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赤龍亭と天井桟敷の人々〜第一部〜  作者: now here man
第二章 鬼ごっこ編

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何かがおかしい。

「ヨシュア、どこにいるんだ。」

俺の呟きは風にかき消される。


馬上の旅も早3日目。

アキダリア教皇国への道は遠い。

地図と魔法の羅針盤を頼りに俺たちの旅は続く。


延々と続く草原の景色にも飽きてきた頃だ。

「カティ、そろそろ日が暮れる。次の村で宿に泊まろう。」

カティは頷く。


ここ数日、カティはあまり喋らない。

何かを考え込んでいるようだ。


寂れた街道沿いの村。

何の変哲もない静かな村だ。

通りに人の姿は見えない。

閑散とした村を俺たちはゆっくりと進む。


一軒の宿屋を見つけ、馬小屋へ馬をつなぐ。

桶の水を馬に飲ませ、今日の旅路を労る。


一通り馬の世話を終わらせて、俺たちは宿屋の中へ入る。

「二人だ。部屋はあるか?」

俺の問いに、店主は微笑む。


「二人旅かい?」

店主の問い俺は頷く。

「デカいクロスボウだな。狩人かい?」

俺は頷く。

「昔は、デカい武器を持ってたら冒険者だったんだがな。」

店主は欠伸をしながら続ける。

「最近は、旅人も減ったな。魔王がいなくなってからだ。」

その言葉に、カティは顔をあげる。


「部屋は一つでいいかい。」

俺は頷く。

「何事も無駄は減らしたほうがいい。」

店主の言葉が妙に引っかかった。


部屋は質素だった。

小さなベッドが2つ。

使い古したテーブルと椅子。


俺たちは手早く荷を解く。

「旅の楽しみは飯じゃ。食べにいくぞ。」

カティは、いつも通りを装っている。

俺は、気づかないふりをする。


村の通りは静かだ。

人通りもない。

まだ夕暮れ時だというのに。


「この村、人が少ないな。」

カティは俺の問いに答えず、酒場のドアを開けた。


店内は静寂に包まれている。

質素な店内。

カウンターで奥の厨房からは、料理をする音が聞こえる。


意外なほど客が多く、ほぼ満席。

俺たちを見ているのであろう視線を感じながら、空いている席へ座る。

見かけないものを警戒するのは当たり前だ。

気にするな。

俺は、自分に言い聞かせる


テーブルにメニューはなく、店員に向かって俺は手を上げる。

店員は無表情なまま、俺たちのテーブルへとやってくる。

「メニューはあるか?」

俺の問いには意外な答えが返ってくる。


「この店にはメニューはない。皆同じものを食べるんだ。」

俺とカティは目を見合わせる。


去っていく店員を見送りながら、店内が静かな雰囲気な包まれていることに気がつく。


食器とスプーンが触れる音。

ただそれだけだ。

喋るものは一人もいない。


「どういうことだ。」

俺の問いにカティはゆっくり首を振る。


俺たちの人々テーブルに2つのトレイが運ばれてきた。

「これだけ食べてれば、必要な栄養は全て取れる。」

店員は、その言葉にだけを残して、奥へと消えていった。


トレイには、パンが一切れ。ペースト状の何かがのっている。

「何だこれ?」

周りを見渡すと、皆そのトレイから黙々と食べている。

これが郷土料理なのか?


俺はため息をつき、スプーンに手を伸ばす。


俺の手をカティが止める。

「食べるな。」

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