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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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49.空飛ぶ竜に連れられて

 宙吊り状態になり、しかも武器まで落っことしてしまった自分を掴んだまま青いドラゴンは翼を動かして何処かへ飛んで行こうとする。

 降ろせと叫んでみても言葉が通じないのでどうしようも無く、そもそもこの状態で降ろして貰っても地面まで真っ逆さまに落下してしまう未来しか見えないので、そうなれば確実に死が待っている。

 この宙吊り状態で頭を下にしている以上、恐怖心が中途半端なものでは無いのでリュディガーは気を失いそうになる。


 だが、今の自分がどうなっているのかをしっかりと把握しておかなければならないので、気合いと根性と意地だけで目を開けて恐怖に打ち勝っている状態だ。

 そんな彼を掴んだまま、ドラゴンはゆっくりと降下を始める。

(地面が迫って来る……まさか俺、このまま叩きつけられてしまうのか!?)

 それだけは本当に勘弁してほしい。

 こうなったら地面スレスレまで来た所で、足を思いっ切り振って何とか掴まれた状態から脱出するしか無いと考えているリュディガーだったが、その計画はまたも上手く行かない展開になってしまうのだった。


 どんどん地面が迫って来るこの状況を、気を失いそうになる位の恐怖心を必死にねじ伏せながらリュディガーはその1回のチャンスに賭けることにする。

(まだだ、まだまだ……我慢……!!)

 足を振って振り解くタイミングが少しでもずれれば、頭から真っ逆さまに地面に落下してしまい大怪我何処ろでは済ま無いだろう。

 だから慎重にタイミングを見計らって足に力を込め始めるが、ある程度地面に近づいた所で今度は高さでは無くドラゴンのスピードが落ち始める。

「え……?」

 明らかにスピードが落ちていると気がついたのは、下を流れる景色がハッキリと見えて来たからだった。

 となれば目的地がそろそろ近くなって来たのでは無いか? とリュディガーは首を振って周りの状況をその目で確認する。


 逆さまの状態の景色にも少しずつ慣れて来ていた事が功を奏し、自分が今ドラゴンに足でぶら下がっている状態で何処に向かっているのかを何とか確認出来た。

(このまま進んでいくと、どうやらあの地底湖から余り離れていない場所みたいだな)

 とは言うものの、降り立つ場所はこの国の中の何処かの森の中らしいと言う事しか分からず、無事に地面に着地してしっかりとした体勢で辺りを見渡さなければ、自分が何処まで連れて来られたのかも把握出来ない。

 複雑な感情を抱くリュディガーを足で掴んだまま、スピードを最大限まで落としてドラゴンは空中でホバリングの姿勢に入った。

 一旦空中でストップしたドラゴンは翼をバタバタと動かし、その体勢を安定させて森の中の開けた場所に着地する。

 リュディガーもドラゴンが着地する寸前に足に力を込めてブンブンと振って、何とか振り解く事に成功した。


「何処だ、ここは……?」

 ある程度の情報が空中から掴めていたとは言え、普段自分が生活しているこの元の姿勢に戻ってやっと自分の脳で情報を整理する事が出来始めたリュディガーは、自分がこのドラゴンと1対1で森の中の開けた場所にやって来たのを理解した。

「くっ……」

 すぐさまドラゴンから距離を取って腰のソードレイピアに右手を掛けるものの、あの地底湖からこのドラゴンが飛び立つ時に落っことしてしまった事を思い出し、自分が丸腰だと言う状況に絶望するリュディガー。


 だが、そんな彼のすぐ目の前でドラゴンは特に何をする訳でも無く、ただ単にその4つの足で佇んでリュディガーを見下ろしているだけだ。

「……俺をここで食べるつもりなのか?」

 周りの気配からすると、どうやらここには自分とこのドラゴンしか居ないらしく、餌としてここまで運んで来てじっくりと食べるつもりなのだろうか?

 だったらその前に何としてでも御前から逃げてやる……とリュディガーはその闘志をみなぎらせて、まだここで死ぬ訳にはいかないと誓った。

「何故俺をここまで連れて来たのか分からないが……ドラゴンが肉食動物だと言う事は知っているからな。大方、俺を食べるつもりなのだろうが俺は食べても美味しく無いぞ」

 人間の言葉が通じる訳が無いのだが、それでも自分の考えを伝えるべくドラゴンに向かって喋るリュディガー。


 しかし次の瞬間、リュディガーは自分が連れ去られた事よりもさらに大きな衝撃をその身で体験することになった。

『何言ってんの。別に君を食べたりし無いよ』

「え?」

 若い男の声が何処からか突然、自分の耳に聞こえて来た。

 まさかこの場所に自分以外の人間が居るのだろうか?

 思わずリュディガーはキョロキョロと辺りを見回すが、やはり人影は微塵も見当たらない。


(気のせいか……)

 ここまでぶら下げられて来た事で脳が興奮しているのだろうか? とリュディガーは考えるが、その時また若い男の声が彼の耳に聞こえて来た。

『いきなりここまで連れて来られちゃってビックリしてると思うけど、ちょっと僕の話を聞いてくれないかな?』

「……は?」

 再び辺りを見回すリュディガーだが、聞こえて来たその言葉の内容からするとこの声はまさか……と、自分の目の前に佇んでいる青いドラゴンの方をゆっくりと見つめた。

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