4 護衛の任務(3)
王都へは、馬車で行っても数日かかる。
数日馬車に乗らなくてはならず、ちょっと馬車の形をした何かでは足りないわけだ。
それも、要人警護。できるだけ安全に運ばなくてはいけないので、カイは、街で頑丈そうな貴族用の馬車を借りた。
カイとルーナは、そんな人と同じ馬車に乗るわけにもいかず、御者台に二人並んでいた。
「はぁ」
「どうかしたんですか?」
「この馬車、思ってた金額の3倍したんだが。これで報酬もらえなかったらどうすればいいんだよ」
「そうしたら、またお仕事しましょう」
「ふーむ」
カイが不貞腐れるように呻く。
馬車自体は、茶色い普通の馬車だったけれど、何か魔術がかかっているとかで、とても丈夫な馬車だ。
景色は森。
こんな鬱蒼とした森を誰かを守りながら歩くのはきっと大変なので、この馬車が必要ならば仕方ないと、ルーナは思う。カイに恩返しが出来るよう、一生懸命働く所存だ。
「けどさ」
鋭いカイの声が響いた。
「はい?」
「もう、来たみたいだ」
カイがそう呟きながら、手で剣に触れる。
森を走る馬車。
二頭立ての馬達は、脇目も降らず走っている。
馬車から少し離れると、すぐ木の陰だらけになる森なのだけれど、その木の陰の気配がおかしかった。
異様に黒い。
確かに、何かがいた。
あの木陰にも、その木陰にも。
ああ、近い。
ルーナが杖を握りしめる。
ルーナが目をつむりそうになったところで、隣のカイが走る御者台の上で立ち上がった。
「我が身に刻まれし誓約、──抜剣」
抜剣詠唱。
カイの引き抜いた剣が薄く青白く光る。
空気が張り詰める。
ルーナは、目が覚める思いがした。
ああ、目を閉じたらだめだ。
カイが剣を前に構える。
その瞬間、前から飛びかかってきた黒いものが、カイの剣に切り捨てられた。
魔物だ。
人間の子供と同じくらいのサイズがありそうなその魔物は、ただそこに立っているという感じだった。
真ん中に顔のようなものがある。
それが一匹、また一匹と襲いかかってきた。
カイが、スムーズに切り捨てていく。
このままなんとかなるかもしれないと思ったのもつかの間だった。
ドン!
馬車が大きく揺れる。
馬が大きく嘶いた。
どうやら、馬車の後ろに魔物が張り付いた音のようだった。
カイが、後ろを振り向き、馬車のへりに掴まる。
振動がゆっくりやってきたかと思うと、馬車の上から魔物が顔を出す。
すかさず、カイがその魔物を切りつけた。
ルーナは息を呑む。
私も、何かをしなくちゃ。
私も、助けられるばかりじゃなくて。
何かをしなくちゃ。
やっと戦闘シーンですね!




