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気になる蘭子は止まらない  作者: きら
野球って何だ?

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50/70

プレイボール!!

グラウンドには打球音と雄叫びのような声が何度も響いている。

野球部のシートノックが始まったのだ。

やはり本物の動きは一味違う。

三塁側ベンチでは、親衛隊の3人とマッスルマンが食い入るようにその練習風景を眺めていた。

そんな最中、葵の声がベンチに響いた。


「みんな!ちょっと集まってくれ!」


自然とベンチの前で輪になったウインドーズ9に、葵の緊急作戦会議の結果が伝えられる。

「あぶさんが間に合わないから、事前に伝えていた作戦を変更することにした。まずは今から打順とポジションを発表するから聞いてほしい」


――――――――――

1番 ショート   タカヤ

2番 ピッチャー  蘭子

3番 セカンド   静香

4番 レフト    ラミーちゃん

5番 ファースト  マッスルマン

6番 センター   矢部先輩

7番 キャッチャー 葵

8番 ライト    松坂先輩

9番 サード    松井さん

――――――――――


本来はあぶさんがサードを守る予定だったが、居ないのでは仕方がない。

控え予定でホッとしていた松井さんには申し訳ないが、試合に出てもらうことになった。

守備位置をサードに置いたのは、葵の考えがあっての事だ。

だが、ピッチャー問題の方が重要だ。

蘭子が9回まで投げるのは体力的にも厳しそうなので、途中であぶさんが投げる事になっていた。

途中から来てくれるようだが、正直、二日酔いの状況で本当に来れるのか疑問だ。

これは賭けになるが、蘭子には行けるところまで頑張って投げてもらうことになった。

(いざとなれば、経験者の矢部先輩かラミーちゃんに任せることにしよう。居ないよりは……マシだろう)

タカヤと静香もチート技術で投げられそうな気がするが、なんとなく大事故が起こる予感がするので、それは避けたいところだ。


葵から伝えられた作戦には、全員異議無しだった。

あぶさんが来るまで、蘭子をサポートするのが守備でのミッションになる。

シートノックを終え、こちらと同じようにベンチ前に集まっている野球部へ視線を向けながら、葵は1つ頷いて気合いを入れる。

そんな緊張感が高まった瞬間、ベンチから聞こえたのは加賀見のイビキだった。

葵と対称的な姿に、ウインドーズ9はお互いに顔を見合わせて、クスクスと笑いだしている。


その時。

 

「集合!!」


グラウンドに審判の声が響いた。

両チームはホームベースを挟んで、ピッチャーマウンドに向かって真っ直ぐに整列する。

実は、この審判団もラミーちゃんが連れてきた方々だ。

元プロ野球の審判や、現役高校野球の審判で構成されている。

(なんか……すごく本格的だな)

葵はスタジアムと審判団の雰囲気に飲まれそうになっていた。

「逃げずに来たようだな」

そんな葵に、神原部長はニヤリと笑って言う。

「もちろんです。勝つつもりですから」

根拠はない。

だが、確かな自信はある。

葵は鋭い眼差しで神原部長を見つめた。


「ただいまより、野球部とウインドーズ9の試合を始める。お互いに、礼!!」


 \\ッシャーーーース!//

 \\お願いします!//


主審の号令により、ダイヤモンドに両チームの挨拶が響いた。

先攻は野球部となり、ウインドーズ9の面々はそれぞれの守備位置に散っていく。

そして、蘭子が軽く投球練習を行い、いよいよ試合開始の準備が整った。


「さあ!始まりますわよバーニー!」

一塁側スタンドでは、セリスが身を乗り出すようにその姿を見ていた。

「セリス様、前の席に寄りかかると危険です」

バーニーの心配を他所に、どこかワクワクしている様子が隠せない。

そして、三塁側では加賀見がコーヒーを一口啜ってグラウンドを眺めていた。

(さーて……どうなるかねぇ)

唯一全てを知っている加賀見も、まるで他人事のように究極の非日常を楽しんでいる。


バッターボックスには、野球部の1番バッターが入ってきた。


「いきなりお前からか」


葵はキャッチャーの定位置にしゃがみ込みながら、気合い十分なヒロシに話しかけた。


「へへっ。先頭打者ホームランって言うのをみせてやるよ」


ヒロシは葵に目を合わせず、バットの先でホームベースをトントンと叩くと豪快に構えた。


「さあ!来い蘭子ちゃん!」


いよいよ、試合が始まる。


「プレイボール!!」


 

主審の大きな声で、それぞれの思惑が動き出した。

そのどの瞳にも、迷いは感じられない。

やっと試合始まった……

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