第八話 攫われたお姫様。
ある朝、私が奇跡的に自分で起きた時、スイが私の部屋に駆け込んできた。いつも冷静で対応も早いスイが取り乱すんはよっぽどのこと。スイが焦った声を滲ませながら私に言った言葉に目を見開いた。
「ユリハお姉様がいないって…どういうこと…」
「今朝、いつも早く起きるユリハ様がなかなか起きず召使いが尋ねに行ったところ、部屋はもぬけのから、でした……。ガイオネル様のところにもこの屋敷のどこにもいないんです……」
髪をくしゃっと握りつぶしスイはゆっくり深呼吸して取り乱す自分を宥めている。
…物語的にはスピアーなはず。ただ私のかいた話でスピアーがでてくるのはガイオネルとユリハが夜の散歩に出かけてた時。夜の散歩に好きな人となんてロマンチックだっていうのがあってその設定にした。
「ねえ、スイ。昨日ガイオネル様とユリハお姉様は夜に外出した?」
「おふたりの外出、ですか?…確か昨日は………」
スイが続きを言おうとした時バンッッと扉がまた開く。スイとは違う苛立ちのような怒ってる時の開け方だ。
おそ、らく……。
「おい、アリサ。ユリハをどこにやった?」
険しい顔をしながら低い声で私に尋ねるユリハの婚約者のガイオネルだ。誰かしらか報告があったんだと思う。それに真っ先に私疑うだろうなぁっとは私も思ったよ…うぅ…。
「ガイオネル様、私はユリハお姉様をどこにもやっていません。昨日から今まで部屋を出ていないのですから」
「お前は悪女だろ?裏の方では顔が知れてるはずだ。自分では手を出さない…卑怯なやり方だ」
「…………」
そう言われたら何も言えない。悪女なのは間違ってないしだからといって、やってないんだし…うーん…どう説明したら………。
……ううん、そんなことよりユリハが拐われたこと自体が危ない。ユリハ攫う奴らみんなユリハ使ってよくないことするし。今こうやって私が言い返して時間潰すよりユリハを助ける方が優先だ。
「…ガイオネル様のいうとおりです」
「認めるのか」
すごく冷たい声に胸を締め付けられつつ、それを悟られぬように悪女っぽく、口角を上げる。
「いいえ、奪い返すのですよ」
「……何言ってるんだ。ユリハはお前が…」
「はぁー…ガイオネル様。今ユリハお姉様は攫われてるんですよ?ありもしないことをされているのかも、しれないんですよ」
ユリハを助けることだけに意識をしろっゴォォォッと圧をかけつつひいてたため、コホンッとひとつ咳払いをする。
「私を信じるか、ユリハお姉様を見捨てるか…どうします?ガイオネル様」
ガイオネルは迷ったふうに目を泳がせ、キツく目を閉じたかと思うと声が発せられる。
「…お前を完全に信じたわけじゃない。…ただ俺の1番はユリハだ。助けに行く以外はない」
開かれた決意をした瞳は眩しく、自然と頬が緩む。
「なら決まりですね。ユリハお姉様を奪い返しましょう」
絶対に助けてみせるっ。




