第二話 悪役令嬢の帰還です。
さすがに目が覚めたら檻の中にいたから転生したんだ〜って呑気に思ってたけど、本当に…私転生しちゃったらしい……。
しかもよりによってあの黒歴史の塊の漫画だとは…。
私を抱きしめていた可愛すぎるくらいの少女はユリハ・ライモンド。
アリサの実の姉だ。
そして…私のかいた物語のヒロイン。
可憐で可愛らしく守ってあげたくなるような女の子。
それとは対照的にアリサはそんなユリハに嫉妬し暗殺をしようともしたとんでもない令嬢だ。
多分…ここってアリサがユリハを暗殺しようと毒入れたのがバレたから、だっけ…??
確かそれがバレたのって………。
「アリサ、大丈夫?痛いところ、ない?」
ほっそりした小さな手を私の頬に当ててユリハは首を傾げる。
今、目の前にいるのは、私だったはずの子だ。
誰からにも愛されるような…女の子。
「……はい、大丈夫、です」
へらりと笑うとユリハは安心したように微笑み、手を差し出す。
「それじゃあお家に帰りましょ」
その姿は本当に女神のように見えた。
◇◆◇
ユリハはお家っといってたが全然想像してたのじゃなかった。私が描いたふにゃふにゃ&適当な家より断然豪邸だ。
庭は手入れが行き届いてて葉っぱ一枚も落ちていない。薔薇のアーチもあり、薔薇それぞれ絡まり重なってることもなくまるで意図的かのように綺麗に並んでいる。
アーチをくぐると何十人者召使いや執事が扉付近にいて、近づくとザッと頭を下げる。
「「「おかえりなさいませ、ユリハお嬢様」」」
息ぴったりの声に思わず拍手してしまいたくなる。
感心してる私の横でユリハがふわりと笑う。
「ただいま。今日もお迎えありがとう」
鈴の音のような優しい声その場のものたちを笑顔にさせた。
ただ…
「あとね、みんな。妹のアリサ帰ってきたの。仲良くしてちょうだいね」
ピキッとユリハの言葉に周りが固まる。さっきまでの癒し空間が一気に冷やされた。
ユリハに前に押し出された私は言葉を詰まらす。
なんてたって悪役令嬢だ。
ユリハとは違う私は歓迎されるわけない。
「よろしくーっ!」というメンタルも持ち合わせていない。
とりあえず何か話さなきゃ…と口を開こうとしたとき、大きな扉が内側から開いた。
そこに佇むのは執事を1人つけている男…ユリハの婚約者だ。
ユリハの婚約者の名前はガイオネル・ユーリンだ。短髪の黒髪にスラリとした180cm以上の身長、鋭い目つきだけど優しくてユリハ思いの一途な婚約者であり、王族から選ばれたものしかつけない騎士の1人でもある。
私のかいた物語だから婚約者である彼は特に覚えている。
その後ろにいるのはユリハとガイオネルが唯一信頼してる執事のスイ。昔ガイオネルに救われた彼は婚約者であるユリハにも忠誠を誓っている。まわりには冷淡ですごく冷たいが仕事はどれも丁寧で文句のつけどころがないスーパー執事だ。
そんな彼らがユリハの前まで降りてきてガイオネルが目を細め優しく微笑む。
「おかえり、ユリハ」
「ただいま、です」
少し照れたように頬を赤くして笑顔を向けるユリハに優しく頭を撫でている。
す、すごい甘々だ…。
私は空気…私は空気…っととなえているとガシッと肩を掴まれる。
ひぃっと悲鳴を呑み込み後ろをみると無表情のスイがいた。
すっごい真顔だけど殺気がすごいのはマジで私にもわかるッッ
ブルブル震えていた時ふと、思い出した。
そう、だ…。
ユリハの毒を守ろうとした時、見られたのが……。
『何をしているのですか、アリサ様』
「何をお考えですか、アリサ様」
スイ…だった……。




