滝田 裕二 Ⅱ
「兄貴ぃ、嘉代ねぇから電話ですよ」
今日は日曜日、絶対昼まで寝ると決め込み昨晩は遅くまで安酒場を兄貴と周りご機嫌で帰宅、風呂へ行くのも忘れ布団へ潜ったが早朝に嘉代ねぇからの電話で起こされた、嘉代ねぇからの電話という事はこの後出かける羽目になる二度寝は出来ない、時計を確認すると7時過ぎ3時間弱の睡眠に気分が悪くなった。
多分、兄貴も同じ気持ちだろう嘉代ねぇとの会話で手に取るようにわかる、話の端々が刺々しくドリアンを想像させる、そして僕は近隣住民の対応に追われるのだ、早速ドアを叩く音がする、叩くと言うよりこれは蹴っている全く躾のなってない住民がいるものだ私は渋々ドアを開けて対応した。
「テメェ何時だと思ってやがる!」
「はい、7時ですね、どなる程の時間ではないと思いますが?」
「何だとテメェもっかい言ってみろ!」
品性の欠片もないとはこの事でまったく会話にならない、そろそろ兄貴の話が終わると言うのにあなたはそろそろ怒りを治めて部屋に帰った方が身の為とは思うがあろう事か男は手を伸ばし僕の襟首を掴んできた、人の優しさを無碍にこう言った形で表すなら致し方ありません、僕は仰反ると首元当たりを指差しそれを兄貴へ見せた。
「お兄ちゃん朝から何してくれてますのウチのかわいい舎弟に」
「何だよ、やんのか出てこいよ」
売り言葉に買い言葉とはこの事でこの男は朝っぱらから起こされて怒り心頭の兄貴に喧嘩を売ると言う自殺行為に及んでいるのだが、よくよく考えると同じ境遇ではないかここは仲良く、そう思った時には男の頭は向かいの部屋の扉を突き破っていた、流石である最近兄貴は加減と言うものを覚えたらしく彼も来週には元気に成るであろう、しかしこれは嘉代ねぇの所へ行く前に引越しの準備が必要だ、何軒目だまぁ服が2、3着程度であるが、言ってる側から管理人の袋井さんがドアを慌ただしく開く音が聞こえた、まったく嘉代ねぇは空気が読めないのだろうか。




