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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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59.事情説明

 駐屯地でフェリシテにお茶を貰って休んでいると、数十分して自分を捜しに出ていた面々が戻って来た事にリュディガーは気付く。

「お、お兄ちゃああああん!! 無事で良かったあああああああ!!」

「うおおおおおリュディガーああああ!! お前、良く生きててくれたぜえええ!!」

 妹に左から、大柄な冒険者仲間に右側からほぼ同時に大声で叫びながら抱き付かれ、リュディガーは心底気色が悪いのとリアクションに困るのと、一旦離れてくれないかと言う感情がミックスされる。

「ま、待て……離れろ、苦しい!!」


 グイグイと2人の頭をそれぞれ右手と左手で押しやって、落ち着かせた所に今度は騎士団の3人が姿を見せた。

「あ、あんた……ドラゴンにさらわれて無事だったのか!?」

「ああ……良かったです……」

「何事も無くてこっちも安心したぜ。で、何があったんだよ?」

 ジェクトもロオンもカリフォンも、それぞれのリアクションは違えど一様に安心した表情を浮かべている。


 そしてここから、今までのあらましを捏造のシナリオでリュディガーは説明しなければならない。

「あのドラゴンにさらわれて、俺はここからずっと離れた森の中に連れて行かれたんだ。そこで何とか掴まれていた足を振り解いて、木々をクッション代わりにして助かったと思ったんだが……あのドラゴンはそれで諦めなかったんだ」

「諦めなかった……ああ、凶暴なドラゴンだったんですね?」

 ロオンの確認にリュディガーは頷く。

「どうもかなり腹が減っていたらしくて、竜族と俺達人間では言葉は通じないけど、かなり怒っているのは分かった。しかし、俺も餌にされるのだけは御免だったから、森の中に逃げ込んでドラゴンを上手くやり過ごしたんだよ」


 リュディガー曰く、諦めていないドラゴンは上空を旋回しつつ自分を狙っていたので、木々の間に上手く身を隠していたのだと言う。

 視界が木々によって遮られてリュディガーの居場所が分かりにくくなる事、もし彼を発見しても木々が邪魔をして降下出来ない事で、何とか森を脱出したまでは良かったが話はそこで終わらなかった。

「あれ? でもさっきドラゴンらしき影が向こうの方に見えたわよ?」

 話を聞いていたフェリシテがテントの中から明後日の方を指差して尋ねれば、それに乗っかって来たのがカリフォンだった。

「そうだな、俺達も空を飛んで行くドラゴンの姿を見つけて追い掛けて来たんたぜ。そうしたらお前にまたこうして出会えたんだよ。お前が連れて行かれた森って言うのは場所的に大体見当が付くんだが、もしそこから逃げて来たんだったら途中で俺達とすれ違わねえか?」


 しかし、その質問はリュディガーには想定内のものだ。

「ああ、まだ話は終わってないから最後まで聞いてくれ。空を旋回していた事からも分かる通り、まだあのドラゴンは俺を狙っていたらしくてな。森を脱出してそのままこっちに向かって走って来たまでは良かったんだが、その途中で再びドラゴンに襲われたんだ」

「また襲われた……まぁ、分からない話では無いな」

 若干驚きの表情を見せつつも、今までの魔物討伐の経験からジェクトも一応納得したらしい。

「それで俺はもう1度吊り上げられ、今度はこっちの方に向かって飛んで来たんだ。しかし、俺は暴れに暴れまくって何とか振り解き、今度は林の中に落ちたんだ。そこでジッと身を隠してあのドラゴンが諦めるのを待って、飛び去って行くのを見届けてから俺はここに戻って来た……と言う訳で、かなり大変だったんだ」

「と言う事は私が見たドラゴンって言うのは、もしかしてその時の?」

「そうかも知れないな。それにしても幸運だった」


 一応ここまでは順調だが、もしあのコートの集団がこっちに向かって来て色々と喋られでもしたら……。

 それに嘘をつくのはドラゴンとの約束なので、この壮大な嘘がばれたらあのドラゴンから何をされるのか分からない以上、リュディガーは必死にポーカーフェイスで乗り切ろうとしていた。

「でも良かったな、下手すりゃ今頃はドラゴンの胃袋の中だったろ」

「本当よね。まさかあんなドラゴンに連れて行かれちゃう経験なんてそうそう無いんじゃない?」

「少なくとも、傭兵の仕事でも経験した事は無いな」

 バルドとトリスの反応を見る限り上手くごまかし切れたらしいが、この先で嘘がばれてしまえばまた1から説明しなければならない。


 そうなると色々面倒なので、ここはボロが出る前にさっさと北に向かう事にする。

「とにかく、俺達がここにこれ以上居るとまたあのドラゴンに襲われかねない。もうすぐ夕暮れ時だが、俺達はこのまま駅に向かってヴィルトディン王国に向かいたい」

「ああ、それが良いわね」

 フェリシテもそれに同意し、ジェクトが回収していた自分のソードレイピアを返して貰って北に向かう事にしたのだが、そんなリュディガーにカリフォンが思わぬ事を言い出した。

「ちょっと待った」

「……何だ?」

 まさか嘘がばれたのか? と心臓がドキリと跳ねるリュディガーにカリフォンは……。

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