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気になる蘭子は止まらない  作者: きら
野球って何だ?

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49/69

影と陰。見下す視線。

──一塁側スタンド最上段


「にひひ!エルトリアの犬がこっちに気付いたようですわ」

セリスは愉快そうな顔で三塁側ベンチを見下ろしている。

「見なさい!(わたくし)達が目の前に居ながら、何もできない悔しそうなお顔。傑作ね!ックックック!」

口を抑えながら、足をバタバタさせて笑う。

一方、隣に座るバーニーは冷静にタカヤ達を見つめていた。

「では、タカヤ・ルイン・リシェードの隣に居る女性が、お嬢様の仰っていた人だと?」

「バーニー! 呼 び か た !」

「……失礼しました。陛下」

「もう……いい加減慣れなさい。そうよ。あの女よ」

バーニーはやれやれというような表情を浮かべ、セリスから聞いていた要注意人物をじっくりと観察する。

(見た目は普通の学生のように見えるのですが……)

しかし、彼女の視線はこちらに向いている。

バーニーもセリスも、隠れるつもりでは無いが他の観客に紛れて気配を消していた。

それをピンポイントで察知しているところを見ると、やはり只者ではないのであろう。

(むぅ……)

ただでさえ強敵であるタカヤ・ルイン・リシェードだけでなく、得体の知れない戦力がエルトリア側に居ることで、バーニーの警戒心は高まっていた。

(それに、お嬢様は気が付いていないようですが……。この布陣、あの2人だけではない何かが……)

そして、バーニーはあの2人だけではない、違う違和感を感じていた。

「セリス様。くれぐれも、油断なさいませんよう……」

その正体がわからないバーニーは、注意喚起を促すことしかできない。

「本当に心配性ね、バーニーは……。」

しかし、セリスは呆れたように返すだけだった。

「安心なさいませ。あのポンコツ監視役は今日もポンコツっぷりを発揮してますわ」

そう言って、セリスは三塁側のスタンドに視線を向ける。

そこには、慌てたように物陰に隠れる人影が見えた。

セリスにとって、バーニーの注意喚起はあの監視役の事だと思われているようだ。

「ですが……、あまり舐めすぎない方が良いかと思いますが」

だから、バーニーは少しでも危機感を持ってもらおうとセリスを諭す。

「……しつこいわよバーニー」

しかし、バーニーの思いはセリスに伝わらなかった。

セリスは続ける。

「今日の目的は蘭子様達が何をしているのか確かめに来ただけよ。私達は何もせずに見ているだけ。そこに、どんな危険があるというの?」

「……」

バーニーは黙ってセリスの話を聞いている。

これ以上、彼からは何も言う事はない。

このわがまま王女様は、こうなってしまっては人の話など聞く耳持たずなのだ。

セリスはバーニーが小言を言わなくなったところで、頬杖をついてつまらなそうな態度に変わる。

 

「……呑気なものね。こんなことをして遊んでいるだなんて。これが一体、エルトリアの何に役立つのかしら?」

 

蘭子達を影から監視していたセリスは、未だに蘭子達の目的を掴めずにいた。

それとも、セリスには理解が出来ていない何かが起こっているのだろうか?

そんな不気味な何かが動いている感覚はあった。

だが、それを認めたくはない。

だからバーニーの小言にも、ついムキになってしまうのだ。

「バーニー。この試合で起こること。全て見逃しては駄目よ」

「御意」

短く言葉を交わした2人の視線は、三塁側ベンチに向けられている。



──三塁側ベンチ


(……あーあ。嫌な雰囲気だねまったく)

()()()()をしていた加賀見は一瞬だけ目を開けると、ベンチの端にいる静香とタカヤを見た。

2人の視線が一塁側スタンドに向いていることはすぐに分かった。

加賀見は、そこに()()()()()()()()()()()のだ。

元々隠密技術には優れており、簡単にバレるようなヘマはしないが、あのポンコツ監視役のお陰様で、加賀見にはまるで警戒心を持たれていないようだ。

(『やる気の無い教師』っていう設定も悪くねぇな。まぁ……本当にやる気はないけど)

そう。加賀見の本当の顔は、『異世界人の監視役』だった。

最初は蘭子とタカヤ専属の監視役だったが、セリス達に付いている監視役があまりにもポンコツなので、最近は掛け持ちで監視を行っているのだ。

(ったく……人使い荒いよなぁウチの上は……)

「ふわぁ〜」と欠伸をして、さりげなく一塁側スタンドの最上段を見る。

(ほぅ……。どうやら、お付きのオッサンはそれなりに出来るみたいだな)

加賀見の監視はバレていないようだが、何か警戒心を隠せない様子が見て分かった。

(それなりに場数を踏んできている……といったところかね)

だが、加賀見はいつも通り、やる気が無さそうに再び居眠りモードに入る。

(まぁいい。今はまだ泳がせておく方がいい)

それは、()()()()()()でもあった。


蘭子とタカヤの存在は模範的だ。

タカヤには少し難がありそうだったが、加賀見とその組織にとっては優等生のような存在だった。

手がかからない……いや。

三崎葵と三原静香のお陰で、だいぶ楽をさせてもらっている。

しかし、シェイドリアの2人は問題児だ。

出来れば面倒を見たくないくらい、厄介な来訪者なのだ。


(だが……、この世界をあんまり舐めてくださるなよ、異 世 界 の 住 人 さ ん)

 

加賀見はまた、昼行灯(ひるあんどん)のように居眠りを始めた。

セリスにお嬢様って呼んで怒られたいです。

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