表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄になれなかった騎士と名を忘れた少女〜片腕の勇者と黄昏の歌姫〜  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/60

✠騎士編 24✠ 町を訪れた聖女(5)

「ついたよ」


 そしてなんとかオルディオの家まで歩いていった二人だった。

 足元が道らしい道ではなかったことを除けば、よく晴れた気持ちのいい道だった。ピクニック日和とでもいうのだろうか。


 二人の目の前に、山小屋にしては大きな建物がそびえていた。

 森の手前にあるその家は、思いの外大きく、上品だった。

 それでいて、庭には本格的な修練場があるせいで、無骨なイメージになってしまっている。


 そこが、オルディオの家だった。


「すごいわ」

 聖女の正直な感想だ。


「本格的なのね」

「ああ。師匠はこだわり強いから」

 苦笑しながら、カイが家に近付いていく。


「これで、どの程度のお弟子さんを抱えているの?」


「え?」


 キョトンと顔を見合わせる。


「師匠は、俺以外に弟子はいないよ」


「え?」


 聖女は、その修練場を改めて見渡した。

 練習の相手になる人形。

 乾いた地面やぬかるんだ地面といった、いろいろな設計の地形。

 遠くの的らしきものは、弓用もあれば魔術用もあるようだった。


「これを、個人で管理しているの?」


「そうだよ。俺だって、何日もここまで通って、頼み込んで弟子にしてもらったんだ。剣士オルディオは弟子は取らない」


 聖女は改めて眺めわたす。


「もしかしたら、ここにいるのが勇者かもしれない」


「え……?師匠が?」


「そうよ。一度会いたいけど、今日はもう勇者判定はできないの」

 聖女の瞳は、すでに何かを決意した瞳だった。


「明日、また来る」


「え、ああ」


「で、どうやって帰るんだ?」


 オルディオの家に背を向けた聖女に、カイが言ったのは、嫌味でもなんでもなかったけれど。


「歩いてよ!」


 と言う聖女の語気は強かった。


「わかったよ。送る」


 そう言うカイに、聖女は口をへの字に曲げて見せる。


「……ええ」


 不満そうだったけれど、聖女一人で帰るには少し心細いその道のため、聖女も了承するしかなかったのだ。


 そして帰路も、聖女はカイと手を繋いで歩いた。

 それは、特別な意味などない触れ合いだ。


 けれど、いつになく手を繋ぎっぱなしでいた。


「明日は、ちゃんと勇者判定できるように、体力を温存してくるわ」


「必要なのが体力なら、家に着くまでに使い果たしてそうだけどな。それで、毎日送り迎えすることになるんだろ?聖女様の体力がつくまで」


「流石に、魔術を使う時の体力と、動く時の体力は違うわ」


 なだらかな道に差し掛かっても、手を繋いだままでいた。

 聖女は顔だけを横に背けて、口を尖らす。


「ちょっと歩いたくらいで、魔術が使えなくなるわけないじゃないのよ。私はこれでも、聖女なのよ」

いよいよ仲良くなってきたと言うことで!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ