第4問「校長先生だけが解けた問題」
翌日。
六時間目終了。
ホームルーム開始まであと一分。
3年Q組の教室には、昨日よりもさらに多くの先生が集まっていた。
数学教師・神崎。
英語教師・佐伯。
国語教師・桜井。
理科教師・大石。
保健室の養護教諭・西野。
教頭。
そして、校長先生。
「今日は私も本気で挑戦します。」
校長先生の一言に、生徒たちから拍手が起こる。
九条先生は笑顔で黒板へ向かった。
白いチョークで大きく書く。
今日のQ
「今日は少しだけ、ひらめきが必要です。」
「制限時間は十分。」
「では始めます。」
黒板に問題が書かれた。
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今日のQ【難易度:★★★☆☆】
あなたはマッチ棒を1本だけ動かせます。
【6+4=4】
正しい式にしてください。
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教室が一斉にざわつく。
「えっ!」
「これ無理じゃない?」
「一本だけ?」
数学教師の神崎先生も腕を組んだ。
「うーん……。」
国語教師。
「数字を変えるのかな?」
英語教師。
「六を八に?」
理科教師。
「いや、それでも合わない。」
生徒たちも必死に考える。
十分近く経っても正解者は現れない。
その時だった。
一番後ろで腕を組んでいた校長先生が静かに手を挙げた。
「九条先生。」
「はい。」
「分かりました。」
教室が一斉に振り返る。
「校長先生!」
「本当に?」
校長先生は黒板の前へ歩く。
そして説明を始めた。
「“+”の縦棒を一本取り、“6”につける。」
「すると……。」
黒板を書き換える。
“ 8-4=4 ”
教室中から歓声が上がった。
「おぉーーー!」
「なるほど!」
「そういうことか!」
数学教師の神崎先生も思わず笑った。
「一本動かすのは数字だけだと思い込んでいました。」
九条先生は拍手した。
「正解です。」
教室全体からも大きな拍手が起こる。
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“ 8-4=4 ”
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【解説】
この問題のポイントは、
『数字しか動かしてはいけない』とは書かれていない
ということです。
多くの人は数字ばかり見ています。
しかし、
「+」もマッチ棒でできています。
その一本を動かせば、
「+」は「-」になり、
「6」は「8」になります。
つまり、
8-4=4
となり、正しい式になります。
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九条先生は黒板を消しながら言った。
「今日のテーマは――」
『視野を広げること。』
「問題を解くとき、人は無意識に『数字だけ』『文字だけ』と決めつけてしまいます。」
「ですが、本当に見るべきものは全部です。」
「固定観念を外せば、答えは意外と近くにあります。」
生徒たちは深くうなずいた。
「なるほど……。」
「今日も面白かった!」
「先生、明日はもっと難しいですか?」
九条先生は少し笑う。
「明日は、この学校で初めて……。」
「生徒が先生へ問題を出します。」
「えぇぇーーー!?」
教室中が驚きの声に包まれた。
先生たちも思わず顔を見合わせる。
「私たちが解く側ですか?」
「そうです。」
「明日は皆さんが出題者です。」
「私も、一人の挑戦者になります。」
生徒たちは今までで一番の歓声を上げた。
学校中で人気となった『ラスト10分』。
次回は、初めて先生が解答者、生徒が出題者となる逆転ホームルームが始まる。
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