第五話 騎士様はタコ顔にツボっています。
「アリサ?どうかしたの」
私がぼぉと考えごとをしてるとユリハが私の顔を覗く。
「あ…いやなんにも…」
むぎゅっと頬を両手でおさえられにゅっと口が無意識に出て、タコさん状態の顔にされる。
ユリハは真剣そうな顔をしてるのに後ろのガイオネルが笑いを堪えようとしてるけど笑い声が漏れてる。
「アリサ、隠し事はダメよ。私たち姉妹なんだから。それに姉だから頼ってほしいの」
「…ありがとう。ユリハお姉様みたいな姉をもてて嬉しいよ」
と、言いたかったがこの顔のままだと
「ありゃと。ふひはおへえさまみはいなあねもへてうへひいよ」
せっかくの感動的なところが私の言葉とガイオネルの笑い声によって台無しになったのだった。
ユリハもつられてクスクス微笑み、「そうだっ」と言ったかと思うと私の口に何か入れられる。
「ユリハ様、相手の口に食べ物を入れるのはよろしくないかと…」
「ごめんなさい…ついつい」
スイにちょっと叱られているけど私より断然甘い。
私の時はギロッて睨む感じで怒られるけどユリハの時は少し困ったように眉を下げてる。
その姿がちょっと意外で眺めたら睨まれた。
無か怒る表情しか見せないから見てただけなのに。
ただ、確かに何を入れられたのかが怖い。ちょっと警戒しつつカリッと噛むととろりと甘い何かが出てきた。
「ユリハお姉様…これは…」
「私の好きなお菓子なの。チョコレートはこの国にはあまりないんだけどガイオネル様が討伐のついでに買ってくれたの」
ニコニコと楽しそうに話しているのを聞きながら舌でコロコロ動かす。
チョコレートは前世食べたけど、比べるとちょっとだけ苦い。
もっと甘いのしったらきっと飛びつくだろうなぁ。
「そういえば討伐って…」
「アリサは知らないのか?」
ガイオネルが急に口を開き紅茶の入ってるカップをかちゃりと置く。
「最近魔物がよく見かけるようになって討伐依頼が増えてな、このチョコレート菓子はミストラルジュから買ったものだ」
そういえばそうだった。魔物とか出させたの私だから当たり前だ…。
色々ユリハが魔物に連れ去られたり事故とかあったりで………ん?
ユリハが魔物に連れ去られて……。
さーっと血の気が引き手が震える。
こうあってほしいなって考えてユリハを色んな事件に巻き込ませた。
そして美男子が助けてくれたらなぁって。
でも、だよ…?
ユリハが攫われたり事件に巻き込まれたりしたら最初に疑われるのは紛れもなく私だ。
あの毒を盛ろうとするもっと前もいろいろやってたはずだ。
そしたら…私今度こそスイに殺される…!?
からになったカップに紅茶を注ぐスイをチラリ止めて目を離す。
どうしよう…何が正解…??
ユリハとずっと一緒にいる?
ユリハが巻き込まれたら助けに行く?
ど、どっちも普通に疑われるってぇぇぇっ。
こ、こうなったら…無理矢理にでも防いで見せる。
物語の内容も覚えてるところもあるし…ッ。
「アリサ…?顔青いけどだいじょう…」
「ユリハお姉様。絶対守るのでっ」
ぎゅっと手を握り返してユリハに笑いかける。
死亡フラグもユリハの起こる悪いことも全部回避してみせるッ、
この物語の国について。
主に5つのくにがあり、グランドゼニスを中心に、周りに4つの国があります。
【グランゼニス】
アリサ、ユリハ、ガイオネル、スイも暮らしている国。
5つの国の中で1番人口が多い。
【ルナフィア】
夜が永遠と終わらないと言われてる謎の国。
誰が住んでるのか、誰がおさめているのかも不明
【ヴァルガルド】
峻険な山々に囲まれ、武を重んじる人が多くいる。
剣などのものの多くはここで作られている。
【ドラグニール】
竜の一族がおさめている国。
街は霧で覆われており、許可のあるものしか踏み入ることができない。
【ミストラルジュ】
自然が1番豊かな国でドワーフや妖精など不思議な生き物も生息している。
野菜、果物など食料のほぼはここでつくられてる。




