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気になる蘭子は止まらない  作者: きら
野球って何だ?

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51/70

1回表〜ヒロシとの対決〜

マウンド上に、ロジンバッグの白い粉が舞った。

蘭子は少し前のめりの姿勢で、葵をまっすぐ見つめている。

 

『はやくサインを出せ』

表情がそう言っていた。

 

(はいはい。わかってますってお姫様。初球は……これ)

急かす蘭子とは反対に、葵は冷静に2人だけの暗号を指先で伝える。

 

今、ヒロシは蘭子のことを完全に舐めきっている。

初球からフルスイングをしてくるのは間違いないだろう。

だから、初球から風術を使わせてもらう。

葵はキャッチャーミットをインコース高めに構えた。

蘭子の全力ストレートでヒロシをビビらせてやろうという魂胆だ。

(初球はボール球で構わない。まずは打ち気を逸らす)


サインを見た蘭子はウンウンと頷くと、投球動作に入った。

練習と同じように、完璧なフォームで振りかぶる。

そして、大きく踏み込んだ足で踏ん張りながら、思いっきり腕を振った。


シュッ!!


しかし、その速球は真っ直ぐヒロシへ向かって飛んでいく。

 

(まずい――!)


ドゥン!


「イ゛ェアアアア!!!!」


葵の焦りと同時に、脇腹にボールが当たる鈍い音と、ヒロシの断末魔がグラウンドに響き渡った。


「……す、すまんヒロシ!しくじった……」


蘭子は心配そうな表情で謝ると、マウンドを降りてヒロシに駆け寄ろうとした。

その時、神原部長のドスが効いた声が響き渡る。

「おい!三崎!こっちは大事な試合前なんだ!怪我だけはさせてくれるなよ」

その矛先は蘭子ではなく、リードをしている葵に向けられていた。

その様子に、蘭子は足を止めて困惑してしまう。

珍しく動揺しているようだ。

(くっ……いやらしい心理戦を仕掛けてきたな)

神原部長の行動はブラフだ。

瞬時にそれを見抜いた葵は、仕切り直そうと蘭子の元へ向かった。

しかし、その空気を嫌ったのはデッドボールをくらったヒロシも一緒だった。

「部長!大丈夫です!……蘭子ちゃんも気にしないで!これは……、アクシデンツ!」

なぜか『アクシデンツ!』でガッツポーズをしながら、不穏な空気を一気に元に戻した。


そう言いながらも、脇腹をさすりながら一塁に向かうヒロシの背中を眺めて、葵は蘭子を励ました。

「あの様子ならアイツは本当に大丈夫だ」

「そ、そうか。ならば安心だが……」

そう言いながら、蘭子はチラリと一塁側ベンチを見た。

「気にするな。あれは神原部長の作戦だ。ああやって動揺させて、お前のテンポを崩そうとしているんだ」

葵は蘭子の頭をポンポンと叩きながら言うと、ようやく蘭子にいつもの表情が戻ってきた。

「あっちにも曲者がいるぞ、あおい」

ほっぺをプックリ膨らませて拗ねたフリをする蘭子を見て、葵は笑って応える。

「だな。よし!ここから仕切り直しだ!練習通りやればきっと上手くいく。行くぞ」

「うん!」

グータッチを交わした2人は、元の位置に戻っていく。

そして、蘭子は葵にバレないようにその拳を見つめて優しく微笑んだ。

 

あの蘭子がこの雰囲気に飲まれてしまうほど、さっきまで何か独特の空気感があった。

でも、あの様子ならもう大丈夫だろう。

蘭子の表情は『戦う顔』を取り戻していた。

蘭子「1球で1話ペースだな」



勘弁してください……

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