅の改札を抜け渋谷の街に降り立った、平日の午前中と言うのに何だこの人集りは皆、それぞれに目的があってこの地を訪れているのか甚だいつも疑問に思う、そしてその人集りは一様にスクランブル交差点へ向かっている一度休日に訪れた時などは自力で歩かずとも自動で連れて行ってくれそうな人混みで気分が悪くなった、当然僕らに接していた通行人は視覚、嗅覚で気分が悪くなっていたであろう。


 しかし僕らはそのスクランブル交差点を渡る事なく嘉代ねぇの会社のある東へ行く、山手線のガード下をくぐり宮益坂下交差点、歩行者用信号が点滅し赤に変わる嘉代ねぇの会社が天空を突くようにそびえ建っているのが見える、僕は気持ちが更に重くなる渋谷へ向かう時点でかなり億劫なのであるが嘉代ねぇの会社へ到着すると病的に気分が落ちるのだ『嘉代さん、おはようございます』とはいかない、国内有数のアパレルメーカーであるから受付で嘉代ねぇに取り継いで貰わなければならないその工程が嫌なのだ、兄貴がそんな事する訳はないその役回りは僕の役目だ、受付カウンターに座る綺麗なお姉さん『いらっしゃいませ』と深々とお辞儀はしてくれるものの視界に僕を捉えた瞬間からお姉さんの体内では変調をきたす、周りでその変調に気づく者はいない、お姉さんの鼓動や体臭からそれを悟る勿論、外見には一切現れない終始一流企業の受付としての役割を全うするのだがお姉さんは確実に嫌悪感を抱いている『何だこの汚いおっさんは、お前がここへ来る用向き等ないだろ私に話しかけないでくれ』と。

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