滝田 裕二
「こぬかぁ雨ふるぅーみっどおぉすっじぃぃー」
兄貴は横になりテレビを見ながら歌っていた、まぁ外は雨でありがちな選曲、僕達の仕事は雨が降ると休みになる、でも世間の言うところの休みではない日雇労働者は休めば日当は出ない、日雇保険に入れば多少は出るのだが僕達にはそれを受ける為の資格がない、そもそも国籍と言うか身分を証明する物が全くないのだ昔、まだ大らかな時代は良かったそんな物なくても大手を振って生きて行けたが最近は管理社会というか公的な補助は一切受けられないでいた、しかしそんな僕達に救いの手を伸ばす団体もあったが僕も兄貴もどうにも好きになれないでいた何と言えば良いのか“眩しい”と言えば良いのだろうか昔の僕らを見てる様で如何にも見ていられないのだ。
「兄貴、お昼どうしますか?」
「せやなぁ、港湾食堂辺りやろなぁ、せやけど濡れたないなぁ」
僕達は大体1日働いて1万5千円、20日働けば単純に30万円、2人で60万円にはなるのだがその殆どは身体のメンテナンスに使われる、ここの家賃が1日2千円、月に6万円程2人で割って1人頭3万円それを60万から差引いて月に残るのは6万円弱これを2人で割ると1人が月に使えるのは3万円、自ずと1日に使えるのは千円になるから1日3食など夢の夢である。
「最近パン屋も減ってパンの耳も貰えませんからね、嫌な時代ですね」
「裕二よぉ、それゆうたらアカンねんで“老害”ちゅうヤツや、誰が老害やねん!」
「ハッハハ⋯」




