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一度あったら二度あるということ


「おーぅ……凄い粘着力だなー」


 引っ付いて剥がれないというレベルではないが、いつの間にか引っ付いているこの粘着力は子供の頃に奮闘した、ひっつき虫を連想させる。


 もはや執念すら感じさせる生産力。我が子投げ売り。


 三階程の石造りの建物の上から階下を見下ろすと、お揃いの紋章を黒地に白で縫い付けた人達が、曲がり角を出たり入ったり出たり入ったり慌てている。


 黒ローブの方々だ。


 ストーカーにつけ狙われる女性の気持ちも分かるというもの。尾行に気付いた訳じゃなく、ただなんとなく、尾行とかされているのでは? と軽い気持ちで視界跳躍。スパイ気分で己の考え過ぎを笑っていたのが、ついさっき。


 しかし出るわ出るわ。


 いても一人かと思いきや、最初の道から曲がった先の道の角まで、パッと見ただけで十人の黒ローブ。


 揉め事の解決を図ってから三十分も経っていない。まだ現場には憲兵様方が詰めている筈。護衛を付けようとの提案を、何を大袈裟なと断るべきではなかった。


 しかしまさか、こんな短時間で仕掛けてくるとは。拙速は巧遅に勝ると言うけれど、ここで俺を害そうものなら犯人候補に真っ先に名を連ねそうなものだというのに。


 理屈じゃないんだな。感情なんだな。


 新規参入した商店を潰そうとするのは何処の世界も同じ。


 出る杭は打たれるが慣例。


 でも、オジサンの予想していた商戦と大分違う。もっとサービスや料金や質で戦うものだと考えていた。


 ここで物理とは。想定外。


 異世界の常識がファンタジー。


 のんびり見ていて見つかるのも不味い。


 オジサンは体を引いて視界を切る。落ち着いて考えるために、敷物を取り出してそこに座る。果実水が入っている樽を取り出し、コックを捻ってコップにつぐ。魚の唐揚げをパンに挟んだ料理を並べ食事にする。


 思い描いていたランチと違ったが仕方ない。なにせ向こうのクレーマーに宿がバレてるからして。


 口にする唐揚げパンは何か一味足りない気がした。


 あんなトラブルがなければ、今頃はメイドさんの用意する昼飯を食べていた筈。うっかり手が触れ合って、名前を聞いちゃったりして、結婚。


 間違いないな。


 そんな幸せルートを毎度潰されては堪らない。早くなんとかしなくては。幸いに害獣退治は本職よ。あんな集団、夜に意外な所から出てきては眠れなくなる黒いアレと一緒じゃないか。食事中ですよ。


 思わず手に残っているパンを開く。大丈夫。魚だ。


 果実水を飲んで一息。出来れば勢いをつけたいと自分を鼓舞してみたものの、やっぱり怖いものは怖い。


 ここは日本古来のことわざに則った手段でいこう。


 オジサンの幸せな家庭の為に、馬に蹴られて貰おう。


 銀髪のお姉さん(年下)にクレームは効かないぞ。いや聴かないぞ。










「……買うならあっち、売るなら出して。登録なら毒はこれ」


 やあ、お馬さん。


 やってきたのは薬師ギルド。登録するのに毒を飲まなきゃいけないというブラックな所。勿論労災無し。


 ギルド内は所々に植物が置かれ、やや蒸し蒸ししているが、カウンターの向こうは冷房の魔道具で涼しいらしい。そのせいなのか知らないが、いつも閑散とした印象がある。


 カウンターの向こうでは大抵何かの薬を作っている。粉末にした何かの虫や、いい臭いを発する水やらが器具と共にバラバラとテーブルの上に散見している。別にカウンターに敷居やガラス等はついていないのだが、魔道具の効果範囲内がカウンターの向こうだけらしい。そこはもっと頑張って欲しかった。


 いつもカウンターに着くと、薬を作っていたギルド員が舌打ちしながら来てくれるのだが、今日は最初からカウンターに人がいた。


 ツイてる。


 いつもの、白衣にやせ細った色白の、目の下に盛大なクマを飼っている男じゃない。


 女性だ。


 モテ期の波及が恐ろしい。


 紫色の髪をツインテールに纏め、前髪の一房が白のメッシュ。赤い瞳に白い肌で白衣を着ている。可愛い。いつも一人しかいないので分からなかったが、もしかして白衣が制服なのか? 将来の為に女性用を一着譲って欲しい。


 気だるそうな雰囲気で指をアチコチに飛ばしているが、買うならで出口を指差したのはどういうことだろうか。


 オジサンには分からない。


「売る方で」


「まいどー。…………ああ、薬草アホ程持ってくるのって、あんたのことか」


 小娘。


「……ははは、すいません」


「いいよー別に。こっちは大助かり。質も量もめったに見れないレベル……つか初見。色々試せるしねー。まあ鮮度考えたら怪しさ爆発なんだけど、うちのマスターそんなん気にしないしー」


 にひっと笑う小娘にこちらも笑顔で返礼だ。しまった。鮮度って問題になるのか。


「……今日も薬草なんですが」


「ほーん。じゃあ出して」


 最初の気だるさが演技なのではという程、生き生きとしている小娘。その瞳は何かを探るべく細くなっている。


 いや構うまい。むしろ食いつきがいい方が上手くいく可能性も高まる。


 ズタ袋に百本。いつものように薬草でパンパンになった袋をカウンターの上に置く。


「全部薬草?」


「ええ、まあ」


「ふーん。じゃあ査定するから」


「いえ、待って下さい」


 ズタ袋を受け取ろとする小娘に、オジサンは袋をガッチリと掴んでガードだ。


「なに?」


 やや不審気な眼差しでオジサンを射抜く小娘。そうだな。売りに来たんじゃないのか? ってとこだよな。


 大丈夫。台詞は考えてきている。後は乗ってくるかどうかだ。


「いや実は、薬草の在庫が少なくなってきているので、全てお売りする訳には……」


「値上がり待ってんの? 鮮度が下がる方が安く買いたたかれるし、冒険者ギルドよりは、うちんが遥かに値がいいよ」


「鮮度の問題はクリア出来るので」


「……へー。ま、いいけど。いってもギモヨ草だし。買取単価なんて上がっても銅貨一枚二枚でしょ。じゃあ売る分出してー」


 うっ。もしかしてこの国での時間経過無しの四次元袋の流通って薄いのかな? 魔道具店ってあんまり入ったことないんだよな。


 訳知り顔の小娘に、内心を知られないように笑顔で結び目を解くオジサン。


 丁寧に一本一本、カウンターの上に薬草を並べていく。


「へ〜、本当に凄い鮮度。摘みたてみたい。葉も大きいし根からいってるから……」


 葉の表面を軽く指でなぞったり匂いを嗅いだりする小娘。そろそろかな。頼む、知ってますように。


 薬草を一本一本出していくオジサンの手が止まった。たった今オジサンが掴んでいる薬草の葉の裏にはモンスターの卵がビッシリとくっついている。


 粉蕗。


 貴重とされる薬の原材料らしい薬草が、オジサンの袋から出てきた。


 よし見たな?


 驚愕に見開かれる赤い目を確認してから、しまったとばかりに袋に薬草を戻そうとする。


「待ってえ!!」


 小娘にガシリと手首を掴まれるオジサン。にやり。


「あ、違います。違いました。これは売り物じゃ――」


「ううん違わない! 違ってない! 違う待って! 違わないから待って! なに? なにが欲しいの? お金? お金でしょ!」


 思った以上の食いつきだ。カウンターを膝で乗り越えオジサンのもう一方の手首も抑えてくる。


 がっぷり四つ。


「金貨で百! 足りない? なに? 分かった待って! 足りない分は体で払うから! 好きにしていいから! 譲ってよ! ねえ!」


 おいモテ期。


 たった今、上物判定を下したギモヨ草が小娘の膝の下敷きになっている。眼中にないのか、その瞳は媚び媚びに媚びてオジサンを映しているが、目端は血走っている。


 怖い。


 次元断層を切っているせいか覆い被さるように上から押してくる小娘に今にも負けそう。


 オジサンの腰が引けたのを察したのか、小娘の握力はいや増し声音は必死さを帯びる。


「……ぐぐ、薬草、踏んでますけど?」


「ごめん謝る! 待って謝るから! 違う謝るから! ねえお願い聞いて! あのあのあの、ああ違う待って! 分かったここで払う! お金払う! 体払う! 違う払う!」


 よし。一時撤退だ。


「ああ!? ああ!? なんでなんで!?」


 オジサンの計算が甘かった。それか日が悪かった。やはりいつもの目の下クマ男くんが良かった。


 ジリジリと少しずつ確実に下がるオジサンに、引きずられるように必死に引っ張り返す涙目の小娘。


 オジサンはこんなコントをやっている暇などないのだが。


 小娘の声に反応したのか奥に繋がる扉がガタガタと震える。建て付けが悪いのか小さくバキバキという音もオマケでついてくる。使ってないのかよ。


「……なにやってんだ」


 迷惑そうな顔で出てきてのは、いつもカウンターで受付をやっているギルド員。


 目の下クマ男。


 白衣に落ち込んだ眼下が特徴的で、今日は細巻きを口にして紫煙を不味そうに吐き出している。


「あ、マスター! イッちゃう!? ねえイッちゃうよ!?」


「……なにイッてんだ」


 頼るギルドを間違えたな。ここは駄目だ。


「こ、こふ、コフキぃい! ね、だから、ね! 分かる? 分かって!」


 無理言うない。


「……成る程。つまり粉蕗を持ち込んだ客がいて、売却するように判断の撤回と交渉してんだな?」


 ずっと見てたろ? なあ、あんた覗いてたんだろ?


 小娘と違ってクマ男はあんまり興味がないのか頭をボリボリと掻くと、一度細巻きを大きく吸い込みゆっくりと煙を吐き出した。


「……売る売らないは客の自由だ」


 はい勝った。意外と常識人。


「じゃあ金貨百十四っ! 三晩、いや一週間あたしのこと自由にしていいから! あたし凄いよ!? オススメだよ!?」


「自分純愛派なんで」


「処女だし!」


 完璧に物目当てじゃねーか。


 どうにかして欲しいとクマ男に視線を投げかけると、心地よい程の舌打ちが返ってきた。


「……おめー、それギルドの予算の全額じゃねーか」


「払う! 給料無しでも体でもいいから!」


「……お前の体のどこに欲情すんだよ」


 ぺったんこだもんね。牛乳いいよ牛乳。


「……いいから離せ。登録メンバーじゃなくて客だぞ。面倒になる」


 メンバーの扱いが気になるね?


 クマ男が小娘の襟を掴むと、見た目からは想像も出来ない程に軽々しく高く持ち上げる。


 しかしオジサンの手首を離してはくれていない。


 ブンブンと振り回される小娘と共に、オジサンも右左。


「……離せ」


「ううう〜、買うって言って買うって言って買うって言ってえ!」


「……ハア」


 なんで毎回クマ男が受付か分かった気がする。


 少し驚いたが、元々粉蕗は売るつもり……流れによってはタダで差し出すつもりで来たのだ。


 この子の反応にビビってしまったが。


 ここからは予定通りで行こう。


 未だに離してくれず、遂には涙まで流し始めた小娘とクマ男に、柔らかい笑顔で対応だ。


「あの、売ってもいいんですが……一つお願いを聞いて頂きたいのです」


「聞くわ!」


「……おい、待て」


 あ、この子いた方がいいかも。










「お茶よ!」


「どうもありがとうございます」


 泣いた蛙がなんとやら。先程までの醜態も気にしてないのかニコニコと木製のコップを差し出してくる。


 場所を変えて、薬師ギルド内の研究所。


 雑多に物が詰め込まれた部屋は狭く、文字通り足の踏み場もない。このギルドのギルドマスターらしいクマ男は窓際の椅子に座り、俺は入り口付近に設置された埃被った椅子に座った。ちなみに出されたお茶はテーブルではなく、堆く(うずたかく)積み上がった資料の上に置かれた。いいのか?


 紫髪の小娘も、鼻歌を歌いながらクマ男の近くまで行くと資料の上に適当に腰を下ろした。


 お茶からは白煙が立ち上り、気のせいか時折キシャーという鳴き声が聞こえてくる。


 今はお茶どころではない。


「……で?」


「ああ、はい。その前にちょっと気になったんですけど……そちらの子の反応がやや過敏ではなかったですか? これが貴重な物だとは知っていますが……」


 行き過ぎだと思うんだ。それは裏を勘ぐってしまう。オジサンは学んだんだよ。


 腕を強く掴む女には気をつけろと。


 いいんだ。メイドさんが待ってるから。いいんだ。


 瞳から零れ落ちる雫はきっと、手首に赤々と残ってしまった手形のせいだろう。


「……すまん」


「あ、いえ。大丈夫です」


 手首を見ていたのでクマ男に勘違いされて謝られてしまった。


「……あー、そうだな」


 手を組んで考えるように間を取ったクマ男だったが、組んだ手を解いて差し出し問い掛けてくる。


「……それ、いくらぐらいだと思う」


「金貨……二十枚ぐらいでしょうか?」


 冒険者ギルドではそういう風に聞いた。クマ男が頷き続ける。


「……定価は大体そうだ。だが時代や国で求められるに応じて変わる。この国じゃ、金貨五十枚が妥当だが……」


 それじゃ先程の値段の半分だ。体まで付ける価値なんてないだろう。


「……薬師になると話が変わる」


「一流の証明よ! これでこのローズ様の薬師生命も安泰ってものなのよ!」


「……ローズ、黙れ」


 小娘改めローズがクマ男に注意されて口を手で抑える。どうやら説明役はギルドマスターの仕事らしい。


「……薬師は色々な薬を作る。下級から上級の回復薬、解毒剤、成長促進薬、浄化薬……その殆どが魔法の品で製法は多岐に渡るが、効果の高い物ほど調合が難しい」


 再び細巻きを取り出し火を点けるクマ男。部屋の中を紫煙が舞う。


「……中でも難しいのが、秘薬、霊薬、万能薬と呼ばれる薬だ。他にも一線級の薬は数あれど、有名なのがこの三種。これらの薬は出来損ないであろうと高い効果が見込まれ、最低でも金貨で百枚は下らないだろう」


 へー。すげー。


「……薬師でこの三種の調合に成功した者は一流と呼ばれるようになる。まず難しいと言われる材料を入手する伝手、正確な配合比率を知っている師、そして完成度を高める経験と腕、全て揃わなければ調合が成功しないといわれるからだ。……例え出来損ないだろうと、作ったという事実があれば、それだけの腕だと周囲に認識される為、薬師は誰もがこの三種の材料を欲しがる。薬の値段を考えれば……どうしても高額には踏み切れないだろうが、完品の霊薬は死者すら蘇ると言われ金貨で千枚を超える値段がつく」


 十億ですか。いやでも命って考えれば安いのか? 死んだ時に、もし「十億払えば生き返らせてやる」って言われてたらか。うーん。当然、生き返りたい。でも十億。一生じゃ足りないよな。途方もない額だわ。


 成る程。この上、栄誉に栄達と輝ける未来もついてこようものなら、さっきのローズちゃんの態度も頷ける。


 勝ち組だもんな。


 納得した俺を余所にクマ男はガラクタ入れにしか見えない箱をガサガサと漁ると、薄汚れた小さなガラス瓶を取り出した。


「……霊薬だ」


 な。げ、現物……!? 十億!


「ふふん! 凄いでしょ? うちんマスターは他の国の薬師ギルドのギルドマスターとは格が違うのよ! それ完品よ完品? 貴族位も蹴って金も女も興味ないとかいう枯れた薬バカだけど腕は超一流なのよ! 現存する薬製法の殆どを網羅してると言われてるわ! 引き手数多なのにフィンリクスなんてド田舎行くなんてアホ発言かましちゃう奴な上に、攻め込まれないからなんて言ってギルドマスター引き受けちゃうマヌケだけど、師事した以上あたしも引っ込みつかないし? せめて神秘三種の配合ぐらい教えて――」


「……ローズ、死ね」


「し、死ねってなによ!? 死ねって! ちょっと自慢しただけじゃない! はいはいわかりました黙りますー。ムッツリめっ」


 投げやりな言葉をローズちゃんに掛けてダルそうにタバコを吸うクマ男。手元には時価十億円の薬。


 死人も蘇る。一回蘇ったオジサンにも効果はあるのだろうか?


「……で?」


 物思いに耽っていたオジサンをクマ男の言葉が呼び戻す。


 そうだった。


 意外と引き込まれる話の内容だったため、つい夢中になって聞きいってしまった。


 なんかこう、初めて異世界〜な、ファンタジー〜な内容だった気がする。魔法とか文化レベルじゃなくね。師弟コント省く。


「ああ、粉蕗はお売りしてもいいです。私のお願いを聞いてくれればですが……」


「聞くわ! 売って!」


「……待て」


 クマ男の声がローズちゃんの声に塗り潰される。クマ男は意外と凄い人物っぽいので、言質を取ったということにして話を進めよう。


「ありがとうございます」


「……おい」


「聞いて貰いたいお願いというのは、私のバックボーンになって貰いたいのです」


 聞こえない聞こえなーい。


「実は私、とある魔導師ギルドの一クランと揉めまして、元が旅人なため頼るアテもありません。宜しければこちらのギルドの庇護下に入れて貰えばと……勿論無理は言いません。最低限生活していけるだけの安全があれば」


「なんだ楽勝じゃない。全然いいわ。むしろラッキー?」


「……いや」


「おお、そうですか。いやー良かった。それでは早速契約を詰めましょうか?」


「そうね!」


「……」


 ところでギルド員って二人しかいないんだろうか? それは些かながら頼りない気もする。ちゃんと対抗勢力になって貰わなくては。


 腰を上げて契約書作成をお願いしたら、ローズちゃんは「そうね! お金持ってくるわ!」と意気込んだ。


 いや、話を聞いてたのか? お願いしたのは契約書の作成だ。代金はその時に決めるべきだろうし、条件によってはタダで譲るべきだろう。


「まずは契約書の内容を詰めませんか?」


「分かったわ! 待ってて!」


 なんにも分かってない。ちょっ、待てよ!


 某俳優のキメ台詞時のように上げた手は無視されてローズちゃんは研究所から出て行く。まだ暴走状態だったようだ。


 フゥゥゥゥー……。


 深く紫煙を吐き出す音が聞こえてくる。


 振り向けない。


 これは負ける雰囲気だ。貼り付けた笑顔が何処まで通じるだろうか?


「……各ギルドは、独立した組織だと思われている」


 どうしたものかと思っていたら、向こうから何か話し出した。今の状況と関係あることなんだろうか?


「……国の下で運営されているのは、誰しも知ってる。だが、冒険者ギルド、協会、両替商なんかのデカい組織が、民間に門徒を開き利益を還元しているように見えている現状では、各国のギルドは独立組織だと誤認する奴が多い」


 ギシッと椅子を揺らすような音が響いた。


「……実際にはどのギルドも国の息が掛かってる。国を超えて繋がっているのは冒険者ギルドぐらいだろう。だが、誰もが一つのギルドを国とは別に見る。これは教養の問題だ。如何に説明を説いたところで、冒険者なんかは『それが、なんだ?』と一笑するだろう。あいつらは素材の買取値段が違うところぐらいの認識でしかない」


 …………。


「……一つのギルドに追われ、対抗する為に、同じ格のギルドを頼る。実際は国下運営の別部署だ。目的は拮抗といったとこか? これは冒険者なんかの考え方じゃない。あいつらは常に生き死にと勝ち負けで判断する。より強い後ろ盾を得ようとするだろう。庇護下に入るだけならギルドに加盟すればいい。そうしないのは、大本が国である可能性も疑っているからだ。強い後ろ盾のギルド、それこそ冒険者ギルドや協会に行かないのは、被害の拡大や余計な怨みを買わないようにしてるとも思える」


 雑多なガラクタを踏みしめる音がやけに耳に響く。ゆっくりと近付いてきたクマ男は、俺をそのままのペースで追い越し、肩越しに視線を合わせてきた。


「……遠回しで面倒なやり方だ。助長とも取れる。しかしそこには高い教養と打算が見てとれる。――――お前、何者だ?」


 働き者です。


「買い被りですよ」


「……そうか」


「そうですとも」


 うおわ。こっわい!


 動悸を全開で鎮めに掛かる。額から滲む汗を拭きたい。外れそうになる視線を意志でねじ曲げて固定だ。


 クマ男すげー。正直高卒のオジサンでも異世界なら教養張れるわとか考えていました。


 いるとこにはいる。


 多分IQ高い系って奴なんだろうな。


 別に他の世界から来たのを隠している訳じゃない。しかしこの世界に送られた理由も目的も定かではないのだ。バーコードの説明不足だ。文句は販売元で頼むよ。


 だからなるべくなら隠していきたいスキルと素性。溶け込め異世界、ファンタジーな生活をスローガンにやっている。


 バレないに越したことはない。


 笑顔で乗り切れ。


 ニコニコと笑うオジサンに舌打ちをするクマ男。


「……粉蕗は、買い取る。料金は金貨十枚。冒険者ギルド価格だ。魔導師ギルドは抑えてやろう。他は無理だ。武力援助は無しだ。ウチに厄介事は持ち込むな」


「十分です。ありがとうございます」


 公的機関を抑えるだけで大分違う。組織的な圧力と個人の暴走じゃ決定的に違うからな。出来れば丸投げが良かったけど。


 とりあえずグループ傘下って安心できる。リストラがないところだって存在するからな。往々にして役立たずが量産されてしまう制度だが。


 話が纏まったところで、ジャラジャラと鳴る布袋を抱えてローズちゃんが戻ってくる。


 いい笑顔だ。出来れば受付のデフォルトにして貰いたい。


「はいっ! 金貨で百十四枚あるわ!」


「……え?」


 契約書はどうした?


 クマ男の舌打ちがやけに強く響いた。










 翌日。


 素早く対応してくれたクマ男が、あっという間に魔導師ギルドに牽制をしてくれた。俺に掛かっていた招集令の即日撤回が実現してから宿に戻ったため、昨晩は外での夕食になった。


 招集令自体は断れるしそこまで強制力が働くものでもないが、それを理由にちょっかいを掛けられることは無くなるだろう。加えて、魔導師ギルドの思惑は読み取れないが、まさか他のギルドの圧力がある中で個人的に暴走してオジサンを襲った奴を弁護したりしまい。良くて足切り。これで抵抗しても後顧の憂いもない。


 こちらには次元断層先生がいる。抵抗は安全なものになるだろう。


 いい朝だ。多分今夜にはメイドさんにアプローチを掛けれるだろう。そろそろお名前を聞き出さねば。


 宿泊日数は伸ばそうと思っている。今夜か明日の朝に再び連泊出来るか聞かなければ。


 朝食を終えると仕事着に着替える。布を巻いたような服に遮光コート。


 この国の服装だ。


 流石にジャージだと目立つ。前の国の服装はそんなに目立ちはしないが、地元民だと違う国の奴だなぐらいの判断がつくらしいので、気持ちを新たに用意した。


 ふふふ。俺もいよいよ砂の民。次は駱駝を狙うぜ。


 ロビーに出ると、いつものように受付くんが頭を下げてきたので返礼する。


 さて外にと顔を上げれば、珍しく依頼人がロビーで待っていたので片手を上げて合図する。


「ヒークさん。すいません、直々に案内してくれるんですか?」


「ええ、ええ。家を直して貰えるとのことで、いてもたってもいられなくなりまして」


 いつもならバッテン傷の地元民が案内役なのだが、偶に依頼人さん直々に家まで案内してくれる。


 俺も住所さえあれば直参が出来るんだけどね。いや本当に。


 ヒークさんの案内で宿を出て大通りを歩く。仕事の内容の確認とたわいない話で盛り上がる。分かるよ。気になるよね、口臭ってさ。


 入り組んだ道に上がり下がり、偶に壁の上を歩いたりする。区画整理という概念がないのか、単に適当に家屋を建てているのか、意外と行き止まりや空き地がある。


 路上で遊ぶ子供が手を振ったり、依頼をこなしたことのある家の窓から声を掛けられたりする。


 こういうのいいよな。


 しかし、そのまま暫し歩くと人気も大分無くなってきた。外縁部に近い所だろうか? 皇都を囲う外壁がデカデカとその存在感を主張する。


 おっ、憲兵さん。


 通りの先にいる憲兵さんが二人、談笑しているのが目に入る。視線が合ったので会釈をすると感じ悪く笑われた。


 まあ、そりゃ誰もが感じのいい人って訳じゃないよな。


 このまま真っ直ぐ歩いてすれ違うのも何となく嫌だが、場所が分からない以上ヒークさんの案内について行かねばなるまい。


 そのヒークさんが、オジサンの心情を察したかのように曲がる。ありがたい。


 オジサンも見通しの悪い角を曲がる。


 すると、空き地のような行き止まりに団体さん。こぞってお揃い黒ローブ。


「ヒークさん?」


 これはよもやとお声掛けするも、足を止めたオジサンとは反対に足を進め続けるヒークさん。




「これで宜しいでしょうか?」


「ご苦労。下がれ」


 前で仁王立ちするローデック某ことクレーマーに頭を下げて黒ローブの波に消えていくヒークさんには、先程浮かべていた笑顔などなく、酷く冷たい表情でオジサンを一瞥しただけだった。


 やられたよ。


 でも仕事とプライベートを分けて考えるなら、厳密には一回目だよね? 二度目の失敗ではないよね?


「今日は随分と大人しいな? 昨日の雄弁は何処へ言ったのやら……」


「お聞かせしましょうか? しかし往々にして無駄になるなら意味はありますまい」


 大丈夫。通りの角には憲兵さんがいた。証人もバッチリだ。


「……口の減らぬ」


 ローデックの眉間に携えた皺がご来訪の内容を物語っている。既に杖を構えた集団に対抗するためオジサンはそのズルさを発揮している。


 神様のズルだ。幾度もオジサンの命を救ってくれている実績。オジサンを包む安心感。


 あとは火魔法でも打ち込んでしまおう。火傷は治してやるよ。


 有料でな。


 オジサン、乗りに乗ってます。浮かぶ笑顔は営業じゃないスマイルだ。


 苛立ったローデックが懐から柄に蔓の意匠が施された銀の短剣を抜いた。


 何故か隣に振り下ろされる短剣。得意気な表情だった側近、ローブくんの腕に刺さる。


「ぎゃあああああああああああ!?」


 ………………なにをしてますのん?


 声よ響けとばかりにグリグリと短剣を動かし傷口を広げるローデック。オジサンの背後から駆け寄ってくる足音が聞こえる。恐らく憲兵さん。


「なけなしの知恵を絞ったにしては、中々上出来であった。魔導師ギルドからの警告に我々の足を止めようとする思惑。しかしなんとまあ、魔導の奥底を覗けぬ者は他に回す知恵の浅きこと」


「……ロー、デック…………さ……?」


 崩れ落ちるローブくんは体に力が入らないのか、呂律が上手く回っていない。


「私の片腕ともいえる魔導師が攻撃されたのだ。これの仇を討つのにギルドは関係あるまい」


 青い光がローデックの手の稜線をなぞるように輝き出す。


「ああ、これか? 貴様は知らぬかもしれぬが、魔法は詠唱を紡がずとも放てるのだ。その精度、威力共に随分と落ちるがな。無詠唱、詠唱破棄と呼ばれる高等技術よ。更に……」


 光に覆われたローデックの手が炎に包まれる。


「多重起動。こちらはそこそこの魔導師なら使えようが、私のように無詠唱での多重起動を可能にした魔導師は歴史に数える程だろう。これは障壁と火炎の魔法を組み合わせたものだ。被弾の恐れがあるため、接近戦を不得意とする魔導師が多いようだが、私には関係ない」


 自慢気に掲げる燃え盛る手で、パクパクと口を開くローブくんの顔を躊躇なく掴む。


「……ぎ……ゃっ……」


 叫び声を上げようと開いた口からも炎が入り込み、あっという間に頭部が焼けていく。なんて酷いんだ。見たことある。


 チラリと後ろに視線を飛ばせば、駆けつけてくれた憲兵さんの姿。良かった。これで濡れ衣を着せられずに……。


「おい、報告してこい」


「ああ、フリーの魔導師が因縁のある魔導師を奇襲の上に殺害、と」


「ああ、間違いない」


 済む訳ないよな。なんとなくそんな気がしたよ。だって目の前の凶行を予定調和のようにニヤニヤと見ているもの。


「これで大義名分は出来た」


 再び視線を戻したローデックの表情は能面。ヤバいやつだ。


「本来なら、回復魔法が使えるとされる貴様のそれが、本当に回復魔法なのかどうか私が判断すべきと思っていたが、気が変わった」


「というと?」


「私程の優れた魔導師なら回復魔法なぞ、そのうちに再現出来る。それより、不遜にも私に刃向かった愚か者に身の程を教えてやらねばなるまい。なにより、回復魔法を行使する最初の魔導師は私でなくてはならない。愚にもつかぬ噂とはいえ、その格にない者が口上にあがるなど誤っていよう? ここらで清算が必要だ」


「成る程。それはどのような請求で?」


「死ね」


 これだから異世界って嫌だ。臭いものには蓋かよ。現代では消臭が第一……いや消してるじゃん。


 後ろでは憲兵さんが槍を構えているんだろうなあ。


 分かってた。


 分かってたのに。


 お上品にやっても、より理不尽さが際立つ中世裁判。証拠や証人がいようが権力者が黒と言ったら黒なのだ。必要なのは立場だったのに、つい働き人の癖で会社にすがってしまった。


 魔女裁判なんてドン引きものだったじゃないか。浮かんできたら死刑。沈んで死んだら魔女じゃ無しと学生の頃には無理ゲーと理解していたのに。


 こんな強引な濡れ衣も賄賂やらローデックの立場やらで通ってしまうのだろう。既に司法にも取り入っていて罰を食らう流れが出来ている筈。


 ああ、ばか。オジサンのばか。もうばか。


 すーぐ調子に乗っちゃうんだから。おだてられたらすーぐ伸びちゃう。それがオジサン。


 全国のオジサンに申し訳ない。


 幸せな家庭どころか追われる立場に追われる立場が加わった、そんな今の俺をどういい表したものか。


 ステータス、どん。




氏名 山中 賢

年齢 35

性別 男性

種族 人族

職業 亡命者希望www


Lv  44


HP  1321/1321

MP  8227/8227


STR 601

VIT 488

DEX 842

AGI 510

INT 5043

LUK 237


固有スキル

・言語翻訳

・空間自在 Lv2


スキル

・鑑定

・回復魔法 Lv7

・火魔法  Lv5

・水魔法  Lv3

・土魔法  Lv3

・毒精製  Lv3


残スキルポイント 0




 嫌だよ。てゆうかもうコメントみたくなってるじゃん。俺じゃなくお前の希望だし。


 しかしそうは言っても、ここは逃げるが吉だろう。皇都は出ない。出ないよ。でも今は逃げる。ここで争えば争うだけ不利になるのは目に見えているからね。


「貴様の自信の源。それは恐らく魔導具であろう?」


 分かっているぞ? と意味深な笑みを浮かべたローデックが話し掛けてきた。


「強力な魔導具……古遺物ではあるまいが、近い能力を持った何かであろう。弟子どもの攻撃魔法の遮断、売り物にしている土と水の魔法、使い方にもよるが……最低二つは持っているな? ……愚かな……大方魔導を理解せぬ者から上手く騙しとったものであろうが、貴様も十全に理解しているとは言い難い」


 後ろの黒ローブの集団が懐から小さな手に乗る程度の大きさの瓶を取り出す。


「魔導具は強力であればある程、発動条件、効果範囲、持続時間、代償と様々な制約があるものだ。聞いたところ攻撃魔法を魔力を使わずに完全遮断したらしいが……周りへの影響を見るに、効果範囲は極小、恐らく自身を覆う程度の障壁。代償は大抵が魔石だが見たところそんなにもう残っていまい? 持続時間は長そうだがな。魔法を放ち続ければ……成る程、こちらの魔力の方が早く尽きるだろう。そして発動条件。これには不思議なものが多いと聞く。…………そういえば貴様、どんな状況でも不自然に笑っているな?」


「な!?」


 俺の反応にニヤリと口を歪めるローデック。


 不自然ってなんだ! 滅茶苦茶ナチュラルだってんだ。これが不自然だったら今までの人生で穴に入るたくなるような事でいっぱいだよ。


 え、自然だよね? 飲み会の時とか溶け込んでたよね?


 呆然としていたせいか投げられる瓶に反応が出来なかった。オジサンに当たる瓶もあったが、大抵はあらぬ方向に飛び、そこら中に瓶が割れる音が響く。


「うわ、ローデックさん! 俺にも当たってますよ!?」


 後ろから憲兵の不満気な声が聞こえてくる。


 次元断層でシャットダウンされているが、粘度の高い水のようなものが割れた瓶から溢れている。


「油だ」


 ローデックがまるで心を読んだかのように疑問に答えると共に、握り拳大の火球を飛ばしてきた。


 地面に当たった火球が一気に燃え広がり辺りを火で包む。


「ああああああああああああああ!?」


 ああ、そう言えば。


 チラリと後ろを見れば、油を被ったであろう憲兵が燃え移った火を消すためにゴロゴロと地面を転がっていた。しかし地面も油だらけのため、逆効果だろう。


 ……はっ! これも俺のせいにされる予感。


 いかん。回復だ。


 回復魔法の効果を表す緑色の光が憲兵を覆う。


「ふっ、ぎゃあああ! はっ、はあ! うわああああ!」


 しかし粘性の高い油だからか服の炎が消えず、回復しては皮膚が焼かれを繰り返し意図せず拷問のようになってしまった。


 思わず回復魔法を止める。悲鳴は止まらず。み、水だな。水から……。


 辺りの火を止めるべく大量の水を撒こうとしたら、憲兵の頭を氷柱が貫いた。


 ヤベ。回復。うわ、駄目だ。


 ちょっとタンマ。オジサンはアクシデントに弱い生き物なんだよ。劇場版の青タヌキなんだよ。


 回復魔法は掛けっぱなしにするべきだった。いやなんか俺が拷問してる風になってたからさ。


 憲兵の頭を貫いた氷柱は直ぐに炎の中に沈み溶けていった。


 完全犯罪だ。氷を使ったトリックで見たことある。


「つまらぬ事に魔力を使ったな? 魔導具に頼っているところを見るに、そんなに魔力量はあるまい。しかし驚いたぞ。多重起動は無理のようだが、今のは間違いなく無詠唱。天狗になるのも仕方のないものだが……相手が悪かったな。それにしても……」


 憲兵の死体に目を向けたローデックが考え深げに口元に手を当てる。


「……貴様、その回復魔法は何処で習った?」


「天より」


 とか言っちゃって。


 さあ逃げよう。もうここにいる意味も無いし。しかし何処へ行くべきか? こういう時に頼りになるのは組合だったりするんだが。



『――――ウチに厄介事は持ち込むな』



 ふと思い出した薬師ギルドのギルドマスターの言葉にピンと来た。


 恐らくは今の状況を想定していたんじゃないだろうか? 粉蕗も冒険者ギルドの定価で買ってくれたし。


 何故か視界跳躍が発動しないので、己の肉体のみで炎の壁に飛び込む。


「逃しはせぬ!」


 あっさりと火の海を掻き分けて通りへ出ると、背後から火球が襲いかかってきた。言葉尻を捉えるに放ったのはローデックだろう。周りの人達ってなんなんだろう? とりあえず人数を集めました的な要員なんだろうか。


 背中に当たって弾ける火球を余所に空けた視界の先に跳躍してみる。


 今度は上手くいった。


 振り返ると火の手を上げる突き当たり。流石に気付いた住人が騒ぎ始める。


 これもどうせなすりつけられるんだろう?


 あー、嫌になる。しかし社会に出たら割とよくある事。


 って、ねえよ。流石に放火に殺人のなすりつけってなんだ。一般的なサラリーマンの対応能力を超えて来てるわ。弁護士のいない世界で冤罪とか、ドラマ的な逆転も期待出来ない。


 異議しかない。


 なるべく距離を取るために視界跳躍を続け、一時間以上歩いてきた道を逆戻り……。


 したつもりが、中区への門の前に来てしまった。やっぱり少し動揺しているんだろう。このままでは、また前科が付いてしまう。


 真っ直ぐ戻れば外区の門。円上の都通りを道なりに行けば宿屋へ。


 何もやってないのだ。堂々としていればいい。


 そんな綺麗事が通らないのが社会。


 分かってる。


 分かってるよ。


 逃げるなら話が拡散してない今だけだよね。現代日本なら文字通り光の速さで拡散していくが、そこは異世界。直ぐ様門扉が閉まったりはしない。


 しかしうかうかしてられない。


 連絡がいけば外に出るのは難しくなるだろうし、追っ手も掛かる。異例の速さを誇る視界跳躍で稼いだ距離と時間。


 無駄にできようか?


 都通りを一瞥。メイドさんが頭を過ぎる。


 縁が無かった。……なんて名前だったのか。


 振り切るように外門を出る人の列に並ぶと、意外に長くない審査を終えて俺は皇都を後にした。


 社畜はまたも逃げ出した。



 だよね。神様から貰える能力より、下手な権力の方がチートだよね。社畜さん連敗をキープ。




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