表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/11

第1問「最初の謎解き」


キーンコーンカーンコーン――。


六時間目の終了を告げるチャイムが校舎中に響く。


生徒たちは教科書を片付け始めた。


「やっと終わったー。」


「部活行こうぜ。」


「先生、ホームルーム早く終わらせてください!」


教室はいつもの放課後の空気に包まれていた。


しかし、九条智哉は何も言わずに黒板の前へ立つ。


一本の白いチョークを手に取り、大きく書いた。


今日のQ


その四文字が書かれた瞬間――。


教室の空気が変わる。


「来た!」


「今日の問題だ!」


「楽しみ!」


さっきまで帰る準備をしていた生徒たちが、一斉に前を向く。


九条は時計を見た。


「残り十分。」


「ここからが、3年Q組のホームルームです。」


教室は静まり返った。


九条は微笑みながら黒板へ問題を書く。



【第1問】


私は一度も嘘をついていません。


でも、私の答えを聞くと、多くの人は『嘘だ』と思います。


さて、私は誰でしょう?



「えっ?」


「どういうこと?」


「意味分からん。」


教室中がざわついた。


「はい。」


九条が笑顔で言う。


「制限時間は五分。」


「友達と相談しても構いません。」


「理由まで説明してください。」


一斉に話し合いが始まる。


「正直者?」


「ロボット?」


「AI?」


「鏡じゃない?」


「裁判官?」


様々な答えが飛び交う。


九条は教室をゆっくり歩き、生徒たちの考えを聞いて回る。


「どうしてそう思ったの?」


「そこに気付いたのは面白いね。」


「惜しい。」


答えは教えない。


考える時間を大切にしているからだ。


五分後。


「では、発表しましょう。」


最初に手を挙げた男子生徒。


「鏡です!」


「理由は?」


「映したままだから。」


九条は首を横に振った。


「面白い発想ですが、違います。」


続いて女子生徒。


「赤ちゃん!」


「理由は?」


「まだ嘘をつけないから!」


「なるほど。」


「ですが、それでも違います。」


教室から「あー!」という声が漏れる。


その時、一番後ろの席の女子生徒が静かに手を挙げた。


「先生。」


「はい。」


「答え……『うそつき』ですか?」


教室が一瞬静まる。


「え?」


「嘘つき?」


「それ嘘じゃん!」


女子生徒はゆっくり説明した。


「自分で『私はうそつきです』と言う人がいたら……。」


「もし本当に嘘つきなら、その言葉も嘘になります。」


「でも本当のことしか言わない人なら、『私はうそつきです』とは言えません。」


「だから、この問題は矛盾していて、答えが存在しない……という問題じゃないでしょうか。」


九条は数秒間、黙っていた。


そして、にっこり笑う。


「正解。」


教室がどよめいた。


「えーーー!」


「すげぇ!」


「そんな考え方あるの?」


九条は黒板に大きく書いた。


答え:答えが存在しない問題うそつきのパラドックス


「今日みんなが挑戦したのは、『ひっかけ問題』ではありません。」


「これは『パラドックス(逆説)』と呼ばれる有名な論理問題です。」


「世の中には、知識だけでは解けない問題があります。」


「でも、視点を変えるだけで、新しい世界が見えてくる。」


教室は静かに聞き入っていた。


「このホームルームで皆さんに身につけてほしいのは、正解を覚える力ではありません。」


「『なぜそう考えたのか』を大切にする力です。」


時計を見る。


残り三十秒。


九条はチョークを置き、教室全体を見渡した。


「今日のラスト10分、お疲れさまでした。」


「また明日。」


「新しい一問を用意して待っています。」


キーンコーンカーンコーン――。


終礼終了。


しかし、誰一人としてすぐに席を立とうとはしなかった。


「先生!」


「明日はもっと難しい問題ですか!」


「もちろん。」


九条は笑顔で答える。


「今日より、ほんの少しだけ難しくします。」


その言葉に、生徒たちは目を輝かせた。


放課後のたった十分。


その十分が、3年Q組で一番人気の時間になろうとしていた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ