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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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42.料理屋にて

 バーレン皇国の北、ベウォルクス地方に存在する地底湖。

 それを国民は「青龍湖」と呼んでおり、かつて青いドラゴンが棲み処にしていた伝説の残る湖として知られている。

 バーレンの観光スポットの1つとして人気を博しているこの場所だが、定期的に皇国騎士団と学者達による調査が入る場所でもあるので、その調査の間だけは立ち入り禁止になる。

 今回、その調査期間ではあるもののシェリスの計らいで特別に立ち入りを許可された一行は、列車の中で何度か夜を明かしてようやくその青龍湖の最寄り駅に降り立った。

「ようやく着いたな、ここがベウォルクス駅か……」

「あー、ワクワクして来たぜ! どんな遺跡なんだろうなー!」


 余り興味の無いリュディガーと、以前ここまで来たのに遺跡に入れなかった悔しさの反動からテンションが上がるバルドの横で、せっかくバーレンの観光名所まで来たのだから……とトリスとフェリシテは駅の売店で土産を買う事にする。

「あ、ねえねえトリスちゃん、これなんか可愛いんじゃない?」

「えっ……そ、そうね……」

 フェリシテが選んだのは、青龍湖の主と言われている青いドラゴンを模した石の置物。

 お世辞にも可愛いとは言えないそれを見て、心の中でフェリシテに対してトリスは毒づいた。

(この人、センス悪……)


 しかしこの先で旅をするに当たって荷物は最小限にしなければならないので、小さめの土産を数点買い込んだ後、騎士団員コンビの案内で4人は駅の近くにある魚料理メインの店に足を運ぶ。

 水の皇国と呼ばれるバーレンでは海に面している事と、国内に川が多数流れているので水産物も豊富に獲れる。

 それを隣国のファルス帝国に輸出する事で、経済の一端を担っているのだ。

 その水産物の中で、川魚をふんだんに使った料理が名物メニューの店に入った6人はその料理を注文。

「いかがです?」

「うん、美味い」

「なかなかイケるわね」


 リュディガーとフェリシテが料理を堪能するその横で、窓側の席に座っているトリスも料理を口に運びながらふと窓の外を見てみる。

(こう言う日常がずっと続けば良いのに……)

 ダリストヴェル山脈で戦ったコートの集団を始め、自分達が何だか大きな事に巻き込まれている気がしていたトリスも、今だけはこの状況を楽しもうと料理に再度目を向けようとした……時だった。

「……あれ?」

「どうした?」

 向かいの席に座っていたカリフォンが、小さく声を上げたトリスに気が付いて声を掛ける。

「いや、あの……今、店の外に気になる人が居た気がするんだけど」

「どんな奴だ?」

「ほら……バルドさんとフェリシテさんが出会ったって言ってた、あの青い色が特徴的な男の人……の様な気がしたんだけど」


 その会話をトリスの横で耳にしたバルドが、恐ろしいスピードで顔を彼女の方に向ける。

「何だって!?」

「ちょ、ちょっと煩いわよ。他に食べてる人も居るんだから静かにしてよ」

「あ、ああすまん。でもフェリシテもリュディガーも聞いてくれよ!」

 オーバーリアクションで反応したバルドに、フェリシテが眉をしかめながら注意するが、謝罪もそこそこにバルドはトリスの話に耳を傾ける様に促す。

「トリスちゃんが、あの青い男を見たってよ!」

「青い男って……まさか!?」

「そのまさかだよ! 俺達が会ったあの画家の奴だよ!」


 テンションはフェリシテに注意された先程よりも控えめだが、それでも十分興奮気味にバルドは窓の外を指差しながら続ける。

 しかし、その話の発端になったトリスはあたふたしながらバルドにストップを掛ける。

「ちょっとストップストップ! まだその人だって断定出来た訳じゃ無いのよ!!」

 興奮する気持ちも分かるけど、興奮するのは自分が目にしたその男が、本当に画家の男だったかどうかを確かめても遅くないじゃないか、と思う気持ちがトリスにバルドを止めさせる。


 すると、そのやり取りを見ていた魔法剣士隊隊長のロオンがこんな提案を。

「良ければ、私が店の周りの様子を見て来ましょうか?」

「良いんですか? じゃあお願いします」

 ここは申し出てくれたロオンに任せる事にして、バルドを落ち着かせて席に座らせるトリスに対して次に話し掛けたのは、彼女の兄のリュディガーだった。

「本当にその男だったのか?」

「だからまだ分からないわよ。私はその人に会った事が無いし。でも何だかそれなりに大きな荷物を小脇に抱え込んでいたのは一瞬だったけど良く見えたわ。それに髪の毛も服も全身青かったから、あれは人混みの中でもかなり目立つわね」

 そう分析するトリスは、ナイフとフォークを巧みに使って目の前で切り分けた魚を口に運ぶ。


 そして一旦店を出て行ったロオンが戻って来たのだが、彼は首を横に振った。

「お、意外と早かったな。どうだった?」

「ダメでした。既にこの付近には居ない様ですね」

「そっか。だったら見間違いって事もあり得るから、さっさとメシを食って青龍湖に向かおうぜ」

「う、うん……でもあれは確かに全身青かったけどなぁ……」

 釈然としないトリスだったが、カリフォンに促されてまずはとにかく目の前の食事を平らげる事に集中した。

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