紫の髪紐。
ヨシュアについての情報は見当たらない。
俺はシマの小屋で修行していた。
春の日差し。
小鳥の囀りが木々にこだまする。
むせるような緑の匂い。
紫の髪紐が、脳裏をよぎる。
「もっと集中しなさい。気が乱れている。」
俺は思わず目を開ける。
「あの少年のことだろ。」
鋭いな。
「カティから話は聞いているよ。お前は、今できる事をしなさい。」
俺は、頷く。
目を閉じて、集中する。
全身の気を意識して、おへその下、丹田に集めるイメージをする。
周りの景色、空気、音。
全てを意識から遮断する。
体全体が徐々に暖かくなっていく。
「集まった気を右手に集中しなさい。」
俺は右手に意識を集中する。
「そのまま、目を開けて。」
鮮やかな緑が目に飛び込む。
シマは石を指差す。
「この石を割りなさい。殴るのではなく、押す。」
俺は意識を集中して、石をゆっくり押す。
ピシッと音がし、石にヒビが入る。
「これが、身体強化だ。」
シマの声に俺は顔をあげる。
俺はシマに問いかける。
「練習したら、離れた敵を攻撃したり出来るのか?」
シマは、髭を触りながら考える。
「相応の修行を積めばできる。だが、お前は歳をとりすぎている。」
春風が水面を揺らすのを感じる。
「身体強化、感覚拡張。この二つをしっかりと鍛錬しなさい。」
俺は頷く。
シマは満足そうに頷き、鼻歌を歌いながら、小屋へと向かった。




