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影の視線
「危なく見つかるところでしたわ」
少女は、ファミレスの外に立つ大きな木の影に紛れて胸を撫で下ろしていた。
「エルトリアの犬が腑抜けた男になったと聞いていたけど、まさか、気配だけで察知されるなんてね。……油断しましたわ。やっぱり、あいつは邪魔な存在ね」
彼女は誰に言うともなく、独り言をつぶやいた。
明確な敵意を持った表情で。
「もう1人……あれは、この前蘭子様と一緒に居た男ね。どうやら、余計なことを吹き込んでいるのは彼のようね」
少女はつまらなそうに呟く。
「ま、いいわ。今は泳がせておきましょ。でも、このままあなた達の思い通りにはさせませんわ。にひひ!」
少女はそう言って影の中へ姿を消した。
その場に居たはずの気配は、もう一切残っていない。
まるで最初から存在そのものが幻だったかのように……。
不穏だなぁ…




