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白銀の王。  作者: 春乃來壱
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27.付与魔法の先生。




「…なんだか悪い事をしたみたいですまないね」


碧の説教が決まった原因となったノアが申し訳なさそうに眉を下げてしまったので、碧は慌てて手を振り否定する。

確かに怒られる一因とはなってしまったが碧も付与魔法の知識は純粋に聞いてみたいのだ。


「ううん。ノアの話しを聞きたいのも本当だし、輝璃と雪は…まぁ何とか機嫌をとってみせるよ」


「…それ、本人を前にして言っちゃダメなやつだから。碧は危機感が足りないからもう雪にこってり絞られてこりればいいんだ」


輝璃が少し呆れた顔で溜息をつく。

ノアの話しを聞いてみたかったとはいえ、碧とて雪のお説教を受けたいわけではない。

どうにかして機嫌を取ってお説教を回避してみせる、と密かに決意をする。


だが碧のその思考を読んだかのように輝璃がジト目でこちらを見ているが気の所為ということにしておきたい。

フィーは肩を震わせながら笑ってないで助けて欲しい。

だいぶ逸れてしまった話題を元に戻そうとコホン、と1つ咳払いをしてからノアの方を見る。


「付与魔法ってどうやってやるの?」


「心配しなくとも坊やには1からきちんと私が教えるさね」


「ノアが教えてくれるの?」


碧の問いかけにノアがコクリと頷く。


「そうさね。付与魔法は他の魔法とは違ってほとんど書物などに記されてない、人から人へと直接伝えられている魔法なのさ」


「へぇ…先人の知恵ってやつだね」


「まぁ、付与魔法は相性が合わない奴は教わっても使えないから本に残しても仕方がないってのもあるさね」


「それでその相性ってのが俺に合うかもしれないってことか」


「ああ。それもかなりいい相性でね。ところでミドリの坊達は外から来たんだろう?宿はもう決まってるのかい?」


「僕らは『ミツノキ』って宿屋に泊まるっすよ。僕らの仲間のもう2人がそこで待ってるっす」


フィーがそう答えるとノアが少し驚いた顔をして、すぐ納得したように頷いた。


「そうかそうか、マーク坊のとこか。あそこはいい、なんたって料理が美味しいからね。それじゃあこの店もマーク坊に紹介されてきたってところか」


そこで碧はふと気づく。フィーは泊まる宿の名前を言っただけでマークの名前は出していない。

料理が有名だとは聞いたがマークの名前が真っ先に出たということは知り合いなのかな、とぼんやりと考えているとノアがくすくすと笑いながらこちらを見ていた。


「ミドリの坊やは考えてることがよく顔に出るね、マーク坊と私は顔見知りなのさ」


「…そんなに顔に出てた?」


頬にペタペタと手を当ててみるが特に表情が動いてる訳でもない。なんでわかったんだろうと首を捻っていると3人が顔を見合わせてから頷いた。


「…碧の考えてることは、わかりやすいから」


「何となく予想はつくっすね」


「ミドリの坊やは隠し事が苦手そうだねぇ」


3人の言葉に“そんなことないと思うんだけどな”とは思いつつ、そういえば今まで輝璃や龍斗達に考えていることがすぐバレたりしたのでもしかしたらそうなのかもしれないと少しだけ、本当に少しだけ思ったが悔しいので口には出さない。


「マークの坊のところに泊まるのなら私が行って教えることも出来るんだがね。坊や達はどれくらい滞在する予定だい?」


「んー、細かくは決めてないっすけど暫くはいる予定っすね」


「…特に急いでるわけでもないもんね」


フィー達がそう答えるとノアは“そうか”と頷きながら不意に考える素振りをする。


「私は昼間はこの店があるから…そうだね、夕方店を閉めた後にマーク坊の宿に行くから坊やの都合のつく時に来てくれればいい」


「え、俺が教えてもらう側なのにそんな」


「マーク坊の宿にはよくご飯を食べに行ってるし問題ないよ。セラの料理も食べたいと思っていたところなんだ」


どうやら碧に気を使って出た言葉ではなく本心のようだ。セラの料理の味を思い出しているのか口元が緩んでいる。

それならその言葉に甘える事にしよう。

夕方からならギルドで依頼を受けたあとでもなんとか間に合うだろうと、ノアにお礼を言って約束を取り付ける。


「…じゃあとりあえず、これ買ってギルドに戻ろうか」


「あ、そうっすね」


「あぁ、ギルドに行くのかい?引き止めて悪かったね。そっちの坊やが持ってる魔法具は…銀貨6枚と銅貨2枚だよ」


「じゃあこれでお願いするっす」


フィーが“ボックス”からお金を取り出し、輝璃の選んだ魔法具の分の支払いを済ませる。


因みに、災厄の森に居た時にお金の価値や計算などはフィーに教えて貰ったので何となくはわかる様にはなったが、まだ碧達はルーティアのお金に慣れていないのでお金の管理はフィーの担当になっている。


それでももし急に必要になった時ように各自困らないくらいのお金は受け取っていて、足りなくなったらフィーからまた貰うという形のお小遣い制だ。


とは言っても、碧達が今持っているお金はダンジョンで倒した魔物から多少はとれたとはいえ、ほとんどはフィーとむいのお金だ。

フィー達は数百年間も災厄の森に篭ってたので魔物達が落としていった(ドロップした)お金や魔石の使い道はあまりなくて、今まではとりあえず“ボックス”に入れて貯めておいていたらしい。


1度見せてもらったがかなりの量だった。少なくとも、働かず遊び暮らせそうなほどにはあったと思う。

災厄の森は強い魔物が多いからか希少なものや高価なものを落としていく(ドロップする)魔物が多いらしく貯めていたらいつの間にかそうなっていたらしい。


なので碧達が旅の間に稼がなくても全く問題無いくらいに余裕はあるのだが全てにおいて頼りきりなのは心苦しすぎるので、ギルドで依頼を受けて少しでも稼ごうという魂胆だ。


フィー達はそんな事気にしなくてもいいと言ってくれたが、“依頼で魔物とか倒せばレベルもあげれるし”という碧達3人の必死の説得(ごり押し)により渋々ながらも納得してくれた。



「また何か必要なものがあったらご贔屓に。依頼を受けるんだったら気をつけていくんだよ」


「うん!ありがとノア。また宿でね」




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