11 何の魔術を使ってた?(4)
そこからは速かった。
カイは、魔術師連中、自警団の面々をなぎ倒し、取り押さえた。
騒ぎを聞きつけた騎士団にカイが取り押さえられそうになったけれど、その時の水でできた惨状を見て、騎士団は水の魔術師達と自警団の面々を取り押さえることにし、カイには事情を聞くという名目の拘束で収められた。
水の街の下側にある騎士団の建物はそれほど大きくもなかったけれど、毎日そこで活動しているのがわかる活気が溢れていた。
そして外と違い、水の匂いがしなかった。
「所属の確認はできた」
何か書類を見ながら、カイとルーナとは机を挟んだ正面にいる騎士が言う。
それは若い騎士だったけれど、下っ端という雰囲気ではない。ましてやこの騎士団で一番偉い人間というわけでもなさそうだった。
どちらかといえば、下と上とを繋ぐのに必要な気力を使い果たした後の疲れが見えてしまっていた。
「ありがとうございます」
カイは、不信感を持たれないように背筋を伸ばし、騎士モードで受け答えをした。
「けど、今は、長期演習中だそうだな」
「はい」
実際、長期演習とは名ばかりだ。
カイが所属していたのは勇者軍。勇者についていく精鋭達ばかりだった。
けれど、カイは、勇者オルディオの弟子だというだけで、勇者軍に所属していた。
その中でも、勇者直々に育てただけあり、なかなかの力を見せていた。
荒野の街オルテガが魔物達に襲われた時、偶然にもカイは、オルディオ率いる本隊とは別行動を取っていた。
それが、幸運だったのか不運だったのかは、カイにもわからない。
ただ、荒野の街に戻った時には、そこにいた人間達はすでに魔物の手にかかり、勇者の姿は見えなかった。
勇者が行方不明になった後は、勇者捜索部隊に所属し、国が勇者の死を認める事になった時点で、勇者捜索部隊が解散になった後も、ただ一人、勇者捜索の続行を認められる立場となった。
それに『長期演習』という名がついただけのことだった。
そんな勝手が認められたのも、勇者の弟子であったからが理由だった。
「各地を周り、勉強中です。帯剣も認められています」
「確かにそのようだ」
男は、髪の表面を、コツコツと指で叩いた。
「で、そっちのお嬢ちゃんは?」
「新人見習いです」
その、あっけらかんとしたカイの言葉に、ルーナがぴゃっと驚く仕草をする。声が出なかったのはえらいと言えるだろう。
「……魔術師だろ?」
「はい。少し言えない事情で」
男は改めてルーナを頭の上から足の先まで、眺めると、
「ああ……」
となんだかわかったような顔で頷いた。
一件落着ですね!!




