表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤龍亭と天井桟敷の人々  作者: now here man
第一章 迷える子羊編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/36

迷える子羊

罠の設置は完了。

三人とも所定の位置につく。

コカトリスの位置も確認済みだ。


後は、カティからの合図で狩りが始まる。

微かな緊張と高まる高揚感に俺は身を任せている。


…微かな違和感を感じる。

生命の鼓動。


俺は、違和感の元を確認するために気配を殺しながら移動する。


違和感の元は、若い男。

警戒もせずに雑木林の中を進む。


俺は舌打ちし、狩りの中止を決め二人に合図を送ろうとしたその時。

「アレはいい囮になる。作戦は継続。」

ヨシュアの声が頭の中で聞こえた気がした。


俺とヨシュアは声が聞こえないほどの距離がある。


同じく、相応の距離をカティともとっているが、カティが緊張するのが伝わって来た。


「くそっ。」

俺は、男を止めるために小走りで近寄ろうとする。


…木立が揺れる。

男の前にコカトリスがその異形の姿を表す。

男は動きを止める。

恐怖で引き攣る表情。


時が止まったかのように、男が動きを止める。

…石化。

男は恐怖と共に永遠にこの一瞬を刻みつけた石像と化してしまった。


俺はこのタイミングでコカトリスの背後へまわり、マチェットを構え飛びかかる。

ヨシュアがスリングで援護射撃。

カティが姿を現した瞬間、コカトリスは地面を揺らしながら倒れ込む。


俺はコカトリスの大柄な体に覆い被さるように飛び掛かり、鶏の部分の首を掻き切る。

飛び散る血。漂う異臭が強くなる。

蛇部分はカティが何事もなかったかのように手刀で切断。

三人に被害はない。


「ヨシュア、コイツの石化を解いてやってくれ。」

「必要ないでしょ。」

俺は耳を疑う。

「僕らの戦力に影響はない。コイツは単なるバグみたいなもの。助けるためのリソースを割くのは賢明な判断とは言えない。」

理解しかけた思考より、先に手が出た。

ヨシュアが反動で倒れ込む。


カティはただ黙っている。

…理解したからだろう。


ヨシュアが頬を抑えながら身を起こす。

「ジョニーさん、最適化の問題だよ。」

俺は殴った拳の震えを抑える。

…それはわかっている、

「だがコイツは人間だ。」

怒りで言葉を続けることができない。


カティは俺達を瞬きもせずに見ている。


「ジョニーさん、ここでお別れだね。」

背を向けて振り返らずに歩き出したヨシュア。

その背中を俺は止めることができなかった。


…俺たちは、もう元には戻れない地点まで来ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ