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赤龍亭と天井桟敷の人々〜第一部〜  作者: now here man
第二章 鬼ごっこ編

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三賢者。

カティの言葉に、俺はスプーンを置く。

「どうしたんだ。俺は腹ペコなんだよ。」

「微かな魔力を感じる。」


俺は怪訝な顔をしたのだろう、カティは続ける。

「ドレの家と赤龍亭で感じた魔力だ。」

俺は思わず呟く。

「あの紫の小瓶のか?」

カティは頷く。


俺はテーブルへ小銭を放り投げる。


俺はこの村は寄ったことを後悔し始めていた。


店を後にした俺たちに、背後から声をかけるものがいた。

振り返ると、修道服を着た若い男。

夜の闇の中、街の灯りで満面の笑顔が照らされる。


「旅の方、我らが教会へ寄って行かれませんか。」

俺は神を信じない。

口を開きかけた俺をカティが制する。

「是非とも、旅の安全を祈らせてもらいたいものじゃ。」

にこやかな表情のカティを俺は、ただ見つめる。


若く中肉中背の男だ。

質素な服は、小綺麗で手入れが行き届いている。


皆こなしから見て、荒事とは無縁のようだ。

危なくなっても、力では負けないな。

そんな事を考えていると、村外れの建物に辿り着いた。


教会も質素だった。

シンボルであろう、三角形のモチーフが所々に掲げられている。

「我らが、信奉するのは、三賢者様。世界の調和を守ってくださっています。」

微笑みながら、神父は続ける。

「あなた方の信奉する神は存じ上げませんが、三賢者様は全ての人々を受け入れられます。」

俺は神妙な表情をして見せる。


こっそりカティを覗き見る。

カティは一体何を考えてるんだ?


「三賢者様の教えに従えば、争いもなく苦しむこともなく、平和な生活が送れます。」

神父は、暗記したものを読み上げるように話し続ける。

「全ての人々は平等です。」

神父に案内されて祭壇の前へ。

一際大きな三角形のシンボルが祀られている。


その前で俺たちは神父に従い、跪く。

「三賢者様、旅の方たちにご加護を。」

手を合わせる神父の腰の紫の紐が、やたらと目についた。


教会を後にした俺たちは、いったん、宿へと戻る。


「どういうことなんだ?」

俺はカティに尋ねる。

「もしかしたらじゃが。」

カティの顔が一瞬曇る。

「もう、始まっておるのかもしれん。」


夜の風が、カーテンを揺らしていた。


「感覚を研ぎ澄ませてみろ。何か感じんか。」

俺は、シマに教えてもらった事を思い出す。

呼吸を整え、意識を集中する。

「視線を感じる。」

俺は目を開ける。

「監視されている。」

月に照らされ、カティはニヤリと笑った。

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