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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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58.捏造

 こうして地底湖の近くでドラゴンと別れたリュディガーは、自分を捜しているであろうパーティメンバーやバーレン皇国騎士団員達に合流するべく地底湖の前の駐屯地の方に向かって歩き出した。

(でも……どうやって説明するべきだ?)

 地底湖の中にドラゴンが突然現れた上に、そのドラゴンによって連れ去られてしまった自分。

 しかも自分1人の状況でさらわれてしまったならともかく、あの場には一緒にドラゴンと戦ったバーレン皇国騎士団の魔法剣士隊副隊長のジェクトも居たのである。

 と言う事は自分が連れ去られたあの後に、彼は地底湖の中から地上に戻って上に居る騎士団員達に事のあらましを説明しに向かった可能性が100パーセントだ。


 それに報告しに向かったのは彼だけでは無く、その前にパーティメンバーのバルドとフェリシテとトリスが地上に向かったのを考えると、恐らく地上から自分を足で掴んで飛び去るドラゴンの姿を目撃しているだろう。

 仮にその3人がドラゴンの姿を見ていなかったとしても、地底湖に続く洞窟の目の前で野営地を展開していたバーレン皇国騎士団員達が、あの吹き抜けから飛び立つドラゴン……いや、その前に吹き抜けに向かって飛んで来る青いドラゴンの姿を確認しているだろう、とリュディガーにも簡単に予想出来る。

(まず、連れ去られていないとごまかしたり言い逃れは無理だ。俺とあのドラゴンに都合の良い様に話を変えるなら、連れ去られた後の話だろうな)

 連れ去られてしまった後の話は自分とあのドラゴンしか知らない展開なので、そこは幾らでも話を捏造して都合の良い感じに出来る。

(そこから考えると……俺があのドラゴンの足から何とか逃れて、それでここまで歩いて戻って来たって事にするのが最も自然かもな)


 だが、ここからリュディガーは考え込んでしまう。

(いや、待てよ……あのドラゴンが飛び去ったのを騎士団の団員達が見ている可能性は高い。となればドラゴンが俺を連れて行った方向に向かって部隊を編成して追い掛けて来る可能性が高いな。それからあの3人も間違い無くそれについて行く筈だから……あれ、それを考えたら俺がこうしてこのまま駐屯地に戻っても、誰も居ないんじゃないのか?)

 だったらここまで運んで来て貰ったのは間違いだったかも知れないと思いつつ、実際に駐屯地に戻ってみないと何とも言えない。

 バルドだったら楽観的な性格なので適当にごまかす為のスキルも身についているのだが、リュディガーはあいにくそこまでコミュニケーションのスキルが高くない。


 もうこうなったらさっき考えた「何とか逃げ切った」と言う話を貫き通すしか無いと決意して、リュディガーは駐屯地が見えて来て気合を入れ直す。

(……やっぱり人数が少ない様な気がするな)

 遠目でもパラパラと人影が見える程度で、最初に駐屯地にやって来た時とは人数が明らかに少ない。

 となれば部隊を編成して自分を捜しに出発したのだろう、とすぐに察しがついたリュディガーに対して、この後イレギュラーな展開が待ち受けていた。


「……あれっ、リュディガー!?」

 何と、駐屯地で早々にパーティメンバーの1人、フェリシテと合流。

 まさか戻って来てすぐに合流出来るとは思っていなかったリュディガーだが、嬉しいやら戸惑うやらで気持ちがパニック状態だ。

 そんな彼の頭の中の状態を知る由も無く、フェリシテは矢継ぎ早にリュディガーに質問を浴びせ掛けて来た。

「ちょっとちょっと、一体今まで何処に行ってたのよ!? ドラゴンに連れ去られて大丈夫だったの!? ソードレイピアはどうしたの!? それからケガもしているみたいだけど戦ったの!?」

「お、落ち着け……」


 何かこんな光景を見た事がある気がするデジャヴに襲われながらも、とにかくフェリシテを落ち着かせてから彼女に事情を説明しようと考えるが、その前に他のメンバーの元に連れて行って貰う事にする。

「俺もまだ混乱状態で……落ち着いたら話したい。それよりも今はフェリシテ1人なのか? 他の2人はどうした?」

「リュディガーを探して、ロオン隊長とカリフォン隊長と一緒にドラゴンが飛んで行った方に行っちゃったわよ! ここに来る途中で会わなかったの? と言うか何処から帰って来たのよ!?」

「あ、あっちの方だ」


 あのドラゴンに乗せて来て貰った方を指差してそう答えるリュディガーだが、その答えにフェリシテの表情が曇った。

「え、あっちの方? ドラゴンって確かあっちに向かって飛んで行かなかった?」

 ほぼ正反対の空の方向を指差して疑問を呈するフェリシテだが、その時はリュディガーもパニック状態で上下左右の間隔が掴めていなかったので何も言えない。

「いや、俺はこうやって足を掴まれて宙吊りになっていて、頭が下の状態だったから怖くて良く分からないんだ。向こうに向かって飛んだのか?」

「うん。地底湖の洞窟の方からいきなりドラゴンが現れたと思ったら、何かがぶら下がっているのが見えて……。その茶色い上下の服と青い手袋とブーツはそれなりに目立つ色だからリュディガーだって分かったんだけど、上下左右が逆だったの?」

「ああ。マントがおかしななびき方していたら分かる筈なんだが……」

 とにかく落ち着きたいので、まずは駐屯地の中で水が欲しいとリュディガーは願い出て休ませて貰う事にした。

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