✠騎士編 14✠ 商店街ドット(2)
「う〜ん」
そんな買い物も、とうとう4日目を迎えた時だった。
その日も、日暮れと共にキャンプへ戻ってきた。
「あっちの店はスカートで、こっちの店ではエプロンか」
ルーナが使えそうな服を探した。
結果、かなりあるにはあったのだけれど、どうしても少年のようだったり踊り子のようだったりドレスだったり。これから冒険に出る魔術師のローブとは程遠いものばかりだったのだ。
「私が小さいから……」
ルーナが申し訳なさそうな顔をしたところで、カイは商店街ドットを眺めた。
店の屋根に、小さなランプがこれでもかというほど連なっている。
暗くなっても人の数は減ることがなく、むしろ、夜にしか出さないような稀少品を買い付けようと、意気込んでいる人間が溢れていた。
暗い中でルーナを連れ出すつもりはなかった。
夜になれば、酔っ払いが増える。それに、闇に隠れた犯罪者達も、街の中へ出てくる時間だ。
けれど、そうも言ってられない状況なのではないかと思う。
「今から、行ってみるか?」
パチパチと爆ぜる焚き火で作ったスープを、ルーナは小さなカップで飲んでいるところだ。
ルーナが顔をあげると、小さな銀色のカップが焚き火の明かりを反射して光った。
「いいんですか?」
ルーナは、最近顔色がまともになってきていた。
身体の方はまだガリガリで、腕などが見えると可哀想になってしまう。消化は出来ないだろうから、突然それほどの肉料理を食べさせるわけにもいかなかった。
温かいスープは効いているようだ。
……こんなスープ一杯も貰えてなかったのか。
「夜の方が、魔術用具は売ってるかもしれないからな」
そう言って、カイが立ち上がる。ルーナもそれに倣い、二人はまた、街の中心へと向かった。
暗い草地を、足で探りながら歩く。
「大丈夫か?」
「平気です」
二人が一際暗い地面を歩く。
その時だった。
「お嬢さんに似合う服を売っている店を知ってるよ」
暗がりから、声がした。
カイが、顔をあげる。
「……俺に言ったのか?」
そばに、小柄な人物が立っていた。
背中の曲がり具合や声からして、老人なのかと思う。
「そうだ」
「……なんで、服?」
鎌をかけられている時のために聞いておく。
老人は、
「昨日見かけたんだ」
なんて、もっともらしいことを口にした。
「なんて店だ?」
「ディーの店だよ」
「ディーの店?」
「店主がディーっていうんだよ」
「どうやって探す?」
「あっちだ」
指がさされた方を見る。
それは街の左側、という情報しか得られないものだった。
「…………」
目を凝らす。
ディーとかいうやつの店を、探し当てるしかないか。
「で、じいさん、」
声をかけた、はずだった。
けれど、カイとルーナが二人がで振り向いたときには、その老人は、もうその場にはいなかったのである。
さて、そろそろ服は見つかるでしょうか。




