第15話 とあるギルド受付嬢の業務日誌より抜粋。直近、三週間分
※作者注:今回は別視点。「とあるギルドの受付嬢」視点です。
「とあるギルド受付嬢の業務日誌より抜粋。直近、三週間分」
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今日、へんな子が来た。
無ランクの木札として登録した。
妙に小綺麗で、妙に教養があって、妙に常識を持たない、世間知らずの子……。
ちょっと可愛いな。と思ったのは内緒だ。
でもたぶん、何日もしないうちに、死んじゃうんでしょうね。
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あの男の子。まだ生きている。
街中で安全な仕事を探しているというので、つい張り切って、たくさん紹介しすぎてしまった。
彼が依頼を峻別していく速度と精度。
この子……、絶対に、高度な教育を受けている。でも貴族の子弟には思えない。
……何者?
彼が最終的に選んだのは、ドブさらいの仕事。
驚いたことに、感情抜きで選んでた。
ちょっと痺れた。
あんな子供なのに……。
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あの男の子。まだ死んでない。
忠告も聞かないイキり倒したクソガキばかりの中、あの子はちょっとした清涼剤だ。
毎日、私の窓口に駆け寄ってくるその様は、子犬みたいで可愛らしい。
受付業務を担当するすべての小娘達に通達を出す。
彼の受付は、すべて私が担当すると、決定事項を伝えた。
職権乱用? お局様は下がってろ?
いえいえ。これは必要な措置です。
有望そうな子の生存率は、少しでも上げなければ。
最適任者が私であった。ただそれだけのこと。ふふっ。
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あの男の子。ずっと生きてる。
そしてまだ銅札《Fランク》に上がってない。木札《無ランク》のまま。
もういつだって、上がれるのに。
なにを考えているのか、まったくわからない。
わからないけれど、彼をサポートするのが私の仕事。
明日も生きていて、駆け寄って来てくれると、いいのだけれど。
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あの男の子は生き残った。
ゴブリンと戦って、なんとか倒してきたらしい。
よかった。本当によかった。
武器を調達しただけで、使い方も覚えないうちに、勝手に倒しに行ったと聞いたときには、血の気が引いたけれど。
結果、生き残った。
やはり……。
あの子はずっと生き続けるほうなのかも。
Fランク、Eランクなど、とっとと駆け抜けて、A――いえ、Sランクにまで駆け昇るような、そんな伝説の最序盤に立ち会えているのではないか。そう興奮する。
そして浮かれるあまり……。
私は失敗した。
お仕着せが過ぎた。
穏やかな彼が、はじめて見せる怒りをぶつけられて――。漏らしてしまっていないか、あとで下着を確認する必要があった。
嫌われたかもしれない。どうしたらいいのだろう。
リタに相談する。
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許してもらえたようだ。それは安心できた。
だが驚くべきことが起きた。
あのリタが……、懐いた。
誰にでも作り笑顔を向けるが、内心には決して踏み込ませず、毛を逆立てた野良猫みたいな本性を持つ彼女が……。なんと、私以外に「リタ」呼びを許していた。
彼女をうっかり「リタ」呼びして、睾丸を破壊された殿方が、何人もいるというのに。
気を引き締めなければ。
彼女はそろそろ受付業務にあがる。そうしたら、彼の担当を取られてしまうかも……。
でもね? リタ?
秘密をぶちまけるの、やめてくれない?
取りなしてくれるって言ったじゃない!
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勝った! 生きてる!
彼はゴブリンの群れを倒してきた。
ダグラスの見立てによれば、心配はいらないとのことだったけど、やはり不安でしかたがなかった。
もし彼が英雄物語に出てくるような子でないなら――。もし私の見立て違いで、ただの普通の男の子だったら――。
でもそれは杞憂だった。やはり彼は……!
そして彼は、ようやくFランクにあがってくれた!
私は三週間も待たされてしまった。彼は女を待たせるのが得意なようだ。
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