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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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60(最終話).リベンジマッチ

「最後にもう1度だけ俺と手合わせしてくれ。忙しいし疲れているのは分かるが、今の話を聞いていてちょっと不安に思ったもんでな」

「……分かった」

 まさかの手合わせの申し込み。

 普通ならここで断る筈のリュディガーだが、ドラゴンに捕まってしまった余韻がまだ身体の中に残っているらしく、ここは素直に引き受ける。


「今回の審判は俺が努める。それじゃ……始め!!」

 駐屯地の中央部分の広場で唐突に始まった、リュディガーとカリフォンの手合わせ第2ラウンド。

「はっ!!」

 開始早々、自分よりも少し大柄かも知れないその身体から繰り出される鋭い突き込みを回避し、バックステップで距離を取りつつ大きく後ろへと下がるリュディガー。

 接近戦で戦うのはソードレイピアもロングソードもやりづらいので、なるべく楽に戦える様位置を調整する。


 お互いの様子を窺い、円を描く形でグルグルと回りながら2人は睨み合う。

 既に夕暮れ時の駐屯地に緊張が走る。

(どうする……このカリフォン隊長はどう出て来る!?)

(最初にやり合った時と比べて、俺の動きにしっかりついて来てるじゃねえか。だが俺だってバーレン皇国騎士団の一員だし、元冒険者の先輩として負けられねえんだよ!!)

 お互いの考えが全く噛み合わないまま、何処からか鳥の鳴き声が聞こえた。


 それを合図に2人は再び打ち合いを始める。

「たあっ!」

 若い身体を弾かせて、リュディガーに対してカリフォンが飛び込んで来る。

 一本気な性格故なのか、それとも真っ直ぐ飛び込んで来る事で勝負を決めに掛かって来ているのかは分からないが、それでもさっきと変わらないそれなりに素早い突きがリュディガーに襲い掛かる。

 だがリュディガーだって黙ってやられる訳も無く、右に避けてからグルンと左回りに回転しつつカリフォンの脇腹目掛けて回し蹴り。

「ぐっ……」

「っ……」

 回し蹴りをカリフォンの脇腹に当てる事には成功したが、偶然にもカリフォンが腰にぶら下げているロングソードの鞘にかかとを当ててしまう形になり、結果的にリュディガーも自爆でダメージを受けてしまう。


(ぐぅ……運の強い人だ……)

 少しだけではあるが、まさか鞘でダメージを受けるなんて……とリュディガーは想定外の事態にビックリしながらも、再び向かって来るカリフォンに対してこっちから先制攻撃でやってしまうしか無いと判断。

 ギン、ギィンと金属の弾ける音が繰り返され、元冒険者同士の壮絶なソードファイトが駐屯地のバーレン皇国騎士団員、それからロオンにジェクトの魔法剣士コンビ、そしてリュディガーと共にここまでやって来たパーティメンバーをギャラリーにして続く。

「はぁぁっ!!」

 気合の声を上げて再び飛び込んで来るカリフォンの動きを観察して、彼が上からロングソードの振り下ろしを仕掛けると読んだリュディガーは、バックステップで一旦回避してから飛び掛かる算段を考える。

(飛び掛かって押さえ付けてしまえばそれで終わりだ!!)

 そう考え、ロングソードを振り下ろすのを目で捉えた所でカリフォンに向かって駆け出した……までは計算が成り立っていたのだが。


「おわっ!?」

 ロングソードを振り下ろしたカリフォンは勢いが付き過ぎてしまったのか、履いているブーツのつま先が地面の窪みか何かに引っ掛かって体勢が前のめりになってしまう。

 そこに走り寄りつつジャンプから飛び掛かって、カリフォンを地面に倒して押さえつけてしまおうとしたリュディガーが飛び込んで来てしまう。

 と言う事はつまり……。

「ぐぇあ!?」

 前のめりになったカリフォンの頭が、丁度飛び込んで来たリュディガーの身体の下に潜り込む体勢になってしまい、リュディガーの胸がカリフォンの頭にクリーンヒット。

 要するに、リュディガーはカリフォンに空中で頭突きを食らう形になってしまったのである。

 しかも飛び掛かろうと自分から飛び込んで行った事もあって、普通に頭突きを食らうよりも受けるダメージのレベルが違うのも大きかった。


「うぐ……あ……」

「あだだ……、おい、大丈夫かよ?」

 今までの威勢の良い様子は何処へやら。

 カリフォンはロングソードを鞘にしまいこみ、リュディガーに素早く駆け寄って声を掛ける。

「俺は平気だが……あんた、ついてるな……」

 まさかここに来て何と言う幸運の持ち主なんだろう、と思ってしまうリュディガーだったが、勝負の内容はどうであれリザルトとしてはリュディガーの負けと言う事になった。

 これで2度目の敗北である。


「結局、カリフォン隊長には勝てなかったか……」

「いいや、御前も良い動きだったし俺より若いんだからまだまだ成長出来るさ。今は確か20だったな?」

「ああ。つい最近なったばかりだ」

「だったらまだまだこれからだろ。これから先の旅の中で剣の腕を上げて、そして俺に追いついて来い。その時はまた俺と勝負しようぜ」

「……そうだな」


 結果的に2回戦ってもリュディガーはカリフォンに勝てなかったものの、そのどちらもかなり中身の濃いバトルになったのは間違い無い。

 それにあのコートの集団のリーダー2人と戦った時に気が付いたのだが、自分は素手の体術でも割と戦えるらしい。

 イディリークを離れて隣の国にやって来て、色々と中身の濃い体験をして来た。

 しかしまだ、ルヴィバーが辿った冒険の内容に比べれば1パーセントも達していないだろう。

 それにこれまでの戦いを通じて、まだまだ自分には成長出来る余地があると実感したリュディガーは、わざわざ自分の冒険にこうやって着いて来てくれている3人と共に新たな国へと進み出す。


 バーレン皇国の北にある「青の王国」ヴィルトディン王国へと……。


 ステージ2:バーレン皇国編 完

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