迷いの森にて
タ、タイトルが…思いつかない…!
「ワン!」
「わ、こんなに!やったねコロン!」
「ワン!」
迷いの森にて、マナポーションの材料である魔力草を採取しているんですが。
コロンがもうね、群生地をよく見つけるもんだから、テンション上がりまくりです。
コロン、偉いぞ!
そんな思いが込めて、コロンの頭を撫でる。尻尾がブンブン振られているので、コロンも嬉しいみたいだ。
見つけた魔力草をあらかた取り終えると、少し離れて魔物の警戒をしていたキルトさんが声をかけてきた。
「区切りもいいし、そろそろお昼にしようか」
お昼!
おお、良い事にさらに良い事が待っていた!
歓声を上げようとした私の心をどうにかおさめて、
「はい!」
跳ねるようにコロンと一緒にキルトさんの所までかけ戻って、隣に座り込んだ。気分はそう、ピクニックだ。
「ナツリムちゃんご機嫌だね。そんなに嬉しい?」
お昼タイム。
お弁当を食べていると、おにぎりを食べ終わったキルトさんが、何やら微笑ましいと顔中に書き表しているような、そんな笑顔を浮かべて聞いてくる。
ちなみに、コロンももうおにぎりを食べ終わって、隣で寝そべっている。2人(1人と一匹?)とも、早いよ…。
「はい!こんなに群生地が見つかるなんて、凄く嬉しいことですよ!」
気分もいいし、この際魔力草の群生地が見つかることがどれくらい嬉しいことなのか、キルトさんに解説してしまおう。
まず、ポーション職人にとって、薬草とは。
価値的には、商人にとってのお金みたいなものなのだ。
え?商品じゃないのかって?まあ、そうなんだけど…商人は、お金のために商品を売ってるでしょ?
それと同じで、ポーション職人は薬草や道具をゲットするためにポーションを売っているのですよ。
…ていうのをキルトさんに話したら、「商人より職人の方がたとえとしては簡単じゃない?」「あっ」というボケをかましてしまった。うぅ…。
「で、魔力草に限らず殆どの薬草は、限られたところにしか生えないんです」
「ふんふん」
「そして、マナポーションの材料は、魔力に関係があるだけあって、元々育ちにくい上に、魔力が強い所でしか育たないんです」
「あー。そうだよね」
「魔力が強い所っていうのは、つまり魔物が強い所なわけで。レクサスの周辺にはあまり魔力があるところがないし、そんなに強くもないので、いつもはこんなに取れないんです」
「成程ね…」
さくっと説明したわけですが。
それっきり、キルトさんは黙り込んでしまった。何やら考えてるみたいだけど…どうしたんだろう?
「ご馳走様でした!」
結局、私がお弁当を食べ終わるまで、キルトさんは黙り込んだままだった。うぅ、この空気は苦手です…。
うーんっと伸びをして、立ち上がる。意識をお弁当から、魔力草の採取に切り替えて。午後も頑張ろう!
コロンの頭を撫でて、キルトさんに声をかけようと振り返ったのですが。
「ナツリムちゃん。今日はもう、帰った方がいいと思う」
そこには、何時ものような笑顔ではなく、なにやら難しい顔をしたキルトさんがいました。




