表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄になれなかった騎士と名を忘れた少女〜片腕の勇者と黄昏の歌姫〜  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/61

⌘勇者編 17⌘ よく晴れた日に

 その日、オルディオはキャンプの中にいた。

 あんな話を聞いてしまったから、というよりも、勇者という存在はあるからだと、自分に言い聞かせていた。


 剣を打ち鳴らす音が聞こえる。

 今日は、実戦形式でチームごとに練習をする予定だったはずだ。あとで顔を出さなくては。


 頭の中で注意点などをまとめながら、予定をリストアップしていく。


 オルディオのテントに声がかかったのは、そんな時だった。


「勇者様」

「どうした?」

「お客様が来ております」


 客?


 今日は、誰もここを訪ねてくる予定はない。

 ミーリアの顔を思い浮かべながら、

「誰だ?」

 と尋ねると、

「ミーリアさんです」

 なんて返事が返ってきたものだから、オルディオは苦笑した。


「通してくれ」


 テントに顔を出したのは、あいかわらず綺麗なドレスに身を包んだミーリアだった。


「そろそろ注文が入るんじゃないかと思って、様子を見にきたのよ」


 なんて、笑ってみせる。


 オルディオは、

「ああ」

 と一つだけ返事を返した。


 昨日、ミーリアの話を聞いてしまってから、ミーリアに逃げるように離れられ、それから会うのは初めてだった。

 見たところ、あの件を引きずっている様子はなさそうだ。


 オルディオは一度ミーリアから目を逸らし、テーブルの上を凝視して一つ咳をすると、またミーリアに視線を戻した。


「じゃあちょっと、リストをまとめるからしばらく外で散歩でもして待っててくれ」


 テント入口で、腕を後ろにちょこんと立っているミーリアに声をかけると、こんな返事が返って来た。


「あら、あなたは一緒に来てくれないの?」


「……僕がリストを作らないといけないのに、僕が一緒に散歩に出てしまったら、誰がリストを作るんだ」


 呆れつつも、ミーリアの甘えるような瞳を覗く。

 この瞳に勝てるやつなんて居るんだろうか。


 そんな風に思いながら、オルディオは立ち上がった。




 荒野の街オルテガには、天気が三通りある。

 強風で数メートル先もよく見えない砂嵐の日か、普通に見通せる砂嵐の日か、もしくは風のないスッキリとした晴れか、だ。


 その日は、風のないスッキリとした晴れだった。

 ミーリアが、半分、サンダルの足を埋めながら、街と荒野の間を歩くのを眺める。


「今週は、美味しいリンゴ酒が入ったわ」


 呟くように、ミーリアが言う。

 オルディオは、それを聞いて少しだけ笑った。


「こんなサービスがあるんなら、外に出て来て正解だったな」


「そうでしょう?あなたのお買い物リストも、すごく長くなると思うわ」


「じゃあ、もっとお買い得なものを聞き出すまで、散歩を続けないとな」


 ミーリアが、嬉しそうに「ふふっ」と笑う。


 その瞳に、勝てるやつなんていないだろう。

 だってほら、世界一の勇者ですら、君の瞳が揺れるのが、こんなにも怖いのだから。

ほのぼの回でした〜!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ