✠騎士編 13✠ 商店街ドット(1)
「なんか……ジャンガジャンガしてるな」
「なんだか……ジャンガジャンガしてますね」
商店街ドットを見た時、二人が口にした感想がこれだった。
特別音楽なりなんなりが聞こえる訳ではない。
ただ、その場にある喧騒が、人の姿が、雑然とした何かが、二人にそんな感想を抱かせた。
ルーナは、布団にしていた布を身体に巻いていた。
けれど、この喧騒の中では、他人の姿など気にするものは少なく、いつもの服のままでもいいのではないかと思わせた。
商店街ドット。
布製のテントを改良したような、小さな出店が所狭しと並ぶ街だ。
特に、街道沿いは成立初期から立っている店が多く、観光としても見甲斐がある場所だ。
そんな店の中に所狭しと商品が並んでいるのだから、買う方も大変だった。
偽物ばかりを売る店はもちろん、全てが希少価値のあるものを売る店もある。中には、その商品価値に気付かず、名剣を端に転がしておくような店も多かった。
そんな店が並んでいるものだから、その集落の周りには短期滞在で価値ある商品を手に入れようとする人々でいっぱいだった。大きな馬車もあれば、テントを張っている者もいる。もちろん焚き火のみでなんとかする、野宿に慣れた冒険者達も多く見えた。
そして、そんな中で一番多く見えるものはもちろん、人だ。
「この人混みの中で服を買うのか。大仕事だな」
そう呟くカイの横で、ルーナは圧倒され声も出ない。
店の客も多いとは思っていたが、それでもどこで誰が何をしているか注意すれば把握できる程度の人数だった。
これはそれどころではない。
人間しか見えず、自分の居る場所すら見失ってしまいそうだ。
店の方も、ジャンルごとにまとまっている訳でもなく、リンゴの横で剣を売っている店もあるほどだ。
一つ一つ覗いていく。
少女向けの服を置いてある店はそれほど多いとは言えない。
だからといって、店を一つ一つ覗いていくのが簡単かと言えば、そうでもなかった。
店主に聞けば、大抵はあるかもしれないと言い、大きいサイズの服や小さいサイズの服を持ってくるのだ。
そしてあまりの人混みの中、ルーナが何度か流されそうになり、買い物は難航した。
「本当に、すごい所だなぁ」
カイが呆れたように呟く。
「……そうですね」
ルーナはすでに、意気消沈していた。
夕方にほど近い時間、結局二人はこの商店を取り囲むようにできたキャンプ地で、キャンプをすることになったのである。
キャンプに必要なものを買い集めるのにまた時間をかけ、二人は陽がすっかり沈んだ夜、やっと焚き火をつけたのである。
違う街に来て、やっと冒険っぽくなってきましたね!




