04話 戦術雷霆弓により主要軍事基地壊滅
刹那さんが準備運動をしている。
「いっち、にー、さん、しー」
「良し! やるか!」
刹那さんはそう言うと検問に並んでいた弓を携えた狩人の元へ歩いて行く。
「ちょっと、その弓貸して!」
狩人は戸惑いながらも聞き返した。
「なぜ?」
すると刹那さんは狩人にチップを渡した。
「ほい! これ、前金で渡すから、貸して!」
狩人は断ろうとしたが前金が魅力的だったので条件を出した。
「後金はこれの3倍だろうな? 俺は安いリターンで重いリスクは取らないぞ。」
「良いよ! 契約成立だね!」
刹那さんは狩人から弓を借りると一人離れた場所へと向かった。
「北緯35度、東経135度。ここから大体80.6キロメートルってところか。」
突如、空のが黒くなる。
ゴロゴロゴロゴロ
「なんだ?」
「おい…雨が振ってきたぞ。」
「先程までは快晴だった筈だぞ」
検問で待っていた人達が続々とテントへと向かう。
「刹那さん。雨が振ってきたよ。それに雷の音がする。危ないから僕達もテントに………」
刹那さんは頭の寝癖を『ピンッ』と立たした。
「優夜くん。私はね、手加減が苦手なんだ。だから極力戦わないようにしてる。………でもね手加減なんて必要ないんだよ。」
僕の髪が逆立つ。
「刹那さん。ほんとに危ない。これ雷が落ちる前兆だよ。早くテントに…」
その時だった。
ドォォォォォォォン
雷が刹那さんに直撃した。僕は刹那さんから離れていたが、思わず「うわぁぁぁぁ」と言う叫び声が出た。
「刹那さーん。大丈夫かー!」
僕が駆け付けようとすると、刹那さんは「そこで待ってて!」と言い僕の足を止める。
ドドドドドドドドドドドドドドド
雷が普通ならあり得ないほど連続で刹那さんの元に落ちる。
「刹那さーん! 刹那さーん!」
僕は雷が落ちている間ずっと刹那さんに叫んでいた。30秒程雷が連続に絶え間なく落ち続けてやっとの事で止むと、中から刹那さんが出てきた。
「刹那さ………っえ?」
中から出てきた刹那さんの髪の毛は、銀髪と空色のグラデーションから、雷のような色に変わっていて、辺りの時空バチバチと音を立てて歪んでいた。
まるで刹那さんの寝癖が避雷針のような機能をしていた。
僕の周りにもピリピリと肌を刺すような感覚と、チリチリと髪の毛が逆立っていた。
「大体200発で良いか。優夜くん! 絶対にそこから動かないでね。近付けば命の保証は無いから。」
バチバチバチバチ
刹那さんはそう言うと続けて呟いた。
「雷200発を原子レベルにまで圧縮し、敵に裁きを与える戦術雷霆弓。」
そして矢が放たれる。
「雷針・雷心・雷神・来神」
ドォォォォォォォン
その瞬間、瞬きする間もなく矢は着弾した。僕は目を凝らして見ていたが、ギリギリ見えなかった。
♢
剣舞大国ノストンでは会議が行われていた。
「では、10傑は全員動けると…」
「はい。アルカの5英傑とは違って我々の軍は全て動かせます。」
「フッ。やはり世界を手にする国は我らであったか。」
「はい。密偵の情報によると、あちらは少々ごたついているらしく、我らの対応が遅れているようです。今すぐにでも軍を動かしますか?」
「うむ。では今すぐ、我が国の戦力を挙げてアルカを………」
ドォォォォォォォン バチバチバチバチ
そうして、剣舞大国ノストンの主要軍事基地は壊滅した。そこには、ノストン最強の騎士達『10傑』の中の2人、『戦地のドゴウ』と『修羅場セナ』が居たが、彼らはそれに巻き込まれ、消滅した。
♢
「うわぁぁぁぁ」
強烈な暴風で僕は吹き飛ばされた。
立ち上がり目の前を見てみると、空間が引き裂かれたかのようになっていた。
「なんだ…あれ。」
そして僕の目には遥か先で太陽が地上に落ちたかのような光のドームが広がっていたのが見えた。
「刹那…さん。」
刹那さんの雷のような髪が、いつもの銀髪と空色のグラデーションに戻ると「命中!」と言い僕の方に歩いてきた。
「とりあえず、軍事基地は機能不全にしたよ。まぁ、10傑は2人しか殺れなかったけどね。」
僕が呆気になっていると、周りの人達が駆け付けてきた。
「おい、何があった? お前らは何をした?」
「はぁ? 俺の弓はこんな強くねぇよ。一体お前は、どんなトリックを使った?」
刹那さんが彼らに「私はただ敵を矢で射抜いただけだよ。」と言っていたが、彼らは納得していなかった。
「お前ら、何をしている?」
騒ぎと、音と、太陽のような光のドームを目にした衛兵達が駆け付けてきた。
「私がノストリルの軍事基地に矢を放ったんだよ。ちゃんと壊滅できたよ。」
それを聞いた衛兵は周囲の聞き込みをすると、僕と刹那さんを拘束した。
「話は詰所で聞く。君達は無駄な抵抗は辞めることだ。」
そうして、僕達は詰所に行くことになった。
♢
「この魔法具は嘘を感知することができる。事実とは違う無駄な嘘は辞めることだな。」
詰所の魔法具は事実を発言と照らし合わせる。
事実とは違う思い込みや嘘などは通用しないのだ。
「君達はどこから来た…そして先程は何をした?」
「私達は宇宙からやって来たよ! さっき、ノストンが私の敵になったから、取り敢えず主要軍事基地を1つ滅ぼしたの。」
「……嘘は無しか。」
「おい君、最近あったことを一つ言ってみろ」
「承知しました。最近あったことは、友人の結婚式演説で滑ってしまい微妙な空気になりました。」
「……嘘は無しか。魔法具は正常に機能している」
「それで君は…………………」
僕達は嘘偽りなく状況説明と事の経緯を語っていたが、突然、詰所の扉が急に開き凄まじい雰囲気を放った女性が入ってきた。
「っ!? エチゾナ様。」
「あぁ…堅苦しい挨拶は良いよ。私はただ、その2人を解放しに来ただけだから。」
「――っ、承知いたしました。エチゾナ様がそうおっしゃるのなら…では、今から君達を解放する。」
そうして僕達は解放された。
詰所から出るとエチゾナと言われていた人が僕達に「街を案内してあげるよ」と言っきたので、彼女についていくことにした。
「あの…貴方は何者なんですか?」
僕が彼女オーラに疑問を持ち、憲兵所の入り口で聞いた。
「あぁ…自己紹介してなかったね。私は魔法先進国アルカの筆頭5英傑、叡智のエチゾナ。よろしく」
それが僕達が会った最初の5英傑だった。
執筆リズムを整えるため、今後は1話3000文字前後を目安に更新していきます!
本作は、連載中の本編『配神者』と深くリンクしています。あちらを読んでから本作を読み返すと、より世界観の「裏側」を楽しめるはずです。
次回は明日20時頃に投稿します。お楽しみに!
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